転生者はめぐりあう（チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー）

第4章 10歳王都編

4.13.2 平和な王都の日々

　明日は、伯爵家を相手にしたダンスがあるので、ダンスの時間が長めに設定されていた。
　その時間には第１王子を含め上級生たちも交えて練習がスタート。僕は第１王女と最初に踊った。
　彼女と手を触れ躍るのは初めてだ。もちろん緊張する。冬の館でエレノア以外とも踊ってはいたが、これほどの美少女と近距離でダンスするのははじめてなのだ。
　ドキドキしながら無難に踊れた。
　もちろん、スザンヌ様は、運動神経も良いしきちんと練習していたのだろう、完璧な踊りだった。
「スザンヌ様と踊れてうれしかったです。また練習をお願いしますね」
「まあ、練習ぐらいならいつでも良いのよ」
　残念ながら大人数がいる時は練習であっても何度も同じパートナーと踊る事はできない。
　その後はパートナーを変えて練習を続ける。他の人達も家でしっかりと練習していたようで皆とても上手かった。
　明日の伯爵家は王都で普段から練習しているので、ここに集まった人と同じぐらいのレベルだそうだ。
　その後の子爵家、男爵家になるとダンスが下手の人がいる。笑わず導くようにダンスをしなさい。特に男性は女性を辱めるようなエスコートをしないようにと厳しく言われた。
　そのために、相手の動作を導くような練習が必要だと言われた。
　自分の踊りは覚えているが、相手側の動きを覚え足をそこに導く、あるいは口頭で指示を出すのはとても難しい。試しにと侍女さんと練習をしたが、非常に難易度が高い。
　言葉で伝える場合は、右と左を相手の視点で言わなければならないので苦労した。

　スザンヌ様は、こういった訓練を以前からやっているらしく、男性側が躍りやすいダンスもきちんとできた。女子はそれを見て覚え、僕らは第１王子をお手本に学んだ。

　毎日が社交なのだが空き時間はちゃんとある。めちゃくちゃに忙しいわけでは無い。
　僕は社交だけに集中するわけにはいかないのでちょうど良かった。
　春から商業ギルドで貸し出しを開始するアイテムボックスを作成しなければならない。こちらで作ったアイテムボックスは転移で戻ってクロスロードに置いて来た。そして、材料だけを持ち帰る。空いている時間はせっせと内職をしなければならないのだ。

　今日も、夕食前にクロスロードに転移で戻りアイテムボックスを納品してきた。そして集めてくれた材料を受け取る。リリアーナ母様にはアメリ母様やレイブリング父様の事も合わせて報告し、王都でのお土産も渡す。
　その足でミレーユさんの所に行って複製の魔法で魔法陣を宝石に書き込めるかテストを依頼する。とりあえず試しに水晶に魔法陣を手作りした石と、練習用の水晶を渡してきた。
　用事を済ませたらすぐに転移で王都に戻った。

　こうして昼間は社交を頑張りつつ、空いた時間はいろいろとやっている。いつも通り忙しい。

　社交は、ほとんどの会が10歳の同期だけで行われる。相手は伯爵家や子爵家、場合によっては男爵家の子供達と交流を重ねる。１０歳の同期での顔合わせを何回か繰り返したら1年、2年学年の違う子供たちの集まりも始まった。
　年上との交流の時は、第1王女も一緒に行く用になった。
　社交中はたまに王城によって第2王女とも話をする。だが第２王女の同学年との集まりはない。
　せっかく王都にいるのだが、あまり会える時間が無いのだなと寂しく感じた。