転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.13.3 平和な王都の日々

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 婚約を申し込んだ時に子供が無事に戻ったと聞いてはいたが、ようやく正式な報告があった。僕の事を知っていると言うことでブライト隊長からの報告だった。

 まず、子供と乳母は翌日には意識が戻り、王都にある伯爵家に無事に戻った。
 そもそもの誘拐事件は年初に起きた事件だ。子供が熱を出し、医者を呼んだが他にも複数の子供が治療中で医者の手が離せなかった。
 医者は翌朝まで我慢すれば往診すると言ったが、子供の熱が高くぐったりとしていたので馬車で医者の元へと運ぶことになった。
 治療を受け容体が安定したので、朝方の最も人の少ない時間に帰宅。その時に途中で馬車毎誘拐された。
 伯爵家には、すぐに誘拐の知らせがあり身代金の要求があった。

 伝えにきた者にお金を渡し後を付けさせたが、途中で見失った。

 僕らが教会に行った日の夜中に走っている馬車から放逐されその時に大けがを負ったらしい。朝方まで飲んでいた平民が背負って教会へと連れ込んだそうだ。
 誘拐されている間については、子供の方は熱も少し残っていたのでほとんど眠っていたようだ。何も覚えていないに等しかった。乳母の方からの話では犯人は10人以上。時折外国語でしゃべる者がいた。捕まっていたと思われる周辺には、誰もおらず既に王都には居ないのではないかと言うのが騎士団の見解だった。
 他の案件とも共通項があり、金の受け取りを行う者は転移に近い魔法を使える。それも人相が違うことから同等の能力者が数名いる。かなり大きな組織のようだ。

 その後は、シシリーさんと王宮に勤める医者からの質問を受けた。教会で神父が治療の仕方を見ていたからだ。
 高度な魔法と言っても、回復魔法だけで治療できるわけではない。治療を促進する回復薬と言う存在もあるがそれも怪我には効くが風邪には効果がない。現在は子供の風邪に対しては栄養補給と漢方薬のような薬で対処している。ただそれは飲み薬。
 回復魔法や回復薬の効果を上げる為に体力薬を使う方法は既に知られているが、今回のように意識をなくした子供には使えない。
 二人は、治療に使った注射器と注射針がとても有益だと思っているようだ。
 注射器については魔法でも作れるのだが、注射針については、一つだけが偶然成功しただけで、残りは穴がつぶれたり、針としての剛性が保てないと答えた。
 成功しているのは、すでに使用済みの1本だけなのだ。

 彼らは、王宮で研究するからとその1本と注射器を貰って帰った。

 僕の錬金魔法のレベルはかなり高い方。王宮魔導士でも魔法だけで作るのは難しい。僕は魔法だけでなくプレス機の様な工具を用いて順番に工程を踏めば作れる可能性を説明した。
 その話を聞いて、シシリーさんは魔法でも一緒では無いかと。
 一気に作らずに同じように工程を別ければ魔法でも作れるのではと。金属製品を作りなれている職人に話に行こうと言っていた。
 僕も、もう1本は持っておきたいので、召喚魔法で再び針を呼び出しておくことにした。前と一緒とはいえ、種と違い極小とはいえ金属製品を召喚するのは莫大な魔力が必要になる。最近魔力が多くなり使いきれなくなってきていたので、頑張って召喚魔法陣に魔力を注いでおくか。
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