転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第4章 10歳王都編

4.16.3 フィンレワードにて

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「わたくしの仮面は、コハク様の言葉を頼りに城の宝物庫を探して貰ったのです。
同じような物が複数枚あったので、残りは王宮魔導士の治療師と医術関係者に配りました」
「ふーん、眠っていたって事は、それなりに高級品としては扱われていたのか」
「いえ、用途不明の分類で保存されていた物です。
ラルクバッハの過去の資料に治療師が仮面を付ける記載があったのですが、これがその仮面だとは思っていなかったそうです。また、仮面に清浄効果があるなど仮面を付ける理由の記載が無く、年頃の女性治療師を守るために使われていたのだろうと伝わっていました。なので、現在は仮面がベールに置き換わっていたそうです」
「私の記憶では、男性でも女性でも治療行為を行う時に付けていたのですが。
私達が眠っている間に仮面の作り方も失われ、治療技術だけでなく予防技術も失われていた事を知りました」
「ふーん、そうか。500年前の洪水で原理が失われ、そこから徐々に時間をかけて発展した物もあるけど、大半の魔法技術はそこで伝わることなく消失したのか。
エルフや竜族なんて長寿の一族もいるけど、人族の歴史にはあまり交わってないんだね」
「そうだな。少なくとも竜族は人族と関わりは最小限だった。
そもそも我々は自身で魔法が使えるから魔道具を使っていない。それゆえに関心も無かった。
ゆえに、この地の人族が魔法技術を失っている事にも興味が無かったし、我らの住む隣にいるイントラ帝国には多少なり魔法の原理が残されていたはずだ。我々が関与する事では無いと思っていたし、洪水が起きた理由も知っていたからこの辺りに住む人々に助けを出す必要性も感じていなかった」
「エルフもそうだったのかな」
「我はエルフに会ったことが無い。父上はたまに行かれていたようだが。
父上の言う話では、彼らもまた自分達で魔法が使えるし魔道具も作れる。
人族よりも優れた魔法文化を持っておるし、人族とは別れて生きておる。
人族に対しても思い入れも無い。人族が技術を向上させるならば自ら行うかまずはイントラ帝国に残されている技術を学ぶべきだと考えているはずだ」

「なるほど、人族の事は人族でなんとかするべきと言うことか。
イントラ帝国にそんなに過去の技術が残されているなら、なぜそれが広まらないんだ」
「かつてあの地の魔法文化はそれほど進んでいたわけでない。そう聞いている」
「ええ、どちらかと言えば魔道具を輸入していた方だったはずです」
「そうか、それが洪水で周りがダメになった。自国内に残された技術でも優位に立てたのなら、北の厳しい土地を守る為に技術を秘匿化したのか。そもそも過去にもこちらの技術も秘匿されていた立場だったのだろうな。公開する義理も無いってところか。だから技術が失われたままの状態が続いている訳か」
 なんとなく、今の世界情勢が解って来た。500年前の失われた技術に匹敵はしない物の、イントラ帝国にはそれなりにノウハウが残されている。だからこの魔力封じの枷も作りが違うのか。
 こちらの国にある魔力封じは、魔力を分散させる仕組みが組み込まれており、詠唱による魔法が成立しない。身体強化の魔力も効果は半減以下に抑えられる物だ。イントラ帝国の枷は、魔法のレベル6落とす物だ。一般の人の魔法レベルは6以下なのでほぼ全員に効果がある。レベル7や8の人もレベルが6落ちるのでそれで暴れるのは無理だろう。
 僕の場合は、どちらも完全な封印はできない。どちらも空間魔法を封印できないのでストレージに格納できるから無意味だ。
 彼らが襲撃に使った魔法を封印する魔道具も同じ様な仕組みで、魔力の分散と魔法レベルダウンを組み合わせた物。特殊な首飾りを付けておけば対象から除外される。
 船を襲った時には魔道具の魔力が切れていたから良かったが、動いていたら救出に少しだけ支障が出ただろう。

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