転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.5.1 シドニアにて

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 そしてパレードが始まる。
 役に立っているのかわからないが、太郎とコハクの姿が現れると異様に盛り上がった。黒狼を人が使役した事はかつてもあったらしいが、おとぎ話ほどの昔の事で、伝説級の事件だ。そして同じく幻獣が人の前に現れるのは非常にレア。それが人とも共にパレードに参加など過去にも無かった。
 ほんとはガルダとイシスも一緒に連れて入ろうと思ったけど、第3王子が乗れなかったので出番がなくなった。今回はそこまで奮発する必要は無いだろうと言うことになったので、人には見えないがイシスとガルダは妖精体でその辺りをふわふわと浮いている。

 パレードは、このまま王都の中心街を通りシドニアの王城に入場し終わりだ。目の前にゴールは見えるのだが非常に歩みが遅く時間がかかる。
 まあパレードなのだからしょうがないのだが、太郎もコハクも一跳びで入れるのだが、部隊はゆっくりとゆっくりと進む。
 それにあわせて歩調をゆっくり。とはできない。足を上げている時間が長すぎて転ぶ。前に空間ができたら一歩進み、止まるを繰り返して少しづつ進む。
 この進み方はストレスが大きい。もう、我慢も限界かなと言う時に陛下達の馬車が王城に入るのが見えた。すると目の前の道が空いたので、太郎に合図をだして一緒に駆け抜ける。
「ふー、よかった。コハク、太郎、よく我慢したね」
 入場と共に僕らは騎乗を止めて下へ降りる。
 タロウは小さくなり、コハクは幻獣から人の姿に変わった。

「予定よりもパレードが長引いたから焦ったよ。タロウちゃんも限界って感じだったもん」
「そうですね。私もです。あれだけの人が集まると精神汚染の魔法が自然発動したので余計にきつく感じのでしょう。私は精神汚染が効かないので大丈夫でしたが」
「精神汚染、そんなの自然に発動する物なの」
「さあ、わかりません。ですが私への干渉はありました。ですが魔法が発動した感じはありませんでした。ジルベール様の耐性は高いのであの程度の汚染は感知できなかったのでしょう」
「そうだね、気が付かなかった。まあその程度か。なら罠とかではないのだろうね」
「そうですね、罠として発動するような魔法陣はありませんでした」
「罠以外だと、魔法の発動を検知できないぐらい遠隔から使えたりする?」
「わかりません。呪いの類ならば可能でしょうが」
「呪いか。明確なターゲット無しで、自動発動。狙った通りの効果が出るかどうか賭け。そもそも成功する必要は無かった。そう考えるとあり得るな」
「ジル様。その話は後にしましょう。とりあえず疲れました。今日はこの後簡単な食事会があります。一度休憩をはさみましょう」
「ああ、そうだね。じゃあ陛下達に合流しよう」
 そう言って、皆で陛下達の元へ集まる。そして王城に用意された部屋へと向かうのだが。
「ジルベール様は棟が違うのですね」
「僕は王族でも公爵家の者でもありませんからね。でもコハクはマリアテレーズ、エイミーはスザンヌの護衛でそちらに居ます。あとティアマトも」
「ティアマト様は、今回は公爵家の枠に入れて素性を明かさないようにしていますから。それにしても、ジルベール様が騎士達と同じ棟になるとは」
「同じ棟と言っても、部屋は一番良いところらしいですよ。部屋数に限りがあるのだからしょうがないでしょう」
「でも」
「友好国とは言え想定以上の人数で押し掛けることになったのは事実でしょ。交渉が開始された1年前、僕もティアマトも訪問者に含まれていませんでしたから。その時から準備をされていたのでしょう」
「そう言われると」
「さあ、支度をしましょう時間はあまりありませんよ」
「そうね、じゃあ行くわ。ジル様、後で」
「ジル様、後でお会いしましょう」
 僕は、スザンヌとマリアテレーズと別れ、トシアキと共に部屋へと向かった。

 最上階、遠い。そして、部屋は広かった。トシアキが従者の部屋にいるがこれだと公爵家に用意してある僕の部屋よりも広い。
 どうやらけして待遇が悪いわけではないようだ。部屋にお風呂も付いているし、贅沢な感じだった。
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