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第5章 シドニア訪問編
5.5.5 シドニアにて
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食事会が終わって、部屋に戻る前にラルクバッハ側の報告会だ。
「トルステン様の隷属スキルって何なの?」
話はいろいろとあったが、スザンヌが重要度の高い話が終わった後で僕に聞いて来た。
「僕も鑑定に書かれた内容を見ただけなので、隷属するための条件は部下になると承認した場合で、何らかの命令を実行させることができるスキルとしかわかりません。今の段階ではステパンとシジャルという2人の名前が契約者として書かれています。隷属できる人数や命令の強さはレベルに依存するのかもしれませんが、わかりません」
「そのステパンは剣帝の称号を持つ騎士だな。エイミーの剣王よりも一つ上のランクに位置する」
カルスディーナ公爵が情報を提供してくれた。そしてそのまま説明を続けてくれた。
「確か、剣帝になった後で近隣国を修行と称して回っていたそうだ。それがシドニアに来た時にトルステン様に助けられ雇うことになったと聞いている。あとは、シジャルか。残念だがその男の名前は調査対象に含まれていないから知らぬな」
「すでに調べてあったのですね」
「まあな。彼らほどの戦力が動くと国力の変化にも影響する。シドニアから近隣国に通達が出ていたからな。」
「いくら公爵家の嫡男として我儘な女好きに育ったとしても、婚約者のいる相手に手を出すことは無いでしょう。そうすると注意するのはルシアナ様ぐらいですか」
「そうね、非公式を含めても相手が居ないのは私だけね」
「そういえば、なぜルシアナ様は婚約者が居ないのですか」
「何を言っているの、もちろんいたわよつい最近まで」
「え、つい最近?」
「ええ、あなたがつぶした張本人じゃない」
「え?」
「サミュエル様よ。サミュエル・フィンレワード。あの方が私の婚約者候補だったのよ」
「え、でもあの人は確かスザンヌと婚約したいと言って僕に勝負を挑んできましたよ」
「婚約はあちら側の親が進めていたのよ。本人がギリギリまで諦めないと言って婚約が延ばされていたのよ。その間、私は他の婚約もできず。そしてあの事件でパーよ。とても私の相手になれる器じゃないって」
「ルシアナ様は、サミュエルのことが好きだったのですか」
「そんなわけないでしょ。私を前に身分が高いと言うだけでスザンヌ様を狙うと宣言していたのよ。好きになる要素など無いわ」
「それなのに婚約を進めようとしていたのですか」
「政略結婚なんてそんなもんでしょ。私達高位貴族の令嬢にそれほどの自由は無いわ。だから、まあ今回は自滅してくれて助かったわ。結婚は遅くなりそうだけど少し自由に選べそうだもの」
「へー。そうですかって。あれ、でもあの騒動はファールじいちゃんの仕込みだったような」
「そうらしわね」
「ファールじいちゃんがやったって事は、じゃあ、オルトディーナ公爵も知ってたんですよね、こうなることを」
「もちろんだ。フィンレワード侯爵が望んだから婚約の準備はしたが。ルシアナが望んでいないことは知っていたし、いたずらに婚約を延ばされるだけで困っていたからな。これでスッキリした。ルシアナにもスザンヌ様のように自分が望む相手を結ばれて欲しいと思っているからな。だが、残念だがルシアナに釣り合う条件の男は少ないのだ」
「じゃあルシアナ様。もしかしてトルステンとの婚約もあり得るのですか?」
「そんなわけないでしょ」
「あれ、やっぱり」
「私はついでに来ただけよ。私じゃなくてオニールよ。オニールとシドニアの第1王女リアン様との婚約が目的よ。リアン様をお誘いして話すときに私がいると便利でしょ」
「あ、なるほど」
「フィリップ王子の王位継承の条件はシドニアの王女との婚姻よ。そうなると最有力は第2王女よ。だからフィリップ王子がシドニアに行くことになると、リアン王女がシドニア国内に居ると立場が危うくなるのよ。だから彼女はラルクバッハに来た方が良いのよ」
「なるほど。そういう状況だったのですか」
「ジルベールには誰も説明してくれなかったのね」
「ええ、まあ」
「おかしいわね」
「多分、冬の間、クロスロードのお仕事が忙しかったからかな……」
「あなたは何でも知ってるから、教えなくても知ってるだろうと思われているのかしら。でもジルベール様が魔法は詳しいけど、政治的な事は弱いと言うのは皆が知ってることよね。ということは、メリルディーナ公爵がわざと教えないようにしているのかしら」
「そうよ。メリルディーナ公爵の命令でジルベールは10歳までクロスロードだけにひきこもっていたでしょ。王都の常識を知らないのも、メリルディーナ公爵があえて教えないようにしているのよ。そのあたりの教育方針はメリルディーナ公爵が決めることになっているわ。きっとなにかお考えがあるのよ。だからあまりいじめないようにね」
エミリア王妃が、隣から助け舟をだしてくれた。
でも今の内容は僕も知らない事だった。ファールじいちゃん、ほんとになにか考えがあるのかな。忙しいから忘れてたと平気で言いそうなんだけど。
その後で他にも共有しておく情報を皆に伝え、その日は解散となった。
「トルステン様の隷属スキルって何なの?」
話はいろいろとあったが、スザンヌが重要度の高い話が終わった後で僕に聞いて来た。
「僕も鑑定に書かれた内容を見ただけなので、隷属するための条件は部下になると承認した場合で、何らかの命令を実行させることができるスキルとしかわかりません。今の段階ではステパンとシジャルという2人の名前が契約者として書かれています。隷属できる人数や命令の強さはレベルに依存するのかもしれませんが、わかりません」
「そのステパンは剣帝の称号を持つ騎士だな。エイミーの剣王よりも一つ上のランクに位置する」
カルスディーナ公爵が情報を提供してくれた。そしてそのまま説明を続けてくれた。
「確か、剣帝になった後で近隣国を修行と称して回っていたそうだ。それがシドニアに来た時にトルステン様に助けられ雇うことになったと聞いている。あとは、シジャルか。残念だがその男の名前は調査対象に含まれていないから知らぬな」
「すでに調べてあったのですね」
「まあな。彼らほどの戦力が動くと国力の変化にも影響する。シドニアから近隣国に通達が出ていたからな。」
「いくら公爵家の嫡男として我儘な女好きに育ったとしても、婚約者のいる相手に手を出すことは無いでしょう。そうすると注意するのはルシアナ様ぐらいですか」
「そうね、非公式を含めても相手が居ないのは私だけね」
「そういえば、なぜルシアナ様は婚約者が居ないのですか」
「何を言っているの、もちろんいたわよつい最近まで」
「え、つい最近?」
「ええ、あなたがつぶした張本人じゃない」
「え?」
「サミュエル様よ。サミュエル・フィンレワード。あの方が私の婚約者候補だったのよ」
「え、でもあの人は確かスザンヌと婚約したいと言って僕に勝負を挑んできましたよ」
「婚約はあちら側の親が進めていたのよ。本人がギリギリまで諦めないと言って婚約が延ばされていたのよ。その間、私は他の婚約もできず。そしてあの事件でパーよ。とても私の相手になれる器じゃないって」
「ルシアナ様は、サミュエルのことが好きだったのですか」
「そんなわけないでしょ。私を前に身分が高いと言うだけでスザンヌ様を狙うと宣言していたのよ。好きになる要素など無いわ」
「それなのに婚約を進めようとしていたのですか」
「政略結婚なんてそんなもんでしょ。私達高位貴族の令嬢にそれほどの自由は無いわ。だから、まあ今回は自滅してくれて助かったわ。結婚は遅くなりそうだけど少し自由に選べそうだもの」
「へー。そうですかって。あれ、でもあの騒動はファールじいちゃんの仕込みだったような」
「そうらしわね」
「ファールじいちゃんがやったって事は、じゃあ、オルトディーナ公爵も知ってたんですよね、こうなることを」
「もちろんだ。フィンレワード侯爵が望んだから婚約の準備はしたが。ルシアナが望んでいないことは知っていたし、いたずらに婚約を延ばされるだけで困っていたからな。これでスッキリした。ルシアナにもスザンヌ様のように自分が望む相手を結ばれて欲しいと思っているからな。だが、残念だがルシアナに釣り合う条件の男は少ないのだ」
「じゃあルシアナ様。もしかしてトルステンとの婚約もあり得るのですか?」
「そんなわけないでしょ」
「あれ、やっぱり」
「私はついでに来ただけよ。私じゃなくてオニールよ。オニールとシドニアの第1王女リアン様との婚約が目的よ。リアン様をお誘いして話すときに私がいると便利でしょ」
「あ、なるほど」
「フィリップ王子の王位継承の条件はシドニアの王女との婚姻よ。そうなると最有力は第2王女よ。だからフィリップ王子がシドニアに行くことになると、リアン王女がシドニア国内に居ると立場が危うくなるのよ。だから彼女はラルクバッハに来た方が良いのよ」
「なるほど。そういう状況だったのですか」
「ジルベールには誰も説明してくれなかったのね」
「ええ、まあ」
「おかしいわね」
「多分、冬の間、クロスロードのお仕事が忙しかったからかな……」
「あなたは何でも知ってるから、教えなくても知ってるだろうと思われているのかしら。でもジルベール様が魔法は詳しいけど、政治的な事は弱いと言うのは皆が知ってることよね。ということは、メリルディーナ公爵がわざと教えないようにしているのかしら」
「そうよ。メリルディーナ公爵の命令でジルベールは10歳までクロスロードだけにひきこもっていたでしょ。王都の常識を知らないのも、メリルディーナ公爵があえて教えないようにしているのよ。そのあたりの教育方針はメリルディーナ公爵が決めることになっているわ。きっとなにかお考えがあるのよ。だからあまりいじめないようにね」
エミリア王妃が、隣から助け舟をだしてくれた。
でも今の内容は僕も知らない事だった。ファールじいちゃん、ほんとになにか考えがあるのかな。忙しいから忘れてたと平気で言いそうなんだけど。
その後で他にも共有しておく情報を皆に伝え、その日は解散となった。
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