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第5章 シドニア訪問編
5.6.3 シドニアの学園見学
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僕はすぐに魔法を取り消した。
トルステンは、ひきつった顔で続けて叫ぶ。
「いや、そうじゃない。僕がステパンを隷属してるってどういうことだ。僕にはそんなスキルは無い。いや、そんなスキル知らないぞ」
「ラルクバッハと同じなら学園に入る時に鑑定を受けたのでしょう。その時に言われませんでしたか。特に隠蔽された部分にあるスキルではありませんよ」
「鑑定は受けた。だけどそんなスキルは無かった。それに隷属しているならステパンがこんなに反抗的な態度がとれるわけがないだろう」
「だから、隷属を行使していないのでしょ。そうか、知らないから命令が有効になっていないのか? 鑑定の結果によると、あなたはステパンとシジャルの2人を隷属している。シジャルとは誰ですか」
「シジャルは私の従者だ。今日も領に居る。僕が学園に行く際に専属侍女になる者がいなかったから、代わりにシジャルを従者に付けて貰ったのだ。いやそれは良い。隷属だ。試してみる。この壁を消せ」
「消しても良いのですが、勝負はしませんからね」
すぐに壁を消す。
「おい、ステパン。命令だ、ジルベールを殴れ」
「いきなり出て来て最初の言葉がそれですかい。いやですよ、そんなの」
「ほら見ろ。やっぱり僕には隷属スキルなんてないだろ。嘘ばかり言うんじゃない」
確かに、隷属のスキルで命令が有効になっていないようだ。発動条件でもあるのだろうか。
「トルステンの旦那、隷属ってなんでやすか」
「僕には隷属のスキルがあるそうだ。そのスキルでお前たちに命令ができると言うんだが」
「命令ですか、それなら最初に受けましたよ」
「え?」
「ええ、あっしが旦那に雇われた時に言った言葉ですよ。主からの命令だからと忠実に実行する必要はない。遠慮せず間違っていることは間違っていると正しいて欲しい。そう言ってでやんすよ。それが命令になってるのは気づいてやした」
なるほど、そんな命令が下されていたとは。
「旦那は、学園に来るときに侍女を連れてこれず、ようやく今までの間違いに気が付いた。今のままじゃあ結婚できない。だから、あっしらに正しく教育するように頼んだじゃないですか」
「じゃあ、もしかして、隷属のスキルを侍女に使えば専属侍女にできたし、結婚もできたんじゃないのか」
その瞬間にパカーンとトルステンの頭をステパンが殴った。
「そんなことを言うから嫌われるのですよ、女に」
うわ、めっちゃ良い突っ込み。
「僕の鑑定で調べた内容によれば、主従の契約を結んだ者にしか隷属のスキルは効かないみたいです。つまり、専属の侍女になってくれないと有効にならないのですよ。そしてすでに限界人数の2名を使い切っています」
「そうなのか」
「ジルベール様、お怒りなのは最もでやすが、これからもシジャルと二人でビシバシやっていきやすんで、だから今日のところは旦那の失礼を無かったことにしてくださいやせんか。今日はこれで引き上げます。では失礼しやす」
そう言って、ステパンがトルステンを強制的に引っ張って退席して行った。
「ジルベール様が急に魔法でお隠れになって。大丈夫ですか」
皆は、僕が急に見えなくする壁を作り、さっき消したので何が起きたのか解っていないようだ。代表でスザンヌが聞いてきたが皆を安心させた方が良いのだろう。
「いえ、気になさるほどのことはありません。対応は終わりました、問題ありません」
「そうですか。シドニアの者がご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
シドニアの第2王女が、内容は解らないがとりあえず謝罪をしてきた。
「あなたが悪いわけではないでしょ。しいて上げるなら、彼の周りに居た大人が悪い。ですが僕がそれを責めることはありません」
「それでも、我が国の者が起こしたことですから」
「大丈夫ですよ。余計な時間を使わせましたね。さあ次へ行きましょう、遅くなってしまいますよ」
「よろしいのですか」
「ジルベールが良いと言っているのだ、気にする必要はない。さあ行こう」
最後に第1王子がまとめて、ようやく皆が進みだした。
「ステパン殿は今日の護衛隊長だったはずでしょう、大丈夫なの?」
「はい、問題ありません。要注意人物が一人減りましたから、護衛は十分です」
後ろで王女と護衛の担当者が話しているのが聞こえた。
トルステンは、ひきつった顔で続けて叫ぶ。
「いや、そうじゃない。僕がステパンを隷属してるってどういうことだ。僕にはそんなスキルは無い。いや、そんなスキル知らないぞ」
「ラルクバッハと同じなら学園に入る時に鑑定を受けたのでしょう。その時に言われませんでしたか。特に隠蔽された部分にあるスキルではありませんよ」
「鑑定は受けた。だけどそんなスキルは無かった。それに隷属しているならステパンがこんなに反抗的な態度がとれるわけがないだろう」
「だから、隷属を行使していないのでしょ。そうか、知らないから命令が有効になっていないのか? 鑑定の結果によると、あなたはステパンとシジャルの2人を隷属している。シジャルとは誰ですか」
「シジャルは私の従者だ。今日も領に居る。僕が学園に行く際に専属侍女になる者がいなかったから、代わりにシジャルを従者に付けて貰ったのだ。いやそれは良い。隷属だ。試してみる。この壁を消せ」
「消しても良いのですが、勝負はしませんからね」
すぐに壁を消す。
「おい、ステパン。命令だ、ジルベールを殴れ」
「いきなり出て来て最初の言葉がそれですかい。いやですよ、そんなの」
「ほら見ろ。やっぱり僕には隷属スキルなんてないだろ。嘘ばかり言うんじゃない」
確かに、隷属のスキルで命令が有効になっていないようだ。発動条件でもあるのだろうか。
「トルステンの旦那、隷属ってなんでやすか」
「僕には隷属のスキルがあるそうだ。そのスキルでお前たちに命令ができると言うんだが」
「命令ですか、それなら最初に受けましたよ」
「え?」
「ええ、あっしが旦那に雇われた時に言った言葉ですよ。主からの命令だからと忠実に実行する必要はない。遠慮せず間違っていることは間違っていると正しいて欲しい。そう言ってでやんすよ。それが命令になってるのは気づいてやした」
なるほど、そんな命令が下されていたとは。
「旦那は、学園に来るときに侍女を連れてこれず、ようやく今までの間違いに気が付いた。今のままじゃあ結婚できない。だから、あっしらに正しく教育するように頼んだじゃないですか」
「じゃあ、もしかして、隷属のスキルを侍女に使えば専属侍女にできたし、結婚もできたんじゃないのか」
その瞬間にパカーンとトルステンの頭をステパンが殴った。
「そんなことを言うから嫌われるのですよ、女に」
うわ、めっちゃ良い突っ込み。
「僕の鑑定で調べた内容によれば、主従の契約を結んだ者にしか隷属のスキルは効かないみたいです。つまり、専属の侍女になってくれないと有効にならないのですよ。そしてすでに限界人数の2名を使い切っています」
「そうなのか」
「ジルベール様、お怒りなのは最もでやすが、これからもシジャルと二人でビシバシやっていきやすんで、だから今日のところは旦那の失礼を無かったことにしてくださいやせんか。今日はこれで引き上げます。では失礼しやす」
そう言って、ステパンがトルステンを強制的に引っ張って退席して行った。
「ジルベール様が急に魔法でお隠れになって。大丈夫ですか」
皆は、僕が急に見えなくする壁を作り、さっき消したので何が起きたのか解っていないようだ。代表でスザンヌが聞いてきたが皆を安心させた方が良いのだろう。
「いえ、気になさるほどのことはありません。対応は終わりました、問題ありません」
「そうですか。シドニアの者がご迷惑をおかけしました。申し訳ありません」
シドニアの第2王女が、内容は解らないがとりあえず謝罪をしてきた。
「あなたが悪いわけではないでしょ。しいて上げるなら、彼の周りに居た大人が悪い。ですが僕がそれを責めることはありません」
「それでも、我が国の者が起こしたことですから」
「大丈夫ですよ。余計な時間を使わせましたね。さあ次へ行きましょう、遅くなってしまいますよ」
「よろしいのですか」
「ジルベールが良いと言っているのだ、気にする必要はない。さあ行こう」
最後に第1王子がまとめて、ようやく皆が進みだした。
「ステパン殿は今日の護衛隊長だったはずでしょう、大丈夫なの?」
「はい、問題ありません。要注意人物が一人減りましたから、護衛は十分です」
後ろで王女と護衛の担当者が話しているのが聞こえた。
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