転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.10.1 シドニア学園攻防戦

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 僕らのシドニアの王都訪問の期間は無事に終わった。
 そうして、シドニアの最後の行事を行うべく、僕らはシドニアとグランスラム帝国との国境へ向かう。


 シドニアの王都から国境まで馬車で7日かかる日程が組まれている。急げば半分の日数で行けるのだが、僕らがシドニアの来た時は転移で運べるだけの少人数だったが、先に来ていたラルクバッハの兵も合流しているのでラルクバッハ側だけでも軽く100名を超えている。
 さらにシドニアの国王を含む護衛隊も同行しているので、人数は倍以上になっている。
 帝国側を行軍と勘違いし刺激しないようにするために、事前に高官が畏敬訪問するための隊列だと連絡がしてあるらしい。だが、知らせることで逆に帝国側に高官を狙った軍事行動を起こさせることにもなりえる。
 ただ、この10年程のシドニアと帝国との間は数年に1回、戦いが行われてはいるが訓練の一環とも思えるほどの小競り合いしかないので、不安視はされていないようだ。

 人数が増えると移動時間は必然的に増える。そんなわけでゆっくりと時間をかけて進むのだ。
 王都から国境への道は整備されており宿場町が多くある。
 そして、当然だが国王陛下を含めた移動で計画の野営はない。
 なので、僕らも無理して移動するのではなく、適度な距離で泊まるのだ。
 つまり、移動する当事者にとっては退屈な移動時間が長くなるだけだが、地元の人達には特需のチャンス。
 なので、街々で友好的に迎えられた。

 宿屋では、大人は食事にお酒で街の有力者たちと話しているから時間をつぶせるのだろうが、僕ら子供は暇なのだ。
 なので、僕は購入した宝石を使った魔道具作成をして時間をつぶす。

 魔道具は魔石でもできるが、宝石でも作れる。魔石で作ると魔石からの魔力供給を前提に作るので自動的な発動が可能だ。すべての魔力を魔石からの供給にすることもできる。宝石の場合は魔力の供給は装飾者になる。
 魔石を使った魔力供給よりも魔力の伝達力が高く、壊れにくいのだ。
 もちろん、硬い宝石に傷を付けて魔法陣を刻むので細かい作業だ。
 魔法陣を刻む道具はラルクバッハの大聖堂で大神官様に聖魔法の魔法陣と共に譲って貰った。その道具を使って暇つぶしもかねて魔法陣を刻み込んだ魔道具を作る。
 
 大隊の移動に盗賊や魔物が出るわけもなく、7日もかけて国境に到着した。

 シドニアとラルクバッハの国境は、大きな川で隔てられている。川の両脇には壁があり簡単には侵入できない。それは両国ともだ。
 元々の国境はこの川を越えてだいぶ先までシドニアだったそうだが、100年程前にここまで撤退することになり、そこで安定している状況が続いている。

 現地に駐在している兵士はシドニアの兵だけではない。
 ラルクバッハから送られた兵士もいるし、他国の兵士もいる。
 ここは、帝国との最終防衛地なので、隣接しているシドニア、その隣のラルクバッハだけでなくその奥にある国々も少人数ながら兵士を送り込んでいる。
 他国の兵士と合同で行動するには指揮命令系統が複雑化するので、いくつかの拠点を作り、拠点ごとに命令系統が存在する。
 僕らが到着した場所は、最大拠点がある場所でここに他国で守る兵士軍からも代表者がこの地に集まってくれていた。

 ここは、防衛拠点として最大規模と言うだけあり、テントで寝泊まりと言うような状況ではない。かなり巨大な施設が存在する。
 到着した日は、その巨大な施設で関係者のパーティが行われた。
 もちろん、お酒の飲めない僕らは食事会が終わると早々に退室した。

 そして翌日のこと。

「ジルベール様、スザンヌ様が食事に行く前に寄って欲しいと連絡がありました」
 僕に付いてくれた侍女から言われたが、珍しい。
 朝食前からエスコートの希望があったことは無い。この旅の間も朝食前に会うことは無かった。
「わかった。部屋に向かうよ」

 準備を終えてスザンヌの部屋に到着し、前で待っていた者へ声をかけた。
 しばらくすると扉が開いて中へ入れてくれた。

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