転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.10.2 シドニア学園攻防戦

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「おはようスザンヌ。めずらしいね」
「ジルベール様。おはようございます。急なことですいません。ですが予知夢を見たかもしれなくて、気になって」
「予知夢。どんな内容なの」
「それが、なぜかルビースカリナ様が捕まっている夢なのです」
「スザンヌの予知夢は僕か君に関係する事しか見れないのだよね。なぜルビースカリナ様?」
「さあ? 予知夢はコントロールして見れるものではないので、ですが、ジルベール様が助けに行くので夢に見たのではないでしょうか」
「予知夢がなければ助けに行かないけど、それすらも織り込み済みなのか。予知夢、なぞだね」
「前もそうでした。予知夢を知らなくてもジルベール様は、何らかの事をきっかけにその事件に関わるのです。運命のおおきな流れは変えられませんわ」
「そう。起きるし、関わるなら良い状態で関わりたいね。場所が特定できる情報は無いの。シドニアの学園の景色とか、他に誰かいなかった?」
「多分、学園です。建物がそんな感じでした。それとエリンも見えました」
「何時か解る」
「時間はわかりません。明るかったので夜では無いと。数日先では無く割とすぐに起きる未来ですわ。私にはあまり遠い未来を見る力はありませんから」
「そうだったね。では、朝食の時に陛下に報告しよう。その後で僕はすぐにシドニアの王都に戻るよ」
「わたくしもご一緒します」
「それは止めた方良い」
 僕は即答で断った。
「僕が動かせるのはエイミーとトシアキだけだ。ティアマトも陛下とは関係がないので協力はしてくれるかもしれないが、エリンのことで動かしたくない。後の戦力で考えるとコハクだ。ただ彼女を連れて行くとなるとマリアテレーズの近くが不安だ」
「マリア」
 スザンヌは僕の断りの返事を聞いた後不満そうな顔をしたが妹の名前を聞いて少し考え直すような表情になった。
「だから、君にはマリアテレーズの側にいて欲しい」
「それでも、いやです。予知のできるわたくしがジル様の近くにいた方が良いはずです。事件が起きる直前に有益な情報が得られれば力になれます」
 
「敵の人数が解るかな?」
「見えた範囲だけでも20人ぐらいはいました。もっと多いはずです」
「王都にそういった輩を潜伏させたとして、100名も居れば怪しまれるだろう。20名ぐらいが怪しまれない上限だろう。シドニアの兵士たちも無能なわけじゃない。町ぐるみで警戒する組織もあったのだし。それに、僕は一般の兵士程度なら数十名いても僕一人で対処できる。トシアキもエイミーも一流の剣士だ。ただ最悪の事態を考えると僕が治癒魔法を使えない場合も考えられる。念のためにコハクは連れて行きたい。だからこちら側は大丈夫なんだ。それよりもここは国境だ、いざとなったら君が女性たちを先導して逃げなければいけない。何かが起きた時に陛下や王子達が率先して逃げるわけには行かない。だけど退避を先導する者がいなければ王宮から連れて来た侍女達は素人だ。それは君の役割だろう」
 スザンヌは悩む顔をしたがそれは一瞬だった。
「わかりました、私は残ります」

 それから、二人で食堂に移動する。
 僕らが話し込んでいたせいか、食堂に入るのが一番遅かった。僕らは急いで席に座り食事を始めた。

……

「では、ジルベールは予知を信じシドニアの王都に戻るのだな」
「はい。転移で戻れますから。2日ほど何も起きなければ戻ります」
「こちらに届いている情報では国境付近での不穏な動きは無い。問題なかろう。だが我々も3日後には戻る予定だ。王都を通ってラルクバッハに向かうことになっておる。わざわざこちらに戻る必要はない気がするぞ。移動は退屈だろう」
 転移するから手間では無いが。つまり先に王妃様を含めた数名を王都に連れて行って欲しいと言うことかな。 
 直接回答すると変なことになりそうだから、聞き流そう。
「事件が解決したら、報告に戻ります」
 そう伝えて、別行動を認めて貰ったのだと解釈した。

「ふむ。それはそれとして、ジルベール。そなたが連れ行くのはたったの3人だろう。それだけの戦力で大丈夫なのか」
「スザンヌ様の予知は大きな流れは変わらないと。そうであれば事件を未然に防ぐことはできないのでしょう。だから大量に連れて行ったからと言ってうまくいくわけではないのでしょう。それに、シドニアの学園にも護衛の兵士は存在します。必要なら彼らとの連携も行います。もしかしたら彼らの助力するだけでも問題が収まるかもしれません。詳細は入ってみてからです」

「ふむ。ジルベールが私的に行うことだ。我らがとやかく言うことではあるまい。好きにするが良い」
了承が出たので、さっさと行動に移すことにする。

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