転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

文字の大きさ
427 / 532
第5章 シドニア訪問編

5.11.10 ディックハウト公爵家攻防戦待機

しおりを挟む
 全員に魔法が使えなくなる手錠をして、全員鑑定で調べていく。
 休憩している間にガルダによる魔力消費が無くなっていた。どうやらあっちも終わったらしい。なので、安心して相手側の調査に付き合える。

 部屋で捕まえた中に空間魔法の使い手が5名もいた。
 最初に突入して来た中に2人。僕が来る直前に転移魔法を使った2人。そしてその中に脱出のために1人。
 全員が脱出を試みたので魔力を使い切っている。
 そして、外にいた部隊も全員が逮捕されたので、同じように僕が鑑定をしていく。
 ステパンは、突入部隊の中にいた空間魔法を使う人の罠にはまって敷地の端まで飛ばされ、そこから全速力で走って戻って来たそうだ。

「外にいた者達も含めると、全部で10名も空間魔法の使い手がいたのか。これをほぼ同世代集めたなんて、どうやったんだ。地道に鑑定をやれば良いわけじゃないはずだけど」

 質問しているのは部屋に来た身なりの良い貴族と思われる人だ。どうやらこの人が一番偉そうなんで一番最初に尋問をしている。

「話すと思っているのか?」
「さっさと話せばそれだけ楽になる。話さなければ魔法で吐かせるよ」
「勇者の癖に精神魔法まで使えるのか」
「え、なんで僕が勇者だと知ってるんだ」
「未来視の巫女は我々の方にもいるのだ。その方から聞いている」
「ふーん、指摘通り僕は勇者だ。でも情報が不足してるみたいだけど賢者でもあるんだよ」
「なんだと、一人に二つの称号だと、ありえん」
「でも、事実さ」
「ふむ、確かに、聖属性魔法を使っていた。賢者であるなら説明も付く」
「まあそういうことさ。でも僕の精神魔法はあまり使っていないんだよね。性格的に好まないからさ。だから強引に使うと精神が崩壊する恐れがあるんだよね」
 そういってビビらせると少し青い顔になった。
 ちなみに、僕は相手を自白させるような精神系魔法は使えない。
「知りたいのは作戦のこともだけど、それは別の人が質問するだろ。まずは空間魔法の使い手のことだ。全体に人数、その人達をどう育てたかだ」
「こっちに連れて来た人数は20人じゃ。本国にまだ何人かおるが実数は知らん。それと育て方か。……まあ、良かろう。特殊な方法では無いしな」
「特殊ではない?」
「そうだ、魔法を使う者を増やすのに特別な方法など無い。良く知られているはずだが。魔法陣で発動する魔道具を使い続けれれば魔法を習得できる。発動する魔法はレベル1でも良い」
「確かに、事例があることは知ってる。でも空間魔法を魔法陣で発動させるなんて、そんな魔道具は見たことが無い」

「アイテムボックスは昔からあっただろう。あれを魔石では無く自身の魔力で発動させるのだ。それを繰り返せばあっという間に空間魔法を取得できる」
 確かに。僕の作ったアイテムボックスは魔石だけで動く。だがアイテムバックは魔石だけだとあっという間に魔石の魔力が無くなるので、使用者の魔力も使っている。起動は魔石を使っているからいくら使っても空間魔法を覚えることがないのか。
 つまり、あれを発動から人の魔力を使うようにしたのか。

「アイテムボックスの魔法陣を改良して、そういう魔道具を作ったのか。だが供給元を変更しただけでは空間魔法は発動しないだろ」
「魔法陣の働きを明確に理解させ魔法を発動させる正しい呪文を使うことで魔法の発動が可能となる。ただし、数百の失敗の上でだがな」
「空間魔法の使い手を大量に育成できていると言うことか」
「ふはは。安心するが良い。残念だが、そんなに夢のような話はない。いくつかの理由でここに来た20名がほぼ全数だ。あと何名かいるだろうが、それほど多くは無い」

「いくつかの理由?」
「話せば長い。今は良かろう」
 なんか諭されたよ。けっこう冷静なのかな。それとも自暴自棄?

「もう、夜も更ける。時間的には作戦のすべてが終わっておる。そろそろ全体像の説明しても良いだろう。慌てても今さら間に合わぬ。残りの10名の空間魔法の使い手は別の作戦をするために国境にいるのだ。本物の竜、それに加えて大型の地竜が5頭。最後に20の飛竜部隊だ。それらの大型魔獣が突然襲ってくるのだ。準備できず襲われたはずだ。そなたへの対策だと言っていたが、そなたがここに居るのなら、今頃はお主たちの国王は部下ともども死んでおるだろう」
 笑ってるけど、地竜までは対処した。
 その後ガルダの魔力が減ったのは飛竜を倒したからか。
 ガルダは飛べるから並走して魔法を撃ちこんだんだろうな。
「つまり、僕がこっちに居れば国王を殺し、僕があっちに入れば二人を誘拐してアルフォンス王国に不和の目を投げ込み混乱させ滅亡に持って行く。そういう作戦ってこと」

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

勇者の隣に住んでいただけの村人の話。

カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。 だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。 その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。 だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…? 才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!

石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。 応援本当に有難うございました。 イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。 書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」 から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。 書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。 WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。 この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。 本当にありがとうございました。 【以下あらすじ】 パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった... ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから... 第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。 何と!『現在3巻まで書籍化されています』 そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。 応援、本当にありがとうございました!

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

処理中です...