転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.11.11 ディックハウト公爵家攻防戦待機

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「お主1人の対策にここまで戦力を投入することに異論を唱える者が多かったが、ここまで準備をしても予言による成功率は8割だ」
「未来視の巫女って成功率まで解るんだ。すごいな」
「なぜ慌てない」
 少し考えて、答える。
「確かに僕が一人で対応していたらその数字は間違っていないかもな」
 最初はトシアキが居たから防げた。その後の治療もコハクが精霊魔法を使ってくれたから夜の襲撃の対応にも魔力を残せた。
 最後の国境の戦いも、最初の一撃をみんなが防いでくれたから。
 その後、急いでこっちに戻ったのは、イシスが勝手に魔法を使ったから。最後の飛竜の戦いは、どうなっているか詳細は知らないがガルダを置いて来たのは偶然だ。
 そう考えると、一つでもミスっていたらエリンたちを誘拐されたか、国境で味方が全滅して国王陛下が2人とも死んでいたかもしれない。
「なぜそんなに落ち着いている。もしかして、防いだのか?」
「どうだろう、最後の飛竜の対応はしてないけど、竜の襲撃と地竜の襲撃は防いでから戻って来たよ」
「そんな馬鹿な。時間的にあり得ない。竜だぞ。本物の。たとえ勇者が相手をしても1時間で倒せる相手ではない。大量の人員を投入してそれでも最低でも1日かかる」
「まあ戦えばそうかも知れないけど、洗脳してたから、魔道具に僕の膨大な魔力を込めれば解呪できたから。そんなに時間はかかってないよ。地竜も津波を発生させてひっくり返しから、簡単に戻れないし。その間に焼いたから」
「そんな馬鹿な。この準備にどれほどの時間と費用をかけたと思っている」
「そんなことを僕に言われても。僕が来るのなんか待たずに実行すれば良かったのに」
「馬鹿を言え、精霊のいとし子の存在が明確になったのも、転移が可能な人数が揃うのもこの時期を待つしかなかったのだ。すべての作戦は10年にわたって計画されたのだぞ」

「10年。僕が生まれた前後」
「そうだ、ジルベール。我らの国では勇者であるそなたが生まれたのは、10年前から把握しておった。ラルクバッハに密偵を放ち調べたがその存在は全く解らなかった。だが準備は続いた。そして最近になって予言通り竜を得た。そして期限が示した時期になりそなたの存在が解った。精霊のいとし子。すべての予言通りに揃った。ゆえに、この規模の作戦に皆が一丸となって臨んだのだ」
 ……
「これ以上は話せん」
 そこで、彼の言葉は止まった。
 いろいろしゃべってはくれたけど、僕も眠気が来た。
 だがあと少し起きていなきゃ、男の言葉が気になる。国境の方を調べに行かないと。

「ジルベール様、近隣の見回りが終わりました。もう敵は居ません。彼らが持っていた転移板も回収しすべて壊しました。増援が来る事は無いでしょう。この神石もお返しします」
 丁度、バーニィが周りの探索を終えて戻って来た。
 僕は、神石を受け取り立ち上がる。
「じゃあ僕は、国境の方に様子見に行ってくる。後のことはトシアキに任せるよ」
「え、ちょっと。なんで僕には頼まないの?」
 僕の後ろにいたエイミーが話した。
「バーニィ達は魔力の回復に努めて。それと、エイミー。もう無いとは思うけど、短時間で次が来たらさすがにお手上げだ。もし敵が攻めてきたらコハクとエリンを連れて逃げてね。最後の頼りはエイミーだから」
「え、戦わないの。それにルビースカリナ様は」
「もし次があればさっきの男も知らない作戦だ。何が起きるかわからない。逃げるんだ」
「ジルちゃんがそれだけ不安がるなら。わかったよ。無理せず安全策を取るよ。でもルビースカリナ様も狙われてるんでしょ。良いの」
「エイミーが責任を取る問題じゃない」
「うん、わかった」
「じゃあ後は頼む。あっちに戻るよ。多分、向こうで仮眠するか王宮に行くと思う」

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