転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.12.1 防衛戦後の始末

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 再び国境へと転移。転移先はガルダの気配を目指した。

 転移すると、当然だが目の前にガルダが見えた。
 だが周りはまだ薄暗く、周りがはっきりと見えなかったがガルダが遠ざかっていく。
「ガル」
 声をかけたが、続きの言葉が出なかった。なぜなら、声を出している途中で自分が落下するのを感じたからだ。ガルダは空に居たのだ。
 慌てて重力魔法で静止し改めて周りの様子を確認する。
 時間は朝日が昇ろうとしているのか、東の隅が少しだけ明るい。
 自分が居るのは、川の上空だった。

 思い描いた場所ではなく、人物の近くに移動したのが初めてだったが、この転移方法は注意が必要だと思った。空間魔法のレベルがあがり、転移板がなくても好きなところに転移できるからと油断して能力に頼りすぎた。イシスのところを目指していたら水の中だったかもしれない。危なかった。

 下を良く見ると、巨大な黒い影がいたるところに見える。

 ガルダは僕に気が付いたのか、近づいて前に止まった。
「あの黒い物体はガルダが倒してくれたの?」
「そうだ」
 無口なガルダなので、聞かれた問に答えただけで黒い物体が何なのか教えてくれるわけではなかった。
「あれ、ワイバーンなの?」
「そうだ」
 またもやそれ以上の説明は無かった。質問を繰り返せば情報が取なるのだろうが、時間の無駄だ。
「ティアマトはどこ?」
「あの建物だろう。それよりも我は疲れたぞ、戻してくれ」
「ああ、わかった」

 ガルダの召喚を停止し、僕はティアマトが居ると言う建物へゆっくりと飛んで移動した。

「ジルベール」
 建物の前に居る集団から声がした。
 手を振って合図を出しているのはルカディレック王子だ。
「殿下、こちらに居られたのですが、無事ですか」
「ああ、大丈夫だ。ティアマト様が戦ってくれたからな」
「そうですか、他の皆は?」
「マリアはさっきまで治療をしていたが眠らせたところだ、ティアマト様は父上たちと話をするらしいから中にいるはずだよ。案内しよう」
 そう言って、殿下が僕を連れて建物に入った。

 ここは、宿泊施設ではなく会議室などがある実務用の建物だ。
 扉をたたいて、入室の許可を求める。
「ルカです。ジルベールが戻ったので連れて来ました」
 すぐに扉が開き、中に入る。
「父上、ジルベールが戻りました」
「おお、ジルベール。良く戻った。あっちは大丈夫だったのか」
 中に居たのは二人の国王陛下と公爵閣下達。ティアマトはまだここには居ないみたいだ。
「はい、襲撃は防ぎました。こちらの被害は軽微です。捕虜として10人も転移ができる魔導士を捕まえたのですが、こっちはどうですか?」
「敵側の調査には行かせたが、情報はまだ集まっておらん。こちら側もワイバーンの撃退はできたが、いくつかの施設が破壊され被害者も出た。被害状況をまとめている所だ」
「竜と地竜以外に、ワイバーンまで用意していたのですね」
「ああ、竜と地竜はお主が防いだのだろう。その後のために残してくれたガルダ殿も助かった。しかし、あっちでも戦っておったのだろう。お主、体が2つに別れるのか?」
「いえ、転移でこちらに来て、竜と地竜の対処をしてすぐに戻りました」
「そうか、襲撃中だっただろうに、良く来てくれた。1撃目は用意してあった結界に皆で力を注ぎ防いだが、結界装置はそれで壊れたのだ。結界が壊れたからその後のワイバーンによる攻撃で被害が出たのだが。もし竜の2撃目があったなら被害は甚大だっただろう」
「間に合って良かったです。あっちで攻撃が始まった時に東の空が明るくなったので急いでこちらに転移しましたが、捕まえた敵の幹部によると狙っての同時攻撃だったようです。僕がどちらかに居れば片側が成功するだろうと」

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