転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第5章 シドニア訪問編

5.13.4 グランスラムの情報

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「わかった。それでその勇者が5年前に死んだから、それ以降は空間魔法を作る魔道具は作れなくなったの」
「はい」
「僕が作ったマジックバックやアイテムボックスの魔法陣の仕上げには空間魔法が使える魔導士が必要になる。だから不思議なのだけど、その勇者がいないと魔道具が作れないのはなぜなの? 君たちにはもうすでに20人も空間魔法、それも転移まで使える人がいたじゃないか。魔道具はもっとあってもおかしくないはずだ」
「魔力が足りないのか、スキルが足りないのか。彼らには再現できませんでした」
 もしかしたら、転移門と同じで作成者の名前が入っていたんじゃないのか。魔法陣を日本語で作ったのか。
「もしかして、帝国にはその勇者しか読めない魔導書があって、彼はそれを見て勉強したの?」
「良くご存じですね。過去に召喚された勇者が書いた魔導書を読んでいました。我々が知らない言語で書かれている物です。やはりジルベール様もそういった文献をお読みになったのですか。誰でも使えるマジックバックやアイテムボックスの再現は、勇者が作ったストレージの魔法再現よりもレベルが高いようにも思えます」
 発想の根本が違うな。ストレージに再現か、鑑定の再現も可能なのだ。そういった魔法の再現も可能なような気がしてきた。
「転移魔法を習得させるための魔道具が増えないと言うことは理解できた。それで魔道具は全部でいくつあって、使われていない数、20人以外の状況を教えてくれ」
「魔道具は全部で200個作りました。1人に1個使いますから、在庫は存在しません。きちんと育ったのは1割だったと言うことです。その倍のおよそ40名が瞬転を数回使えるレベルまで育ちました。残りは小さな容量のストレージが使えるぐらいにしか育ちませんでした」
「ふーん。じゃあ転移ができる能力者はこれ以上増えないのか」
「まあ、そうですね。この後で鍛えても2,3人が良いところでしょう」

「勇者の話にもどるけど。僕を倒す宿命を持っていると言っていたけど、理由とかしっているかな?」
「勇者は召喚された人物です。どこか別の世界に居た人物が召喚されてきた。つまり異世界から来たのです。宿命とはその異世界で貴方との係わりがあると言うことです」
「係わり?」
「勇者から直接聞いた話では、異世界で人を殺した。その殺した男が魔王として生まれ変わっているから、因果律に刻まれた自分が魔王を殺せると召還時に女神アークロン様から説明を受けたそうですよ」

 やっぱり、あの時に僕をひき殺した男だったのか。そしてマリアまで殺した。
「そいつ、何人殺したと言ってんだい」
「男が一人に、女を二人だそうです」
 僕と、マリア。それにもう一人。誰だろう。もしかしたらシュミットか?
「ジルベール様、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。この世界で復讐の機会が得られたのかと思ったけど。すでに皇帝が殺した後ならどうしようも無いな」

「ジルベール様とマリアのことなのでしょう。でも、あともう一人いるのですね」
「そうらしいね。とりあえず僕の質問はこれで終わるよ」

「わかりました。では私から。
この戦いで負けたのはその勇者が居なかったからだと思いますか?」

「まあ、あのくそ勇者が居たらうまく行ってたかもしれませんが、やっぱり居ても失敗したんじゃないですかね。あの勇者は自分は因果律があるから勝てるのだと剣の訓練もまじめにしてませんでしたから。ジルベール様は、10歳にもかかわらずかなりの腕をお持ちのようだ。戦えば十中八九ジルベール様が勝ったでしょうね。よほどのインチキをしない限り勝機があるように思えませんな」


「じゃあ、最後に。くそ勇者に襲われた皇帝陛下の妹君はその後、どうなったの? 同じ女性として気になるわ。5年前が7歳だと今12歳前後。つまりわたくしに近い年齢なのでしょう」

「え、そうですね。妹君は夏の生まれ、来月で13歳です。妹君はエルフの巫女様が記憶を消去されましたし、ギリギリ未遂ですから大丈夫です。精神的にはなんら異常がありません」
「そう、それは良かったわ」

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