473 / 532
第6章 新しい命
6.3.10 昇格試験
しおりを挟む
「ジルベール様、本日は剣王試験に合格されたとのこと、おめでとうございます」
「エリン、ずいぶん遅くに。いままで仕事してたの?」
「いえ、仕事では。先ほどまでコレットさんと一緒に王妃様の専属侍女の方々から様々な指導を受けておりました」
「もしかして、こっちに来てからずっと?」
「彼女たちも忙しいですから空き時間を作って指導してくださっていますので。ですから空き時間の方が多いのです。ですから早朝や遅い時間の指導になっているだけで」
「そういうことか。それで今日は?」
「はい、コハク様と一緒に今日はこちらでジルベール様のお世話をするようにと。エイミー様もご一緒殿ことですし」
「あー、そうなんだ。じゃあさっさと着替えて寝よう。僕も疲れちゃったし」
そう言って衝立の奥に入り、さっさと寝間着に着替えて出て来たエイミーは迷うことなく僕のベッドの端に入って行った。
コハクは狐の姿になり、足元側で丸くなる。
「ほら、ジルちゃんは真ん中ね」
ポンポンと布団を叩くエイミー。
まあ、王城のベッドは自分の家のベッドよりもさらに大きくて、3人どころかもっと沢山並んで眠れそうなほど広いけど。
まあ、気にしてもしょうがない。
僕はベッドの真中へ入り込み、目を閉じる。
消音の魔障壁を張り、いつも通り英知のスキルを使って異世界の知識を検索した。
今日は剣王の試験があり、多少の魔力を使ったがまだ魔力に余裕がある。
調べ物に集中しているとエイミーと反対側が動いた気配があった。
ちょっと横を見るとエリンが布団に入り、恥ずかしそうにこちらを見ていた。
「静かでしょ」
その声は反対側に居たエイミーからだ。
「え、そう言われてみると、柱にある時計の音もしません」
「でしょ。ジルちゃんの魔法なんだよ」
「防音の魔法を使っているのですか? ずっと」
「そう、寝てる間もずっと使ってるんだって」
「寝ている間も、そんなことができるのですか?」
「うん、ジルちゃんだけじゃなくて、コハクちゃんも寝てる間も結界の魔法を使ってるんだって」
「さすがですね」
「エイミーも無意識に気配探知してるでしょ」
「まあ、してるみたいだけど。まあだから余計に変な音とか気になってさ。ジルちゃんの横で寝ると、雑音がしないからやっぱり休めるんだよね」
「そうですか」
「エリンがいると、微妖精達が多く集まる。結界を張るのが楽」
狐姿では殆どしゃべらないコハクが足元で短い言葉で伝えて来た。
ふーん、やっぱりエリンがいると何となく空気が違う気がしてたけど微妖精が多く集まっているのか。
僕の目は、もう少し大きく成長しなければ見えないようだが、妖精の元と言われる物が近くにいるようだ。
「イシス様やガルダ様は?」
「さあ、今日はサフィーナ様も泊まっているみたいだから、そっちに行ってるんじゃないかな」
「ジルベール様と契約されているのですよね。イシス様とガルダ様は」
「まあね。でも僕が契約している他の魔獣達も勝手に生活してるから、僕の召喚契約はそんな感じのゆるーい契約なんじゃないかな」
「そうですね。ジルベール様とつながっている感じはしますが、特に制約は感じません」
コハクがそういうのだから、きっとそうなんだろう。
そろそろ魔力が減って来たし、寝よう。
「じゃあ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
「エリン、ずいぶん遅くに。いままで仕事してたの?」
「いえ、仕事では。先ほどまでコレットさんと一緒に王妃様の専属侍女の方々から様々な指導を受けておりました」
「もしかして、こっちに来てからずっと?」
「彼女たちも忙しいですから空き時間を作って指導してくださっていますので。ですから空き時間の方が多いのです。ですから早朝や遅い時間の指導になっているだけで」
「そういうことか。それで今日は?」
「はい、コハク様と一緒に今日はこちらでジルベール様のお世話をするようにと。エイミー様もご一緒殿ことですし」
「あー、そうなんだ。じゃあさっさと着替えて寝よう。僕も疲れちゃったし」
そう言って衝立の奥に入り、さっさと寝間着に着替えて出て来たエイミーは迷うことなく僕のベッドの端に入って行った。
コハクは狐の姿になり、足元側で丸くなる。
「ほら、ジルちゃんは真ん中ね」
ポンポンと布団を叩くエイミー。
まあ、王城のベッドは自分の家のベッドよりもさらに大きくて、3人どころかもっと沢山並んで眠れそうなほど広いけど。
まあ、気にしてもしょうがない。
僕はベッドの真中へ入り込み、目を閉じる。
消音の魔障壁を張り、いつも通り英知のスキルを使って異世界の知識を検索した。
今日は剣王の試験があり、多少の魔力を使ったがまだ魔力に余裕がある。
調べ物に集中しているとエイミーと反対側が動いた気配があった。
ちょっと横を見るとエリンが布団に入り、恥ずかしそうにこちらを見ていた。
「静かでしょ」
その声は反対側に居たエイミーからだ。
「え、そう言われてみると、柱にある時計の音もしません」
「でしょ。ジルちゃんの魔法なんだよ」
「防音の魔法を使っているのですか? ずっと」
「そう、寝てる間もずっと使ってるんだって」
「寝ている間も、そんなことができるのですか?」
「うん、ジルちゃんだけじゃなくて、コハクちゃんも寝てる間も結界の魔法を使ってるんだって」
「さすがですね」
「エイミーも無意識に気配探知してるでしょ」
「まあ、してるみたいだけど。まあだから余計に変な音とか気になってさ。ジルちゃんの横で寝ると、雑音がしないからやっぱり休めるんだよね」
「そうですか」
「エリンがいると、微妖精達が多く集まる。結界を張るのが楽」
狐姿では殆どしゃべらないコハクが足元で短い言葉で伝えて来た。
ふーん、やっぱりエリンがいると何となく空気が違う気がしてたけど微妖精が多く集まっているのか。
僕の目は、もう少し大きく成長しなければ見えないようだが、妖精の元と言われる物が近くにいるようだ。
「イシス様やガルダ様は?」
「さあ、今日はサフィーナ様も泊まっているみたいだから、そっちに行ってるんじゃないかな」
「ジルベール様と契約されているのですよね。イシス様とガルダ様は」
「まあね。でも僕が契約している他の魔獣達も勝手に生活してるから、僕の召喚契約はそんな感じのゆるーい契約なんじゃないかな」
「そうですね。ジルベール様とつながっている感じはしますが、特に制約は感じません」
コハクがそういうのだから、きっとそうなんだろう。
そろそろ魔力が減って来たし、寝よう。
「じゃあ、おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
29
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる