転生者はめぐりあう(チートスキルで危機に陥ることなく活躍 ストレスを感じさせない王道ストーリー)

佐藤醤油

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第6章 新しい命

6.4.1 婚約のお披露目

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 昇格試験から5日が経過し、ようやく来賓たちの到着が終わったそうだ。
 僕らも王族同士の挨拶に呼ばれ事前の紹介をされていた。
 そんな中で、なんと急にルシアナ様の婚約が決まったのだ。
 相手はアルフォンス王国の王子サークリンド・リーシェス・アルフォンス。
 いろいろな思惑の元、彼とルシアナの婚約が決まったらしい。
 
「一番の理由はなんだったのですか? ルシアナ様が一目ぼれするとも思えないのですが」
「一番の原因は執事だ。彼をこの国から出すわけには行かない」
 答えてくれるのはいつもの第1王子ではなく、珍しく第2王子のマクシミリアン殿下だ。
「執事?」
「そうだ、高い鑑定の能力を持ち、以前のことも考えるとどこからどこまで知られているのかわからない。本当は処分を検討したが穏便に最も穏便に済ませる方法を提案したところサークリンド殿下が承認し、アルフォンス王国にも急ぎの便で確認を出したところ良い返事がもらえたのだ」
「それがルシアナ様との婚約ですか? ラルクバッハに残すために?」
「ああ、だがあの王子も王族。そしてルシアナは公爵家の出身で金眼でもある。血統のよい二人を結婚させればリーンディーナ公爵家の復活も可能だと」
「ルシアナ様は了承したのですか?」
「もちろん。彼女の相手はもともと政略結婚だ。ラルクバッハの侯爵家に嫁ぐ予定だったスザンヌが婚約を決めないから延期されていた。だが、あの事件だ。だからルシアナ様は自分で選べる状態だったが国内に良い相手がいなかった。それでシドニアにも行ってみたが良い相手がいなかった。本人は自分で決めらないから親に任せても良いと言っていたそうだ。今回の件は、ラルクバッハで公爵夫人だし相手に不満はないそうだ。本人にも確認済みだ」
 そうなのか。
「サークリンドは王位を狙っていたが、スザンヌに振られた上にジルベール、おまえと比較し自らの器を十分に理解したそうだ。その後はつき物が落ちたように素直になったそうだ。ルシアナとの顔合わせの時には人がかわっていてな。私もルカ兄さまやスザンヌとサークリンドとは共にいた仲だ、それが突然の変貌だ。呪いでも解けたかのように態度が違うんだ。正直きみが悪かったぞ。まあその状態でルシアナ様に会ったんだ。彼女いわく、王族だけあって顔も良いし性格がこれなら問題がない。きっちりと尻に敷くと言っていたぞ」

「あれ、ルシアナ様とサークリンド様は初対面だったのですか?」
「ああ、オルトディーナ公爵が娘を他国に出したくないと会わせなかったんだ」
「それは、なかなかの親ばかぶりで」
「あとは、僕と器を比べたと言ってましたが、会った時にそんなに話もしてませんよ」
「剣王の昇格試験を見ていたそうだ。それと信頼を置いている執事から説得されたそうだ」
「ああ、それでか。執事さん自分が死んで生き返ったのがわかってたのかな、やっぱり。それでその問題の執事は、国に戻すのですか?」
「いや、どうやらあの執事の能力を知っているのはサークリンドと、その母親と母方の父親だけのようだ。元々母親が王妃として嫁いだ時に父親が暗殺を恐れて付けた執事らしい。その執事は元平民の孤児でリンのじいさまが魔法の才能があると拾って育てたそうだ」
「だからあちらの国のお偉いさんは知らない存在だったと」
「そういうことらしい。兄がラルクバッハに来た時について来た理由だが、そのころにサークリンドの暗殺未遂が合ったらしくてね。その兄はサークリンドとは母親が違うが、兄とサークリンドの仲は良かった。その兄が弟を心配して連れて来たそうだ。他国の方が暗殺に危険が少ないと判断したそうだよ」
「そうだったんですね。王位を狙った理由も生きるためとかですか?」
「本人はそう思っていたらしいが、兄弟仲は悪くないしい、サークリンドの被害妄想だと執事が言っていた。原因は王太子派に入っていない反対派の貴族がそそのかしのが原因だそうだ。それも執事が言うには暗殺未遂もその派閥の自作自演だと」

「この話はどこまでの人が知っているのですか?」
「ああ、ジルベールに関係がある中で言えば王子全員とスザンヌまでだ。マリアテレーズには教えていない。こんな話はしたくないからな」
「わかりました」

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