499 / 532
第6章 新しい命
6.7.4 10歳式への出発 エレノア編
しおりを挟む
魔物たちが到着した時、戦闘はゴブリンだったが直前にオークたちが前に出て来た。
魔物たちの半数以上がオークだったようだ。
魔物たちが第1防衛ラインの少し手前に来た時に最初の一撃が飛んだ。
先頭に着弾し、左右で10匹ずつが致命傷を負ったようだ。
その後、クインさんは続けて3発の魔法を撃ちこんだ。
エレノアはクインさんよりもさらに早く10発近くの魔法を放った。
1発の威力はクインさんの方が強いが、エレノアは無詠唱だからなのか魔法が行使される速度が段違いに速い。
この二人の攻撃だけで200体近かった半数が消え去った。
そう、消え去った。
傷を負ったオークはそのまま攻めてきているが、大きなダメージを負ったオークは消えたのだ。そして後方で倒れているゴブリンはなぜか倒れたまま死体が残っている。
自然発生した魔物は倒しても死体が残るが、迷宮産の魔物は倒すと魔石だけを残して消える。
つまりこの魔物たちは自然発生した魔物と迷宮産の混合部隊と言うことだ。
そして、部隊の半数が倒され場合、人間同士の戦いであれば、戦力の半数を失えば確実に撤退。だが魔物にそのルールは当てはまらない。
特に統率された迷宮産の魔物は、全滅するまで最初の命令を順守する。
なので、半数が消えても変わらず無謀に突っ込んで来る。
魔法の攻撃は魔物たちの中央や後方で爆発していた。
エイミーと数名の騎士が左側から魔物に突っ込み、蹴散らし始めた。
右側はタロウと言う黒狼が一体で無双している。騎士がいると邪魔と言うこともあり、そちらに騎士達は1人もいない。
中央部の大魔法攻撃がやんだ後、弓での攻撃が続く。
後方から上位種と思われる大型の魔物がそれらの攻撃を無視するかのように突撃してくる。
エレノア様は、あれだけの魔法攻撃をしたはずなのに、爆発系の魔法から土魔法での攻撃に切り替え、今も魔法を発動させ続けている。
それも無詠唱で。
弓と、石による攻撃で雑魚の足は止まり、そのまま倒れていくが、突撃してくる上位種には効かない。
上位種が数体突出して出たため、後続と切り離されたが、一切気にすることなく単独でこちらに攻めて来た。
敵が近づいて来る。
私が止めるしかない。
ひときわ大きい上位種の前に居た中くらいの魔物を私の専属護衛が止めに行った。
この大きい上位種がオークなのかゴブリンなのか解らないが、巨大な体に、醜悪な顔。
恐怖感を抑え込み、エレノアを守るために上位種に向かって切り込んで行った。
半年ほど前からジルベール様の指導を受け、格段に能力が向上したとはいえ、普段であれば倒せると思えないほど巨大な上位種。
だが、この旅で持って来ていた剣は特別な剣だ。
この剣は飾りの多いただの宝剣ではない。カルスディーナ公爵家が持つ由緒正しい魔剣だ。エイミー様もこの剣はすごいと言っていた。
事前に魔力も込めてあり、魔法による補助によって竜の鱗にもダメージを与える事ができるらしい。
もちろん、当てなければ意味は無いのだが。
大振りで振りかぶってくる上位種の攻撃を身体強化最大でよけ、相手の首元に右から振りかぶり剣を当てる。
残念ながら狙いが少し下になり、肩口に剣が入る。しかし剣は当てるだけで良かった。
相手の自らの動きでそのまま切れていった。
そして、先ほど空振りした相手の大きなこん棒はどこかに飛んで行った。
だが、私の剣が途中で止まった。
最後まで振れ切れない。
上位種がそのままで一歩下がる。
それによって剣が抜ける。位置的に私は上位種の正面に立つことになった。
相手の左腕は私の攻撃によって動かない。
だが、2m近い身長の上位種はその太い右腕で私を殴ろうと振りかぶった。
残念だが、先ほどの攻撃で身体強化の力を使いすぎたせいか、私の体が硬直して動かない。
このままではまずい。
直撃される拳を覚悟したが、相手の攻撃はこちらに来なかった。
後ろからタロウという黒狼が右腕にかみつき止めていた。
僅かに右側をみると上位種の後ろに続いていた敵が存在していなかった。
エレノアがタロウがこちらに来れるように土魔法で石を飛ばして道を作っていたのかもしれない。
そのままタロウが上位種を抑え込む。僅かに遅れて私の騎士達が上位種の足に剣を突き刺した。
「クリシュナ様、もう一度です」
声が聞こえた瞬間、硬直時間が終わったのが解った。
私は飛び上がりもう一度剣を振るった。
今度は相手の動きで切るのではなく、私が剣を振り切った。
上位種の首が落ちる。
それと同時に目の前の巨大な魔物が消え、魔石が落ちる音が聞こえた。
倒せた。
だけど、体が動かない。
限界を超えた身体強化を2度も使った反動だろう。
すぐにタロウと言う黒狼が目の前に来た。
私の前で顔を足元でくいっとやるのが見えた。
すると次の瞬間、空が見えたような気がした。
手になにかの毛の感触がする。黒狼の背中のようだ、多分。
次に、エレノアが私の後ろに落ちて来た。
なぜか、風を感じるが上下に揺れるのに落ちそうな感じは無い。
背中に吸い付くように感じがして、安定していた。
気が付くと堀を超えて街の中に入っていた。
そして、救護班の人達のところで降ろされた。
周りから声をかけられるのだが、体がめちゃくちゃ痛い。
すでに筋肉痛が始まっている。
周りの声も聞こえず、そのまま気絶した。
魔物たちの半数以上がオークだったようだ。
魔物たちが第1防衛ラインの少し手前に来た時に最初の一撃が飛んだ。
先頭に着弾し、左右で10匹ずつが致命傷を負ったようだ。
その後、クインさんは続けて3発の魔法を撃ちこんだ。
エレノアはクインさんよりもさらに早く10発近くの魔法を放った。
1発の威力はクインさんの方が強いが、エレノアは無詠唱だからなのか魔法が行使される速度が段違いに速い。
この二人の攻撃だけで200体近かった半数が消え去った。
そう、消え去った。
傷を負ったオークはそのまま攻めてきているが、大きなダメージを負ったオークは消えたのだ。そして後方で倒れているゴブリンはなぜか倒れたまま死体が残っている。
自然発生した魔物は倒しても死体が残るが、迷宮産の魔物は倒すと魔石だけを残して消える。
つまりこの魔物たちは自然発生した魔物と迷宮産の混合部隊と言うことだ。
そして、部隊の半数が倒され場合、人間同士の戦いであれば、戦力の半数を失えば確実に撤退。だが魔物にそのルールは当てはまらない。
特に統率された迷宮産の魔物は、全滅するまで最初の命令を順守する。
なので、半数が消えても変わらず無謀に突っ込んで来る。
魔法の攻撃は魔物たちの中央や後方で爆発していた。
エイミーと数名の騎士が左側から魔物に突っ込み、蹴散らし始めた。
右側はタロウと言う黒狼が一体で無双している。騎士がいると邪魔と言うこともあり、そちらに騎士達は1人もいない。
中央部の大魔法攻撃がやんだ後、弓での攻撃が続く。
後方から上位種と思われる大型の魔物がそれらの攻撃を無視するかのように突撃してくる。
エレノア様は、あれだけの魔法攻撃をしたはずなのに、爆発系の魔法から土魔法での攻撃に切り替え、今も魔法を発動させ続けている。
それも無詠唱で。
弓と、石による攻撃で雑魚の足は止まり、そのまま倒れていくが、突撃してくる上位種には効かない。
上位種が数体突出して出たため、後続と切り離されたが、一切気にすることなく単独でこちらに攻めて来た。
敵が近づいて来る。
私が止めるしかない。
ひときわ大きい上位種の前に居た中くらいの魔物を私の専属護衛が止めに行った。
この大きい上位種がオークなのかゴブリンなのか解らないが、巨大な体に、醜悪な顔。
恐怖感を抑え込み、エレノアを守るために上位種に向かって切り込んで行った。
半年ほど前からジルベール様の指導を受け、格段に能力が向上したとはいえ、普段であれば倒せると思えないほど巨大な上位種。
だが、この旅で持って来ていた剣は特別な剣だ。
この剣は飾りの多いただの宝剣ではない。カルスディーナ公爵家が持つ由緒正しい魔剣だ。エイミー様もこの剣はすごいと言っていた。
事前に魔力も込めてあり、魔法による補助によって竜の鱗にもダメージを与える事ができるらしい。
もちろん、当てなければ意味は無いのだが。
大振りで振りかぶってくる上位種の攻撃を身体強化最大でよけ、相手の首元に右から振りかぶり剣を当てる。
残念ながら狙いが少し下になり、肩口に剣が入る。しかし剣は当てるだけで良かった。
相手の自らの動きでそのまま切れていった。
そして、先ほど空振りした相手の大きなこん棒はどこかに飛んで行った。
だが、私の剣が途中で止まった。
最後まで振れ切れない。
上位種がそのままで一歩下がる。
それによって剣が抜ける。位置的に私は上位種の正面に立つことになった。
相手の左腕は私の攻撃によって動かない。
だが、2m近い身長の上位種はその太い右腕で私を殴ろうと振りかぶった。
残念だが、先ほどの攻撃で身体強化の力を使いすぎたせいか、私の体が硬直して動かない。
このままではまずい。
直撃される拳を覚悟したが、相手の攻撃はこちらに来なかった。
後ろからタロウという黒狼が右腕にかみつき止めていた。
僅かに右側をみると上位種の後ろに続いていた敵が存在していなかった。
エレノアがタロウがこちらに来れるように土魔法で石を飛ばして道を作っていたのかもしれない。
そのままタロウが上位種を抑え込む。僅かに遅れて私の騎士達が上位種の足に剣を突き刺した。
「クリシュナ様、もう一度です」
声が聞こえた瞬間、硬直時間が終わったのが解った。
私は飛び上がりもう一度剣を振るった。
今度は相手の動きで切るのではなく、私が剣を振り切った。
上位種の首が落ちる。
それと同時に目の前の巨大な魔物が消え、魔石が落ちる音が聞こえた。
倒せた。
だけど、体が動かない。
限界を超えた身体強化を2度も使った反動だろう。
すぐにタロウと言う黒狼が目の前に来た。
私の前で顔を足元でくいっとやるのが見えた。
すると次の瞬間、空が見えたような気がした。
手になにかの毛の感触がする。黒狼の背中のようだ、多分。
次に、エレノアが私の後ろに落ちて来た。
なぜか、風を感じるが上下に揺れるのに落ちそうな感じは無い。
背中に吸い付くように感じがして、安定していた。
気が付くと堀を超えて街の中に入っていた。
そして、救護班の人達のところで降ろされた。
周りから声をかけられるのだが、体がめちゃくちゃ痛い。
すでに筋肉痛が始まっている。
周りの声も聞こえず、そのまま気絶した。
28
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした
新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。
「もうオマエはいらん」
勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。
ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。
転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。
勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる