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【11】浜中のマネジメント
②
しおりを挟む由唯は浜中と梅田の小綺麗なおでん屋の半個室に居た。
ゴルフのラウンドのお礼と言う事で由唯から浜中を誘ったのだった。
おでん10種盛りを食べながら「あの日はゴルフ代も出して頂いたうえに、美味しいお肉までご馳走になってありがとうございました。今日は神戸牛というわけにはいきませんが、私にお礼をさせてください」
「あはははは、そんなの気にしないで下さい。誘ったのは僕ですし、あんなに楽しかったのは久しぶりでした。僕の方こそお礼を言いたいと思ってました」
ゴルフの時もそうだったが、気遣いのできる優しい人だなと由唯は好感をもった。
「本宮さん、夏木光ちゃんってゴルフが上手い小学生の女の子知ってますか?」
「知ってます! 確か…2月か3月に世界大会で優勝したんでしたっけ?」
「そうなんです。うちのマネジメント契約しているアスリートなんです」
「そうなんですか? すごいですね。いつ契約したんですか? 有名になってからだと難しいんでしょ?」
浜中は5年前に光ちゃんと契約した経緯を話してくれた。
「すぐに現地行って交渉するって行動力すごいですね」
「あの時は直感でピーンときてすぐに交渉に行かなきゃって思いました。この仕事ってこうすれば正解というものがないから難しいんですよね」
「アスリート探しは最初に選手のご両親の事から調べるんですよ。昔、優秀なスポーツ選手だった子供はポテンシャル高い子が多いですし、親の身長や体型なども参考にします。でもまぁ最後は勘なんですけどね 笑笑」
「えー⁉︎ 最後は勘なんですか? あははははは」
「はい、勘です 笑」
「浜中さんのその直感力で探し出した人達が一流アスリートになっていくなんてほんとすごいですね。やりがいのあるお仕事ですね」
「そうですね。一流アスリートに育っていくのをサポートするのは面白いです。でも、全員が一流になれるわけではありません。マネジメント力が問われます。そこがやりがいですね」
話が一段落したタイミングで由唯がトイレに席を立とうとした時、ちょうど由唯のテーブルの横を知ってる顔が通った。
「あれ、かず……神楽部長と中沢本部長!」
「あれ、本宮さん?」
そう言った和希は由唯の顔から奥の席に座ってる浜中の方に目線を向けた。
和希の後ろにいた中沢も気づいた。
「あっ、本宮さん? こんな所で偶然ですね」
和希が何かを喋ろうとしたが中沢が「神楽さん、デートの邪魔したらダメですから行きましょう 笑」と言って和希の背中を押した。
和希と中沢は浜中に会釈をして奥のテーブルへ消えていった。
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