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第5章
第92話
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俺を微笑ましく見ていた狐人族の皆さんが、ピクリと耳や尻尾を反応させたと思ったら道を開けていく。その開けられた道の奥から明らかに人の領域を超えた存在が人の形をして近寄ってくる。その姿は一見すると狐人族と同じようにしているが、その人類種やもしかしたらリナさんのような悪魔種やモイラさんやセインさんのような幻想種と比較しても遥かに莫大な魔力に魔王種に至ったオーガがまるで子供の様に感じるほどの存在感に魂の格。最後に見せられた悪神の力とも遜色がない。しかも、それが二人もいる
『カイル、警戒を解け。彼女たちは言わば私たちと同じようなものだ。お前も私たちと接するのと同じように接しろ。敬いつつも友人のような存在としてだ』(緑の精霊)
『大丈夫なんですね?狐人族の皆さんは反発しませんか?』
『彼らは基本的には温厚な種族だ。そのくらいで目くじらを立てるほど彼らは愚かな者たちではない』(緑の精霊)
『それは、私たちが保証しましょう』(青の精霊)
精霊様方の方を向くと、全員が珍しく真剣な表情をしている。ここまで精霊様方が真剣な表情をしている時は精霊様方が違えることがない事をいう時のみだ。それだけに信頼も信用も出来る。しかし、普段の精霊様方の感じとのギャップが酷すぎて、最初の頃は驚いていたのが懐かしく感じるほどだ
そして、ついに二人が姿を現す。二人とも黒髪に黒目で頭には狐の耳があり、背中側には九本の尻尾がユラユラしている。女性にしては高身長でありスタイルも出てるところは出て、引っ込んでるところは引っ込んでいる。二人ともが凛とした顔立ちで妖艶な年上美人の雰囲気を纏っている。しかし、性格の差なのか一人は勝気なような気の強そうな顔をしており、もう一人は物静かで穏やかな顔をしている。二人が着ている動きやすそうに色々と改善し、この世界でも違和感のないように改善されている着物に羽織を重ねて羽織っている
歓迎してくれていた狐人族の人々も、女性陣は現れた二人と同じようなデザインの着物だったり日本の着物そのものだったりと多種多様だ。しかし、逆に男性陣は着物を着ているのはご年配の方がただけで若い年代の人々は作務衣を着ている。中には女性陣と同じように作務衣に羽織を重ねて羽織っている者もいる。この辺は目の前の二人の美女の影響なのか、オボロさんとライノスさんという二人の地球の日本出身という転生者の影響なのか。いや、両方の可能性もあるか
「お客人、ようこそいらっしゃいました。我らは貴方方を歓迎いたしますよ」(勝気な女性)
「同じ隠れ里に住む仲間であり、友人です。今回のお祭りも楽しんでいってもらいたいと思っています。ラディス、あとはお願いします」(物静かな女性)
物静かな女性の方が自らの近くに控えていた白髪の七本の尻尾を持つダンディなお爺さんが紺色の着物を着て、羽織を重ねて羽織っている。まるで定規を背中に差しているかのように一本筋たった年齢を感じさせないような綺麗な姿勢をしている。ラディスと呼ばれたそのお爺さんは物静かな女性の問いかけに恭しく一礼し、俺たちの傍に近寄ってくる
化け物のような二人の美女にかき消されてしまっていたが、二人から離れたラディスさんの存在感やその魔力量はこの里を治める長として十分以上に相応しい力量を持っている。そんなラディスさんはまずは話しかけやすく顔見知りのユリアさんに向けて朗らかに笑いながら口を開く
「ユリア、お帰りなさい。レイアさんたちは、お久しぶりです。貴方がカイルさんですね?初めまして、この狐人族の隠れ里の今代の長であるラディス、と申します。どうぞ、よろしくお願いします」(ラディス)
「初めまして、カイルと申します。姉が昨年の祭事、お祭りの際にはお世話になりました。今年は私も参加させていただけるようで、感謝します。こちらこそ、よろしくお願いします」
「お爺様、今年もよろしくお願いいたします。皆の案内は去年と同様に私がいたしますので、お爺様たちはいつも通りにお願いいたしますね」(ユリア)
「分かっているよ、ユリア。私たちは私たちでいつも通りに祭事の準備に取り掛かる。ユリアは皆と一緒に楽しんでゆっくりと心と体を静養させなさい」(ラディス)
「はい、ありがとうございます」
ユリアさんがラディスさんそっくりの綺麗な姿勢で一礼する。そのユリアさんの姿をラディスさんは少しだけニコリとして朗らかな笑顔のまま見ている。それに、ラディスさんの笑顔の中に彼女の事を誇らしく思っているような様子も伺える。ラディスさんはそのまま再び俺たちに向かって一礼して再び二人の美女の傍に戻っていった。二人の美女は何故か俺たちの方に視線を向けていた。正確には、俺の後ろにいる精霊様方をしっかりと捉えている。勝気な女性も、物静かな女性のどちらもだ
『見えているんですか?二人とも』
『ああ、あの二人は私たちの非実体化を見抜ける数少ない超高位存在の内の一部だ』(緑の精霊)
『それでも、私たちが本気を出せば…………』(赤の精霊)
『不可能、無理。例え二人であっても、かくれんぼで負ける気がしない』(黄の精霊)
『茶化さないの。カイル、大丈夫よ。簡単に言えば、昔からの知り合いよ。友好的な関係でもあるわ。私たちが見えていても、それを安易に口に出すことはしないわ。でも、接触してくることは間違いはないわ。呼ばれる可能性がある事だけは覚悟しておいてね』(青の精霊)
『了解』
勝気な女性と物静かな女性の二人が里の奥の方に来た道を戻っていく。狐人族の人々は示し合わせたように同じタイミングで幼児からご年配まで全員が頭を下げる。ユリアさんのお爺さんであるラディスさんも二人についていって里の奥に向かって歩いていく。俺たちも狐人族の人々に合わせるように二人の美女とラディスさんに向けて一礼する。二人の美女とラディスさんがこの場から完全にいなくなると狐人族の人々も完全にいつも風景に戻ったようにガヤガヤと隣人や家族と話しながら日常に戻っていく
俺たちはユリアさんに先導してもらい外からの来客用に用意されていたいくつかの日本家屋が纏められている区画にたどり着いた。まあ、隠れ里なので外からの来客などゼロに等しいらしい。来るとしても他の隠れ里の獣人の長との重要な会議の時などにくる他の隠れ里の使者や長たち、それにいつもは暇しているあの二人の美女の友人の高位存在の方々などに限られるというのをユリアさんが歩きながら教えてくれる
「今回は高位の存在の方々のご予約は入ってないわ。まあ、あの方々は気まぐれだから急に泊まらせて欲しいと言ってくる可能性はあるけどね、それについては全てこっちの方で対応するから問題はないわ。だから、何も気にしないで。とりあえず、今日の所は案内とこの里の美味しいものを堪能してもらいましょう」(ユリア)
日本家屋はいくつもあるので女性陣と男性陣で別れる事にしようとしたが姉さんはともかく、他の皆もモイラさんの故郷の時と同様に全員一緒でいいとの事で押し切られてしまった。まあ、女性陣の考えていることは特に考えなくても分かるし、顔に出過ぎている。相変わらず皆さんは食に対して忠実ですね
ある程度の荷物を日本家屋に置いて、ユリアさんの案内の元で様々な場所を巡った。所々でオボロさんとライノスさんの影響が見え隠れする。料理にも、酒にも、本当に様々な所に地球の知識と技術が存在した。懐かしみながらも、それ等をユリアさんの言葉通りに堪能し満足して到着初日を終えた
『カイル、警戒を解け。彼女たちは言わば私たちと同じようなものだ。お前も私たちと接するのと同じように接しろ。敬いつつも友人のような存在としてだ』(緑の精霊)
『大丈夫なんですね?狐人族の皆さんは反発しませんか?』
『彼らは基本的には温厚な種族だ。そのくらいで目くじらを立てるほど彼らは愚かな者たちではない』(緑の精霊)
『それは、私たちが保証しましょう』(青の精霊)
精霊様方の方を向くと、全員が珍しく真剣な表情をしている。ここまで精霊様方が真剣な表情をしている時は精霊様方が違えることがない事をいう時のみだ。それだけに信頼も信用も出来る。しかし、普段の精霊様方の感じとのギャップが酷すぎて、最初の頃は驚いていたのが懐かしく感じるほどだ
そして、ついに二人が姿を現す。二人とも黒髪に黒目で頭には狐の耳があり、背中側には九本の尻尾がユラユラしている。女性にしては高身長でありスタイルも出てるところは出て、引っ込んでるところは引っ込んでいる。二人ともが凛とした顔立ちで妖艶な年上美人の雰囲気を纏っている。しかし、性格の差なのか一人は勝気なような気の強そうな顔をしており、もう一人は物静かで穏やかな顔をしている。二人が着ている動きやすそうに色々と改善し、この世界でも違和感のないように改善されている着物に羽織を重ねて羽織っている
歓迎してくれていた狐人族の人々も、女性陣は現れた二人と同じようなデザインの着物だったり日本の着物そのものだったりと多種多様だ。しかし、逆に男性陣は着物を着ているのはご年配の方がただけで若い年代の人々は作務衣を着ている。中には女性陣と同じように作務衣に羽織を重ねて羽織っている者もいる。この辺は目の前の二人の美女の影響なのか、オボロさんとライノスさんという二人の地球の日本出身という転生者の影響なのか。いや、両方の可能性もあるか
「お客人、ようこそいらっしゃいました。我らは貴方方を歓迎いたしますよ」(勝気な女性)
「同じ隠れ里に住む仲間であり、友人です。今回のお祭りも楽しんでいってもらいたいと思っています。ラディス、あとはお願いします」(物静かな女性)
物静かな女性の方が自らの近くに控えていた白髪の七本の尻尾を持つダンディなお爺さんが紺色の着物を着て、羽織を重ねて羽織っている。まるで定規を背中に差しているかのように一本筋たった年齢を感じさせないような綺麗な姿勢をしている。ラディスと呼ばれたそのお爺さんは物静かな女性の問いかけに恭しく一礼し、俺たちの傍に近寄ってくる
化け物のような二人の美女にかき消されてしまっていたが、二人から離れたラディスさんの存在感やその魔力量はこの里を治める長として十分以上に相応しい力量を持っている。そんなラディスさんはまずは話しかけやすく顔見知りのユリアさんに向けて朗らかに笑いながら口を開く
「ユリア、お帰りなさい。レイアさんたちは、お久しぶりです。貴方がカイルさんですね?初めまして、この狐人族の隠れ里の今代の長であるラディス、と申します。どうぞ、よろしくお願いします」(ラディス)
「初めまして、カイルと申します。姉が昨年の祭事、お祭りの際にはお世話になりました。今年は私も参加させていただけるようで、感謝します。こちらこそ、よろしくお願いします」
「お爺様、今年もよろしくお願いいたします。皆の案内は去年と同様に私がいたしますので、お爺様たちはいつも通りにお願いいたしますね」(ユリア)
「分かっているよ、ユリア。私たちは私たちでいつも通りに祭事の準備に取り掛かる。ユリアは皆と一緒に楽しんでゆっくりと心と体を静養させなさい」(ラディス)
「はい、ありがとうございます」
ユリアさんがラディスさんそっくりの綺麗な姿勢で一礼する。そのユリアさんの姿をラディスさんは少しだけニコリとして朗らかな笑顔のまま見ている。それに、ラディスさんの笑顔の中に彼女の事を誇らしく思っているような様子も伺える。ラディスさんはそのまま再び俺たちに向かって一礼して再び二人の美女の傍に戻っていった。二人の美女は何故か俺たちの方に視線を向けていた。正確には、俺の後ろにいる精霊様方をしっかりと捉えている。勝気な女性も、物静かな女性のどちらもだ
『見えているんですか?二人とも』
『ああ、あの二人は私たちの非実体化を見抜ける数少ない超高位存在の内の一部だ』(緑の精霊)
『それでも、私たちが本気を出せば…………』(赤の精霊)
『不可能、無理。例え二人であっても、かくれんぼで負ける気がしない』(黄の精霊)
『茶化さないの。カイル、大丈夫よ。簡単に言えば、昔からの知り合いよ。友好的な関係でもあるわ。私たちが見えていても、それを安易に口に出すことはしないわ。でも、接触してくることは間違いはないわ。呼ばれる可能性がある事だけは覚悟しておいてね』(青の精霊)
『了解』
勝気な女性と物静かな女性の二人が里の奥の方に来た道を戻っていく。狐人族の人々は示し合わせたように同じタイミングで幼児からご年配まで全員が頭を下げる。ユリアさんのお爺さんであるラディスさんも二人についていって里の奥に向かって歩いていく。俺たちも狐人族の人々に合わせるように二人の美女とラディスさんに向けて一礼する。二人の美女とラディスさんがこの場から完全にいなくなると狐人族の人々も完全にいつも風景に戻ったようにガヤガヤと隣人や家族と話しながら日常に戻っていく
俺たちはユリアさんに先導してもらい外からの来客用に用意されていたいくつかの日本家屋が纏められている区画にたどり着いた。まあ、隠れ里なので外からの来客などゼロに等しいらしい。来るとしても他の隠れ里の獣人の長との重要な会議の時などにくる他の隠れ里の使者や長たち、それにいつもは暇しているあの二人の美女の友人の高位存在の方々などに限られるというのをユリアさんが歩きながら教えてくれる
「今回は高位の存在の方々のご予約は入ってないわ。まあ、あの方々は気まぐれだから急に泊まらせて欲しいと言ってくる可能性はあるけどね、それについては全てこっちの方で対応するから問題はないわ。だから、何も気にしないで。とりあえず、今日の所は案内とこの里の美味しいものを堪能してもらいましょう」(ユリア)
日本家屋はいくつもあるので女性陣と男性陣で別れる事にしようとしたが姉さんはともかく、他の皆もモイラさんの故郷の時と同様に全員一緒でいいとの事で押し切られてしまった。まあ、女性陣の考えていることは特に考えなくても分かるし、顔に出過ぎている。相変わらず皆さんは食に対して忠実ですね
ある程度の荷物を日本家屋に置いて、ユリアさんの案内の元で様々な場所を巡った。所々でオボロさんとライノスさんの影響が見え隠れする。料理にも、酒にも、本当に様々な所に地球の知識と技術が存在した。懐かしみながらも、それ等をユリアさんの言葉通りに堪能し満足して到着初日を終えた
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