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44. 月満ちる(前)
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部屋の中に招き入れたカイの全身を、改めて撫で回す。癖のある、少し跳ねた毛。しっかりと肉の付いた背中。服に包まれたままでも分かる張りのある脚と、その上にある引き締まった臀部。尻を持ち上げるようにしてカイの下腹部に自身の膨らみを押し付けると、布地の向こうにも同じく熱く、硬いものがあるのが分かった。
「あ、のっ、ヴィクトールさん!」
何かを決心したようにヴィクトールを見上げたカイに、強く腕を引かれた。突き飛ばすようにベッドに座らされ、足の間に膝をつくカイを眺める。
「き、今日は……俺に! やらせてください!」
「わかった」
緊張して意気込んでいる様子が、なんとも微笑ましい。羽織っていたローブを脱ぐと、まるで壊れ物でも扱うかのようにカイの指先が伸びてきた。服を突き破らんばかりに膨らんだ部分を柔らかく擦られ、ヴィクトールは喘いだ。優しすぎてもどかしい。
真剣に、だがもたもたと布地の上を彷徨うカイの手が耐えられなくなり、ヴィクトールは自分の服に手をかけた。早くも先端から汁を垂らし始めた屹立を露出させ、カイの鼻先に突き出す。ごくりとカイの喉仏が動いた。濡れた舌先が覗く唇の間に、自らの先端が飲み込まれていくのをじっと眺める。
「あ……っ」
熱く包み込まれる感触に、ヴィクトールは小さく声を上げた。先端を吸われ、敏感な部分を嘗め回される感触に、腰の奥が熱くなる。カイの頭に手を伸ばし、いい、と掠れた声で訴えると、ヴィクトールのものを咥えたまま嬉しそうに見上げてくるカイと視線が合った。まるで極上の蜂蜜酒でも口にしているかのように蕩けるような表情だが、瞳の奥にはそれを飲みつくしてやろうとでもいうような捕食者の色がある。
食われる。ぞくりとして手の中にカイの髪の毛を握りこんだ。食べられたい。骨の一本、血の一滴すら残らないほどにしゃぶりつくされ、全てを奪われ、何も分からなくなってしまうほどに蹂躙されたい。カイに壊されるなら幸せだ。
カイの舌遣いも、口の動きも、決して上手ではない。だが、恐らくはじめてなのだろうその行為を一生懸命に、しかも嬉しそうにやってくれるカイの様子は、視覚からヴィクトールを燃え上がらせた。
「んっ……」
口いっぱいにヴィクトールのものを頬張ったカイは、真鍮色の下生えの中に手を伸ばした。入りきらなかった根元部分を握りしめる。舌の動きと同時にそこを扱き上げられ、ヴィクトールの口からは愉悦の声が漏れた。目の前にある景色が煽情的すぎて、拙い刺激でも強烈な快感の波が襲ってくる。音を立てながらカイが口を前後に動かすと、唾液に濡れたヴィクトールの屹立がランプの光を反射した。
「うぁ、あ……あっ」
背中を這い上がる感覚は、早くも限界に近い。喉奥まで飲み込ませたい欲求を抑えながら、カイの耳の襞をなぞる。
「あ、カイ、もう出っ……」
息も絶え絶えに呟くと、上目遣いのカイは嬉しそうに目を細め、手と口の動きを激しくさせた。だめ、と口にしたもののヴィクトールの体は言うことを聞かず、離すまいとカイの頭を足の間に抱え込んでいる。
「うう……っ!」
脳天をつく快楽に呻きながら、温かい口の中に精を吐き出す。搾り出すようにしてすべてを出し切ったヴィクトールが目を開けると、ゆっくりとカイが顔を離していくところだった。口内のものを持て余している様子である。
「あ、っ……ごめ……」
頭がくらくらしてうまく働かない。ヴィクトールは掠れた声で謝罪し、その口元に手のひらを差し出すのがやっとだった。だが涙目のカイは口を押さえて首を振り、何回かえずいた後に苦しそうに口の中にあったものを喉の奥に押し込んでしまった。
「……だ、だいじょぶ……?」
「はい」
肩で大きく息をした表情は、どこか得意げだ。厚みのある胸板にふわふわと怠い体を預けて余韻に浸っていると、大きな手に背中を支えられ、そっとベッドに横たえられた。あっという間に服を脱ぎ捨てたカイが横に来る。
「あ、のっ、ヴィクトールさん!」
何かを決心したようにヴィクトールを見上げたカイに、強く腕を引かれた。突き飛ばすようにベッドに座らされ、足の間に膝をつくカイを眺める。
「き、今日は……俺に! やらせてください!」
「わかった」
緊張して意気込んでいる様子が、なんとも微笑ましい。羽織っていたローブを脱ぐと、まるで壊れ物でも扱うかのようにカイの指先が伸びてきた。服を突き破らんばかりに膨らんだ部分を柔らかく擦られ、ヴィクトールは喘いだ。優しすぎてもどかしい。
真剣に、だがもたもたと布地の上を彷徨うカイの手が耐えられなくなり、ヴィクトールは自分の服に手をかけた。早くも先端から汁を垂らし始めた屹立を露出させ、カイの鼻先に突き出す。ごくりとカイの喉仏が動いた。濡れた舌先が覗く唇の間に、自らの先端が飲み込まれていくのをじっと眺める。
「あ……っ」
熱く包み込まれる感触に、ヴィクトールは小さく声を上げた。先端を吸われ、敏感な部分を嘗め回される感触に、腰の奥が熱くなる。カイの頭に手を伸ばし、いい、と掠れた声で訴えると、ヴィクトールのものを咥えたまま嬉しそうに見上げてくるカイと視線が合った。まるで極上の蜂蜜酒でも口にしているかのように蕩けるような表情だが、瞳の奥にはそれを飲みつくしてやろうとでもいうような捕食者の色がある。
食われる。ぞくりとして手の中にカイの髪の毛を握りこんだ。食べられたい。骨の一本、血の一滴すら残らないほどにしゃぶりつくされ、全てを奪われ、何も分からなくなってしまうほどに蹂躙されたい。カイに壊されるなら幸せだ。
カイの舌遣いも、口の動きも、決して上手ではない。だが、恐らくはじめてなのだろうその行為を一生懸命に、しかも嬉しそうにやってくれるカイの様子は、視覚からヴィクトールを燃え上がらせた。
「んっ……」
口いっぱいにヴィクトールのものを頬張ったカイは、真鍮色の下生えの中に手を伸ばした。入りきらなかった根元部分を握りしめる。舌の動きと同時にそこを扱き上げられ、ヴィクトールの口からは愉悦の声が漏れた。目の前にある景色が煽情的すぎて、拙い刺激でも強烈な快感の波が襲ってくる。音を立てながらカイが口を前後に動かすと、唾液に濡れたヴィクトールの屹立がランプの光を反射した。
「うぁ、あ……あっ」
背中を這い上がる感覚は、早くも限界に近い。喉奥まで飲み込ませたい欲求を抑えながら、カイの耳の襞をなぞる。
「あ、カイ、もう出っ……」
息も絶え絶えに呟くと、上目遣いのカイは嬉しそうに目を細め、手と口の動きを激しくさせた。だめ、と口にしたもののヴィクトールの体は言うことを聞かず、離すまいとカイの頭を足の間に抱え込んでいる。
「うう……っ!」
脳天をつく快楽に呻きながら、温かい口の中に精を吐き出す。搾り出すようにしてすべてを出し切ったヴィクトールが目を開けると、ゆっくりとカイが顔を離していくところだった。口内のものを持て余している様子である。
「あ、っ……ごめ……」
頭がくらくらしてうまく働かない。ヴィクトールは掠れた声で謝罪し、その口元に手のひらを差し出すのがやっとだった。だが涙目のカイは口を押さえて首を振り、何回かえずいた後に苦しそうに口の中にあったものを喉の奥に押し込んでしまった。
「……だ、だいじょぶ……?」
「はい」
肩で大きく息をした表情は、どこか得意げだ。厚みのある胸板にふわふわと怠い体を預けて余韻に浸っていると、大きな手に背中を支えられ、そっとベッドに横たえられた。あっという間に服を脱ぎ捨てたカイが横に来る。
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