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モモ 5
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「座って、座ってー」
モモがしま子にテーブルに着くよう言いました。するとしま子だけでなくイヌ、サル、キジ、オニまでもがぞろぞろと着席しました。
「ど、どうしたの?みんな、、、」
皆、無言です。
「ゆきぽー、向こうでお昼寝してていいんだよ?」
「・・・・・・」
無言です。
「きじこー、向こうでディと一緒に絵本読んでてくれるかなぁ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人とも無言です。
「ねぇ、シュタっち、悪いんだけどお茶淹れてくれない?」
「自分で淹れてください」
(こわっ!)
皆、怒っているようです。この突然連れてきた、しま子という人物はモモとどういう関係なのだ?と。野生では新入りに対して厳しいのです。皆がしま子を睨みます。最初に自分の立場というものを自覚させることが重要なのでした。
モモも並々ならぬ雰囲気を感じ取り、ゆっくり丁寧に事の成り行きを説明しました。
家族会議です。
「・・・という訳なんだよ」
・・・・・・
皆、モモの説明を聞いている間も無言でしたが、一番最初に口を開いたのはゆきぽでした。やはり、モモの最初の仲間という自負があるのでしょう。
「確認したいのですが、」
ゆきぽがしま子の目を見据えます。
しま子は変な所に来てしまったな、と少し後悔していました。ですが他に行くところもないので、どうしようもありません。
「、、、はい。なんでしょう?」
「アナタ、、、男ですか?」
ゆきぽは鼻が利くので、男か女かは分かります。分かるのですが、目の前にいる人物を見た目では判断できませんでした。というのもしま子の肌はよく日焼けして黒く、体は余分な脂肪など付いておらず引き締まっています。それに均整の取れた顔はメス犬のゆきぽから見てもカッコいいと思いました。ゆきぽの鼻は女だと言っていますが、見た目は男なのです。
「ゆきぽ、失礼だよ。」
流石にモモもたしなめます。
「いえ、いいんです。よく間違われるので。アタシは女です。」
皆、一応は胸をなでおろしました。男であったのなら、即刻叩きだしていたところでしょう。
修羅場は回避されました。
今度はしま子が聞きました。
「あの、皆さん、、、その、何と言えばいいのか、、、」
しま子が言葉を濁したので、モモが察して応えました。
「この子たちは獣人だよ。こっちはオニだね」
「はぁ・・・?」
お互いペコペコと会釈だけはしました。
「あの、この時代というのは、その、獣人?や鬼が普通に居るものなんですか?」
「あー、うちは特別かなぁ。まあ、世の中不思議なこともあるよねー。ちなみにあーしはモモから生まれたんだよ。笑えるっしょ?」
誰も笑いませんでした。
モモが取り繕います。
「あはは、、、そう言う、しま子さんも中々の不思議体験してるじゃん?浦島太郎ってホントに居たんだねー」
「きじこ、ソレ知ってる」
きじこはタブレットを持ってきて、画面を開きました。
「なんですか?ソレ」
「浦島太郎。」
しま子が聞いたのはタブレットの方でしょう。彼女には初めて見るモノでした。
「しま子さん、浦島太郎知らないみたいだから読んでみたら?何か分かるかもしれないし」
「あ、、、アタシ、文字があまり読めなくて。寺子屋にはほとんど行けなかったから」
「そっか、そっか。でも大丈夫だよ。音声で読み上げてくれるから」
モモはタブレットを操作してあげました。
『むかーし、むかし、ある所に浦島太郎という・・・』
モモがしま子にテーブルに着くよう言いました。するとしま子だけでなくイヌ、サル、キジ、オニまでもがぞろぞろと着席しました。
「ど、どうしたの?みんな、、、」
皆、無言です。
「ゆきぽー、向こうでお昼寝してていいんだよ?」
「・・・・・・」
無言です。
「きじこー、向こうでディと一緒に絵本読んでてくれるかなぁ」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
二人とも無言です。
「ねぇ、シュタっち、悪いんだけどお茶淹れてくれない?」
「自分で淹れてください」
(こわっ!)
皆、怒っているようです。この突然連れてきた、しま子という人物はモモとどういう関係なのだ?と。野生では新入りに対して厳しいのです。皆がしま子を睨みます。最初に自分の立場というものを自覚させることが重要なのでした。
モモも並々ならぬ雰囲気を感じ取り、ゆっくり丁寧に事の成り行きを説明しました。
家族会議です。
「・・・という訳なんだよ」
・・・・・・
皆、モモの説明を聞いている間も無言でしたが、一番最初に口を開いたのはゆきぽでした。やはり、モモの最初の仲間という自負があるのでしょう。
「確認したいのですが、」
ゆきぽがしま子の目を見据えます。
しま子は変な所に来てしまったな、と少し後悔していました。ですが他に行くところもないので、どうしようもありません。
「、、、はい。なんでしょう?」
「アナタ、、、男ですか?」
ゆきぽは鼻が利くので、男か女かは分かります。分かるのですが、目の前にいる人物を見た目では判断できませんでした。というのもしま子の肌はよく日焼けして黒く、体は余分な脂肪など付いておらず引き締まっています。それに均整の取れた顔はメス犬のゆきぽから見てもカッコいいと思いました。ゆきぽの鼻は女だと言っていますが、見た目は男なのです。
「ゆきぽ、失礼だよ。」
流石にモモもたしなめます。
「いえ、いいんです。よく間違われるので。アタシは女です。」
皆、一応は胸をなでおろしました。男であったのなら、即刻叩きだしていたところでしょう。
修羅場は回避されました。
今度はしま子が聞きました。
「あの、皆さん、、、その、何と言えばいいのか、、、」
しま子が言葉を濁したので、モモが察して応えました。
「この子たちは獣人だよ。こっちはオニだね」
「はぁ・・・?」
お互いペコペコと会釈だけはしました。
「あの、この時代というのは、その、獣人?や鬼が普通に居るものなんですか?」
「あー、うちは特別かなぁ。まあ、世の中不思議なこともあるよねー。ちなみにあーしはモモから生まれたんだよ。笑えるっしょ?」
誰も笑いませんでした。
モモが取り繕います。
「あはは、、、そう言う、しま子さんも中々の不思議体験してるじゃん?浦島太郎ってホントに居たんだねー」
「きじこ、ソレ知ってる」
きじこはタブレットを持ってきて、画面を開きました。
「なんですか?ソレ」
「浦島太郎。」
しま子が聞いたのはタブレットの方でしょう。彼女には初めて見るモノでした。
「しま子さん、浦島太郎知らないみたいだから読んでみたら?何か分かるかもしれないし」
「あ、、、アタシ、文字があまり読めなくて。寺子屋にはほとんど行けなかったから」
「そっか、そっか。でも大丈夫だよ。音声で読み上げてくれるから」
モモはタブレットを操作してあげました。
『むかーし、むかし、ある所に浦島太郎という・・・』
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