皇国の栄光

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メモ魔とマレーの虎

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1937年、12月。
日本軍の支援もあり、国民革命軍は反乱勢力を駆逐しつつあった。
これにより蒋介石は会談内容を履行した。
比較的に穏やかな日々を過ごす日本だったが、石原は違った。
昔の上司である関東軍参謀長の東条英機が話がしたいといってきたのだ。
石原は東条のことが苦手だったが、昔のことと陸軍大臣に推薦してもらったこともあり無下にはできなかった。
そして石原は気が重たいながらも待ち合わせ場所の小料理屋に入った。
「石原君。久しぶりだな。」
東条はすでに来ていた。
待ち合わせよりだいぶ早く来たつもりだったが、東条の方が早かった。
「こちらこそ。東条参謀もお変わりがないようで。」
「君の活躍は聞いてる。私では到底できないことだった。やはり君を推薦してよかった。」
「その折はありがとうございます。それはそうとして今日の要件は?」
東条は石原を正面に見据える。
「君は関東軍時代もよく私に反抗してきた。ただ君の考えは筋が通っていた。だから私はそのままにしていた。だが今や君は陸軍大臣だ。上司と言えば総理と陛下しかおられない。総理はまだ許せる。だが陛下にたてついてはいけない。」
「わかっています。上に立つものにはそれ相応の振る舞いが求められることも。どうか安心してください。」
そう石原がいうと東条は安心したように肩の力を抜いた。
「わかっているなら、それでいい。これからも帝国の、陛下のために努力してくれ。」
その後は世間話や軍備の話をし、ここでも激しい議論が繰り広げられたが心なしか東条は嬉しそうな顔をしていた。


石原が東条と会っていた時、安藤も昔の上官を訪ねていた。
「お久しぶりです。山下将軍。」
「おっ。来たな安藤。元気だったか?」
そう親し気に聞いてくるのは山下奉之中将だった。
かれは安藤が決起未遂の時に所属していた歩兵第三連隊の連隊長で、現在は石原大臣の夢である日本陸軍装甲部隊創設に尽力している。
「なぜ私をお呼びになったんです?」
安藤がそう尋ねると山下は親のような顔で言った。
「お前が心配だったからだ。2月26日にしでかしかけたこと、忘れちゃいないぞ。」
安藤は驚いた。
山下にはバレていないと思っていたからである。
「バレていないとでも思ってたか?兵舎がもぬけの殻だったふつう気づくだろう。」
「そうだったんですか。ではなぜあの時知らないふりをなされたんですか?」
「多分俺がそのことを知ってると分かるとお前、切腹もしかねんと思ったからだ。どうしようか考えていた時にちょうど石原閣下からの打診があったから、送り出したんだ。」
安藤は自分の未熟さを恥じた。
昔の上官をここまで心配させていたとは思わなかった。
「まあ、見た感じうまく行けてるみたいだな。」
「石原閣下は少し変わった方ではありますがとても理想的な軍人でおられます。」
「そうか。そうか。それは良かった。では私の話は終わりだが久しぶりに隊の連中に顔を見せに行くぞ。」
「はい。」
そして彼らは隊で熱烈な歓迎を受けた。
山下は少し安堵した顔つきだった。
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