皇国の栄光

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敵機直上

11時34分。
四航戦旗艦龍驤の指令室は悩んでいた。
「まさか偵察機に発見されるとは。」
角田がそう零す
11時28分、龍驤のレーダーが機影を感知。
すぐに迎撃機を出したが敵に電報を打たれた。
「単純な戦力比だとかないませんね。」
幕僚の一人が言う。
「ここは一旦退くしかないか。」
「貴様、何を言う!帝国海軍は退かぬ!」
「ここで無様に損害を出すより、一度退いて再起を図る方が堅実だろうが!」
そんな喧騒を角田は静止した。
「全員落ち着け。我々の目標は敵空母の撃滅ではない。ミッドウェー島攻略の支援と敵空母の足止めだ。そのことを忘れないように。」
先ほどまで騒いでいた幕僚たちは一気になりを潜めた。
「先ほど、こちらも敵機動部隊を発見した。どうやら結構距離があるようだ。なのでおそらく敵空母からの攻撃はない。だがそれは我々も同じことだ。そこで私は君たちに提案する。」
角田はここで一度幕僚たちの顔を窺った。
誰もが真剣な顔持ちだった。
「我々四航戦を敵空母にむけて突撃させてはどうか。」
そう言った瞬間、指令室内は驚愕の雰囲気で包まれた。
「前にでれば自ずと敵空母との距離が縮まる。そうすれば航続距離の問題も解消できる。」
「ですが、それは我々自身も敵の間合いに入るということですか?」
幕僚の1人がそう尋ねる。
「そういうことになる。だが奴らが攻撃する前に甲板に一発、爆弾を落とせばそれで我々の勝利は決まったも同然になる。」
そこまで言うと幕僚全員が納得の顔をした。
そうして12時12分。
空母、龍驤、春日丸から98式20機、艦攻38機を出撃させた。
この時、艦隊防空用に充てられていたのは補用機の98式5機だけだった。
一種の博打のような攻撃だった。


ウィルソン・ブラウン提督は日本空母発見の報を聞いて歓喜していた。
敵は軽空母2隻で我がレキシントンには何をとっても敵わない。
航空機も我々が圧倒的であると考えていた。
「提督。機影です数はおよそ60ほど。」
通信員が報告する。
「おそらく、ミッドウェーへ向かうエンタープライズの航空隊だろう。彼らは真珠湾近くにいるはずだ。」
そういうと通信員も納得した。
だがその航空機はミッドウェーではなくこちらに向かってきていた。
「提督、やはり変です。あの編隊はこちらに向かって飛んできています。」
「ではなんだ。我々を攻撃するために飛んでいるというのか。日本軍とはかなりの距離があった。我々の航空機より性能が劣る日本機が来れるはずがない。」
そうして航空機が視認できるようになった。
「エンタープライズの航空隊が何の用だ?先ほどから無線封鎖を解いて打電しているのに一向に向きを変えん。」
通信員がまじまじと双眼鏡を見る。
「提督!あれは日本軍です!」
「なんだと!?」
もうすでに分かっていたのか戦闘機が緊急発進していく。
「対空射撃始め!」
ブラウンはすぐに防衛準備をさせた。
弾幕が張られ始める。
戦闘機も応戦し始めるが敵戦闘機に呆気なく落とされる。
そして超低空で侵入してくる雷撃隊に気を取られるあまり、上空の守りがおろそかになった。
「敵機直上!」
見張り員が悲鳴に近い声で叫ぶ。
そして、3機の艦攻が800キロ爆弾を投下した。
ブラウンはただ落ちてくる爆弾を見つめていた
そして、甲板に2発命中。
1発は攻撃準備機を巻き込みながら爆弾や魚雷に誘爆し、甲板を炎上させた。
もう1発は格納庫まで貫通。
内部で巨大な爆発を起こした。
この攻撃のさなかにも雷撃隊が2本魚雷を投下し、命中。
ブラウンは轟轟と燃え上がる甲板を呆然と見つめていた。
「提督!我が艦はもうだめです!インディアナポリスにお移りください!」
「…わかった。」
この後の第二次、第三次、第四次攻撃で重巡シカゴ、ポートランド、アストリアと他の補助艦は撃沈されたもののインディアナポリスは生き残り、真珠湾をめざした。
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