皇国の栄光

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悲しむべき事件

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宮内七三率いる一式陸上攻撃機26機は雲の上で足踏みしていた。
「くそ、これでは敵艦がどこにいるかわからん。」
宮内はいらいらしながら言った。
すると搭乗員が報告した。
「機長、友軍機が水上偵察機を発見したようです。」
「水上機か。なら艦艇からだな。それにこの海域には我々の艦艇がいない。決まりだな。」
そういうと宮内は水上機の後を追った。


プリンス・オブ・ウェールズは航行の自由を失いつつあった。
そんな時に日本軍が攻撃を開始した。
この攻撃でプリンス・オブ・ウェールズとレパルスはそれぞれ5本の魚雷を食らい、インドミタブルはすでに沈没。そしてレパルスはわずか5分で転覆。
一次大戦から二次大戦まで戦い抜いた老艦は眠りについた。
そしてプリンス・オブ・ウェールズも水平爆撃が開始され、その時が近づく。


「提督!はやく退艦を!」
幕僚の一人がそう言う。
「提督はまだ亡くなってはいけません!なのでどうか…。」
他の幕僚がそう言おうとした時、それを遮るようにフィリップスが言い放った。
「その必要はない。私はこの艦が好きだ。だから最期は好きなものに囲まれて死にたい。」
その確固たる信念を感じ取った幕僚たちはそのまま駆逐艦に乗り移った。
「元気でな。」
フィリップスはそう叫び手を振った。
幕僚たちが見えなくなるとフィリップスはおもむろに振り返った。
「艦長が艦と運命を共にするのは無益なんじゃないのか?リーチ艦長。」
すると物陰からプリンス・オブ・ウェールズ艦長、ジョン・リーチが頭をかきながら出てきた。
「まさかばれているとは思いませんでしたよ。司令官。私は部下を多く死なせた将校に生き残る選択肢はないと思っただけですよ。」
「そうか。君も死にたがりか。」
「司令官ほどではありませんけど。」
二人の英国紳士は上品に笑った。
「どうだ?指令室でスコーンでも食べながら紅茶をたしなもうじゃないか。」
「それはいいですね。ですがスコーンなんかあるんですか?」
「昨日、作っていたやつが残ってる。最期なんだから腹を壊しても問題あるまい。」
「それもそうですね。」
そういうと二人は艦橋の中に入っていった。
それから数分後に英国の不沈艦、プリンス・オブ・ウェールズは時代に飲まれた。


「イギリス海軍始って以来の悲しむべき事件がおこった。」
英国議会でのチャーチル首相の第一声はとても悲しげに言った。
「今日、我々の不沈艦であるプリンス・オブ・ウェールズと歴戦の勇者であるレパルス、空母インドミタブルがマレー沖にて日本の航空機に撃沈された。」
議会がどよめき、説明を求める声が議会を埋め尽くした。


駆逐艦エクスプレスは乗員の救助におわれていた。
「はやく、収容しろ!」
また艦長の怒号が聞こえる。
そのとき上空にけたたましいエンジン音が聞こえた。
「やつらだ…。奴らが来たぞ!」
海面の将兵や駆逐艦の乗組員までもがパニックに陥った。
「対空戦闘用意!」
艦長がそう命令する。
だが日本軍が寄こしたのは爆弾ではなく電文だった。
『我の任務は完了せり。救助活動を続行されたし。』
「これが…武士道というものなのか。」
艦長が涙をこらえながら言った。
その内容が伝達されたのか、甲板上の乗組員が日本機に帽子を振った。
この瞬間だけかつての同盟が再起したと艦長は感じた。
その後、彼らは無事にシンガポールに寄港できた。
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