皇国の栄光

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マレー沖の不沈艦

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12月10日。
トーマス・フィリップス中将は意気揚々としていた。
日本船団はもうすぐそばにいる。
英国海軍が誇るプリンス・オブ・ウェールズが日本の侵略の刃をへし折ることを確信していた。
また艦隊防空にはインドミタブルのフルマー戦闘機が10機ついていた。
フィリップスは日本の航空隊はイタリアと同列と考えていて、戦闘機10機は逆に過剰すぎる戦力だと思っていた。


大洋を進む6つの艦艇。
その下には旭日を背負う潜水艦が潜んでいた。
「敵、艦隊発見!」
「すぐに打電しろ!」
北村惣七艦長はせかしながら言った。
「艦長、雷撃はどうしますか?」
副官が聞いてくる。
「するに決まっているだろう。」
そう北村がいうと副官は早速攻撃準備に取り掛かった。
その後、魚雷は発射されたもののすべて外れた。


「少将。伊58から敵艦発見の知らせが来ました。」
松永貞一は冷静に言う。
「そうか。ではこちらも索敵機を出そう。発見でき次第攻撃隊を全力出撃させろ。新型の出番だ。」
「はっ!」
副官は音をたてて出ていく。
その後、金剛を主力とする近藤中将率いる第二艦隊が攻撃しようとするも間に合わず、英国東洋艦隊の撃破は航空隊に委ねられた。


12時30分。
レパルスの艦長であるウィリアム・テナントは気落ちしていた。
先ほど日本の航空機を発見したからだ。
それも、目視できる距離で。
これは奇襲の失敗を表していた。
すぐにフルマーを発進させたものの追いつかなかった。
すると副艦長が慌てた様子で入ってきた。
「艦長!日本の航空隊が来ました!」
「そうか。叩き落してやれ。」
テナントは冷酷に命令した。


「中隊長!前方に艦影があります!」
隣に座っていた搭乗員の言葉に高井は困惑していた。
確かに艦影はあるがレナウンにも金剛にも見えた。
すると近くに空母が見えた。
今、この海域に日本の空母はいなかった。
「こいつらは英国艦隊だ!全機、雷撃用意!」
そう叫ぶ。
そうして新型陸攻銀河16機は海面に降りて行った。

「面舵!」
テナントは必死に操艦していた。
魚雷が横を進んでいく。
これでレパルスに投下された7発の魚雷は全て避けた。
だが落とせた機はなかった。
フルマーが全機発進し、2機落としたものの防護機銃に落とされたり被弾したため稼働機はなくなった。
「通信士!空軍に支援を乞う電文を打て!」
テナントは叫ぶ。
「しかし、それでは無線封止を破ることになります!」
「馬鹿者!無線封止は奇襲のためで我々はすでに発見されている!今更だ!」
「承知しました!」
レパルスの通信士が電文を打っている間にプリンス・オブ・ウェールズは甚大な損害を負っていた。
「提督!左舷での魚雷命中により傾斜が始まっています!」
「ダメージコントロールを急げ!」
フィリップスはそう言うことしかできなかった。
被害は甚大で電話線すらつながっていない。
「誰が不沈艦と名付けたんだ…。」
後ろにいた士官がそうつぶやく。
フィリップスも今は全く同じ気持ちだった。
海上では混乱が混乱を呼ぶ中、空から海の荒鷲がが迫っていた。
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