皇国の栄光

ypaaaaaaa

文字の大きさ
40 / 57

陸軍の異端児

しおりを挟む
朝鮮防衛についていた東条英機は苦慮していた。
「明らかに兵力が足りんな。何としてでも都市に敵を入れるのを防がねば。」
「山下将軍率いる戦車部隊や他の駐屯部隊も続々と集まっています。ですがそれまで防衛線を維持させるのが大変ですね。」
横にいた参謀の辻正信が言った。
「すでに近隣の都市には避難命令を出している。最悪でも市民が避難を完了させるまでは郊外で戦わなければならないか。」
「幸い、日ソ国境は山地が広がっているため守りに向いていますが物量には勝てません。」
「まあいい。ともかく遅滞戦を行う。」
「はっ!」


ソ連軍は昨年にドイツ軍の戦力を大きく削ったため、米国からの要請を受けて朝鮮に侵攻した。
中華民国に対しては宣戦布告は行わず、また日本も戦線の長大化や、共産主義者の再蜂起を懸念し中華民国の戦争参加を許さなかった。


「前進!」
金成柱がそう命令する。
彼は延安攻撃の際にソ連に毛沢東と共に逃れており、スターリンから朝鮮民族の解放の使命を帯びていた。
日本軍は山から攻撃を繰り返し必死に防衛しようとした。
だが、ここを活動の拠点にしていたこともあり金はやすやすと日本軍を撃破していた。
そして東条が本部を置く、平壌に攻撃に兵を進めた。
「司令官!すでにソ連軍がすぐそこまで来ています!どうか撤退を。」
「それはならん。帝国軍人は最期まで戦い抜くものだ。」
その東条の言葉に辻は感銘を受けた。
「なら、私もご一緒したします。」
そう話していると2人の男が入ってきた。
「まとまったところ悪いですが、お久しぶりです。東条閣下。」
「…まさか大臣が前線に出てくるとはな。」
東条は呆れたような、そして当然のような顔をしていた。


「安藤。敵の規模は?」
「およそ40万です。中には戦車も混じっています。」
「なるほど。では野砲と航空隊を集中させて崩れたところに戦車部隊を突っ込ませろ。」
「分かりました。」
東条はただただ感嘆していた。
あの異端児と意気投合している軍人がいたとは思ってもいなかった。


5月5日。
再配置が完了した日本軍は反抗作戦を開始した。
それはまるでドイツの電撃戦のようだった。


「日本軍、来ます!」
「逃げるぞ!」
金はそう言うしかできなかった。
どんどん倒れていく兵士達。
必死に足を前に進めたその時、地面がくぼみ金は落ちた。
「くそ!」
彼は必死に這い上がろうとするが高くて上がれなかった。
やがて日本軍が銃を突き付けてきた。
金には両手を挙げることしかできなかった。


5月8日には戦線は補給状態が悪いのも影響し、崩壊状態となり各地で部隊が包囲されていた。
樺太でも進撃に成功。
ここで犬養はソ連に停戦交渉を要請。
このままでは2正面作戦になることを危惧したスターリンがそれに同意して二度目の国境紛争も日本の勝利となった。
これにより、日本は北樺太とウラジオストクを獲得した。
今回は賠償金については不問となった。
捕虜についてはソ連兵は返還し、朝鮮人は再教育のために東京に送られた。


東京に送られる直前、金は日本軍指令室に呼ばれていた。
「連れてきました。」
「ご苦労。」
そこにいたのはあの石原莞爾だった。
「君が金成柱か。」
「そうだ。それがどうした?」
金は低い声で言う。
「では単刀直入に聞こう。君はなぜソ連軍に参加した?」
「決まってる。朝鮮人民を日帝の魔の手から解放するためだ。」
そう金がいうと石原は嬉しそうな顔をした。
「そうか。君は民族のために立ち上がったのだな。それならあの要請は拒否しよう。」
「なんの話だ?」
金が怪訝そうに尋ねる。
「スターリンから直々怒気をはらんだ電話が来てね、他の朝鮮人ではなく君の身柄を一刻も早く引き渡せと言ってきた。君がどんな人物か見てから判断しよう考えたから君をここに呼んだ。」
金はここで気づいた。
スターリンは自分に敗北の責任を取らせて粛清する気だと、そして石原は自分を守ったのだと。
「あと、君を捕らえたあの落とし穴は現地の子供達が作ったものだ。敵軍をこさせまいと息巻いていたそうだ。」
金はまた気づいた。
朝鮮人民の魔の手は自分たちであったことに。
「君はおそらくすぐに再教育施設を出れる。そこで、どうだ?陸軍にこないか?朝鮮防衛軍が少し空きが多くてな。」
先日まで敵将であったものにそういわれて金は少し動揺した。
だがすぐに答えた。
「是非、お願いします。」
「あぁ。こちらこそ。」
金の目には先ほどまで消えていた闘志の炎が燃え始めていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

征空決戦艦隊 ~多載空母打撃群 出撃!~

蒼 飛雲
歴史・時代
 ワシントン軍縮条約、さらにそれに続くロンドン軍縮条約によって帝国海軍は米英に対して砲戦力ならびに水雷戦力において、決定的とも言える劣勢に立たされてしまう。  その差を補うため、帝国海軍は航空戦力にその活路を見出す。  そして、昭和一六年一二月八日。  日本は米英蘭に対して宣戦を布告。  未曾有の国難を救うべく、帝国海軍の艨艟たちは抜錨。  多数の艦上機を搭載した新鋭空母群もまた、強大な敵に立ち向かっていく。

もし石田三成が島津義弘の意見に耳を傾けていたら

俣彦
歴史・時代
慶長5年9月14日。 赤坂に到着した徳川家康を狙うべく夜襲を提案する宇喜多秀家と島津義弘。 史実では、これを退けた石田三成でありましたが……。 もしここで彼らの意見に耳を傾けていたら……。

世界はあるべき姿へ戻される 第二次世界大戦if戦記

颯野秋乃
歴史・時代
1929年に起きた、世界を巻き込んだ大恐慌。世界の大国たちはそれからの脱却を目指し、躍起になっていた。第一次世界大戦の敗戦国となったドイツ第三帝国は多額の賠償金に加えて襲いかかる恐慌に国の存続の危機に陥っていた。援助の約束をしたアメリカは恐慌を理由に賠償金の支援を破棄。フランスは、自らを救うために支払いの延期は認めない姿勢を貫く。 ドイツ第三帝国は自らの存続のために、世界に隠しながら軍備の拡張に奔走することになる。 また、極東の国大日本帝国。関係の悪化の一途を辿る日米関係によって受ける経済的打撃に苦しんでいた。 その解決法として提案された大東亜共栄圏。東南アジア諸国及び中国を含めた大経済圏、生存圏の構築に力を注ごうとしていた。 この小説は、ドイツ第三帝国と大日本帝国の2視点で進んでいく。現代では有り得なかった様々なイフが含まれる。それを楽しんで貰えたらと思う。 またこの小説はいかなる思想を賛美、賞賛するものでは無い。 この小説は現代とは似て非なるもの。登場人物は史実には沿わないので悪しからず… 大日本帝国視点は都合上休止中です。気分により再開するらもしれません。 【重要】 不定期更新。超絶不定期更新です。

幻の十一代将軍・徳川家基、死せず。長谷川平蔵、田沼意知、蝦夷へ往く。

克全
歴史・時代
 西欧列強に不平等条約を強要され、内乱を誘発させられ、多くの富を収奪されたのが悔しい。  幕末の仮想戦記も考えましたが、徳川家基が健在で、田沼親子が権力を維持していれば、もっと余裕を持って、開国準備ができたと思う。  北海道・樺太・千島も日本の領地のままだっただろうし、多くの金銀が国外に流出することもなかったと思う。  清国と手を組むことも出来たかもしれないし、清国がロシアに強奪された、シベリアと沿海州を日本が手に入れる事が出来たかもしれない。  色々真剣に検討して、仮想の日本史を書いてみたい。 一橋治済の陰謀で毒を盛られた徳川家基であったが、奇跡的に一命をとりとめた。だが家基も父親の十代将軍:徳川家治も誰が毒を盛ったのかは分からなかった。家基は田沼意次を疑い、家治は疑心暗鬼に陥り田沼意次以外の家臣が信じられなくなった。そして歴史は大きく動くことになる。 印旛沼開拓は成功するのか? 蝦夷開拓は成功するのか? オロシャとは戦争になるのか? 蝦夷・千島・樺太の領有は徳川家になるのか? それともオロシャになるのか? 西洋帆船は導入されるのか? 幕府は開国に踏み切れるのか? アイヌとの関係はどうなるのか? 幕府を裏切り異国と手を結ぶ藩は現れるのか?

【架空戦記】狂気の空母「浅間丸」逆境戦記

糸冬
歴史・時代
開戦劈頭の真珠湾攻撃にて、日本海軍は第三次攻撃によって港湾施設と燃料タンクを破壊し、さらには米空母「エンタープライズ」を撃沈する上々の滑り出しを見せた。 それから半年が経った昭和十七年(一九四二年)六月。三菱長崎造船所第三ドックに、一隻のフネが傷ついた船体を横たえていた。 かつて、「太平洋の女王」と称された、海軍輸送船「浅間丸」である。 ドーリットル空襲によってディーゼル機関を損傷した「浅間丸」は、史実においては船体が旧式化したため凍結された計画を復活させ、特設航空母艦として蘇ろうとしていたのだった。 ※過去作「炎立つ真珠湾」と世界観を共有した内容となります。

暁のミッドウェー

三笠 陣
歴史・時代
 一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。  真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。  一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。  そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。  ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。  日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。  その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。 (※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)

土方歳三ら、西南戦争に参戦す

山家
歴史・時代
 榎本艦隊北上せず。  それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。  生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。  また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。  そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。  土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。  そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。 (「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です) 

If太平洋戦争        日本が懸命な判断をしていたら

みにみ
歴史・時代
もし、あの戦争で日本が異なる選択をしていたら? 国力の差を直視し、無謀な拡大を避け、戦略と外交で活路を開く。 真珠湾、ミッドウェー、ガダルカナル…分水嶺で下された「if」の決断。 破滅回避し、国家存続をかけたもう一つの終戦を描く架空戦記。 現在1945年夏まで執筆

処理中です...