空母鳳炎奮戦記

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第3航空艦隊

船団襲撃

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サマヴィル東洋艦隊司令長官は偵察機からの報告を精査していた。
「日本の軽空母2隻と戦艦1、重巡1隻、駆逐艦10隻の艦隊が船団を攻撃しようとしている…か。」
艦隊の針路の先に船団がいるらしい。
日本海軍もレーダーを装備しているようで300㎞離れていても相手を発見できるようだ。
そこは我々大英帝国海軍も同様なので心配していない。
だが、今心配すべきはこの艦隊が船団に攻撃を仕掛けようとしている点だ。
これまでの日本海軍の船団攻撃は潜水艦だけだった。
だから我々も駆逐艦等で対処できた。
それが空母となるとやはり主力艦を出すしかない。
それも全力で。
中途半端な戦力では負けかねない。
「全艦出撃!」


「敵軍はどうやら我々を捕捉したようです。」
草鹿は胸をなでおろした。
ここで艦隊を発見してもらわねばどうしようもないからだ。
「船団への攻撃機は出すのか?」
小沢の質問に草鹿は当たり前のように応える。
「そうしないと東洋艦隊に真意を悟られます。」
そうして軽空母から20機の攻撃隊が飛び立った。


船団の護衛に就いていたのは2隻の駆逐艦だった。
ともに第1次世界大戦のものを無理やり改修したものだが、潜水艦には天敵だった。
「艦長、機影が多数出現しました。おそらく日本のものだと思われます。」
「1隻でも多く輸送船を守らねばならん。対空戦闘用意!」
すでに乗員の大半は2度と家族の元に帰れないだろうと覚悟していた。


攻撃隊はまず駆逐艦の排除を優先した。
船団の数は5隻とそこまでの数ではないからだ。
およそ30年前の駆逐艦の対空砲火はお世辞にも強いとは言えなかった。
それでも艦攻1機と艦爆1機を撃墜した。
だが、雷撃隊に挟みこまれ魚雷がそれぞれ2本命中。
駆逐艦にとってこれは致命傷だった。
その後は5隻の輸送船に攻撃が集中し全てが沈没した。


船団襲撃が成功に終わるころ、日本海軍の電探が東洋艦隊と思われる多数の艦影を捕捉した。
「ついに来たな。」
小沢は腹を括った。
「攻撃隊発艦始め!」
鳳炎と瑞鷹から艦戦21機、艦攻34機、艦爆23機が。
そして鳳炎の50㎞前方に展開していた祥鳳、瑞鳳から艦戦10機、艦爆5機、艦攻5機が発艦した。
それぞれの編隊は東洋艦隊まであと100㎞地点で合流し、総計98機の編隊となった。


「長官!敵の空母は4隻です!」
参謀は慌てながらも事実を報告する。
「はめられたか…!」
サマヴィルは吐き捨てる。
このまま防空に努めてもかなりの損害になるだろう。
ならば…。
「攻撃隊を発進させろ!直掩は20機で十分だ!」
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