連合航空艦隊

戦争の足音

⑤計画

④計画では長門型の改装や改阿賀野型もとい大淀型、改陽炎型もとい秋月型、そして呂二〇〇型の建造などを行っていたが、空母の新規建造は行われていなかった。
これを危惧した堀はすぐに⑤計画を策定。
防空艦や水中高速潜水艦の建造はもちろん行うが、主軸は空母に置いた。


⑤計画
空母：改蒼龍型8隻
防空巡洋艦：大淀型8隻
防空駆逐艦：秋月型32隻
水中高速潜水艦：呂二〇〇型16隻
以下、補助艦33隻


⑤計画は1940年の8月に開始されることになっており、1942年の10月には全艦が竣工することになっていた。
また、航空機関連予算も増大されており、その中には件の4発陸攻である零式大型陸上攻撃機深山81機分の予算が組み込まれていた。


大型陸上攻撃機深山
最高速度：時速534㎞
武装：20㎜旋回連装機銃3基、12.7㎜旋回連装機銃2基
プロペラ：直径4.56ｍの可変ピッチ3枚
搭乗数：7人
搭載能力：500㎏爆弾10発
航続距離：時速400㎞で5000海里
全長：22.85ｍ
全幅：31.43ｍ


威海衛航空工廠がついに開発に成功した4発陸攻である。
深山は真珠湾への空襲もさることながら、高高度偵察などにも使用することが出来た。
こういった偵察任務は九七式飛行艇などの管轄であったっが如何せん速度が遅かった。
それが深山に代わることで、情報を早く入手できるようになるばかりか偵察機の生存性も向上した。


深山の生産は本土の中島の工場が受け持つことになった。
本当は威海衛工廠で製造したかったのだが、当の威海衛工廠は海軍の新型双発陸攻の開発であったり九九式襲撃機の生産にてんてこ舞いの忙しさになったており、そこに81機もの4発陸攻の製造を割り振るのはさすがに無理だった。
その点、本土の中島の工場は比較的暇であり4発陸攻の生産にはうってつけだった。
納期は1941年4月までとされ、中島の工場は早速深山を生産し始めた。
深山は既存の陸攻の部品と共通している所もあり、また構造も比較的単純であったため4発機の製造経験があまりない中島でも大きな混乱なく深山を生産することが出来た。
生産された深山は最後の点検などを行い、マーシャルの基地へ自力で進出していく。
4発陸攻の航続距離は伊達ではなかった。


「あとは長門型の改装をまつだけだな…」
山本は連合航空艦隊旗艦である空母扶桑の長官室でそうつぶやく。
彼の目線の先には太平洋上の地図があり、もっと詳細に言うとハワイがあった。
（かならず開戦劈頭に占領してやる！）
山本はただそう自分に言い聞かした。