藤本喜久雄の海軍

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戦間期

新型空母

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新型戦艦の建造は1937年の12月に始まった。
一番艦は呉海軍工廠で、二番艦は長崎三菱造船所で起工された。
起工式は厳かに執り行われ、藤本や平賀は”この戦艦が日本を導いてくれる”と信じて疑わなかった。
だが、当時、海軍航空本部長を務めあげ、次の連合艦隊司令長官と目されていた山本五十六中将は2隻の戦艦を”無用の長物”と考え、横須賀と神戸で建造中の新型空母に期待を寄せていた。
③計画で建造されることになった新型空母はその数3隻。
電気溶接を使用したことで建造費が浮き、駆逐艦が2隻ほど建造取りやめとなったが3隻目の空母が建造されることになった。
ただ、戦艦や空母に関わらずどちらも排水量20000トンを超える大型艦のため建造できるドックは4つしかなかった。
そこで海軍は呉海軍工廠の第三船渠を拡張し第二造船船渠とすることを決定。
この工事はすでに完了しており3隻の新型空母は1937年10月の時点で既に起工していた。
(この空母達がそろい踏みになれば、おおよそアメリカ海軍の空母保有数を超えるに違いない!)
山本はそう心を躍らせていた。
この新型空母にも当然電気溶接などの新機軸が使用されている。
捕捉しておくと神戸川崎造船所で建造されていた蒼龍型の準姉妹艦は飛龍と命名され、既に進水している。
ブロック工法が上手く機能しておかげで進水まで1年1か月で済んだのだった。
その後、神戸川崎造船所では新型空母の二番艦が建造されることになっている。


新型空母(③計画)
排水量:2万5000トン
全長:259m
全幅:30m
速力:33ノット
武装:12.7㎝連装高角砲8基、25㎜三連装機銃18基、同単装機銃4基
格納庫:2段
艦載機数:108機(補用込み)
艦橋:右側
エレベーター:3基(内、中央1基は船舷)
航続距離:16ノットで10800海里


本級の飛龍と同様にダメージコントロールの改善が盛り込まれており、また煙路が改善されたことで飛行甲板がかなり広くなった。
そして特筆すべき点は中央エレベーターを船舷に置いたことである。
アメリカ海軍のワスプ級に倣った形になる。
これにより、迅速な艦載機の展開と艦載数の増加が可能となった。
そのおかげもあり、この新型空母は108機もの艦載機を積める日本最大の大型空母となったのである。
これも藤本が海外で行われている建艦を注視していたおかげであり、藤本が死んでいればおそらく船舷エレベーターなどは日本の空母に装備されなかっただろう。
ともかく、この空母達は3隻とも1941年の中頃に竣工する予定となっていた。
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