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第二十四話
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微睡んでいると誰かに頭を撫でられる感覚で意識が浮上する。僕が身じろぎをすると撫でていた手がピタリと止まるので、うっすら目を開いた。
「…アーシュ?」
「ごめん。起こしちゃったね。執務に入る前にヴィルの顔がどうしても見たくて」
ベッドサイドに手をつき、僕を覗き込むアーシュの名前を彼た声でボソリと呟く。すると目の前にいるアーシュが愛おしそうな眼差しを向け、僕の頬を撫で歯の浮く様な台詞をサラリと言われ、胸がときめいて顔が少し熱くなる。赤くなっているのがバレない様に寝具をたくし上げ顔半分を隠した。
「髪型…いつもと違う」
「これから陛下とレトア卿と会談があるから、一応ね」
「それなら、僕も」
「ヴィル隠さないで、可愛い顔みせて」
いつもは流されている前髪が今日は、オールバックになっている理由を聞いて一緒に行くと言おうとした僕の言葉を遮る様に顔を隠していた寝具を剥ぎ取られる。
「あっ、やだ!」
「真っ赤になって可愛い。照れてたの?」
「う、うるさい!」
赤面した顔をアーシュの手で挟み込まれ固定されアーシュの眼前に晒される。
「これ以上一緒にいると可愛すぎて離れたくなくなりそうだから、もう行くね」
「んっ。待って。父上と話すなら僕も行く…いたっ」
アーシュからの口付けを受け入れてから、さっき遮られた事を伝えようと身体を起こした時に、腰やお腹に鈍い痛みが走る。
「ヴィル大丈夫?今日は体が辛いだろうからゆっくり休んで。陛下には俺からきちんと伝えるから」
痛みで体を丸める僕の背中をアーシュがさする
「でも執務も」
「それも俺が片付けておくから大丈夫。今日は体を労って」
「…アーシュすまない」
「ヴィルは何も悪くないでしょ。元はと言えば俺が昨晩ヴィルに無茶させすぎたのが原因だし」
僕の言葉を受けアーシュがネックガードの上から僕の頸を撫でて含みのある発言をする。
そのせいで昨晩の事が思い起こされ、先程とは比べ物にならないくらい顔が熱くなる。
「なっ…そう思うなら次からは手加減しろ!」
「次もしていいんだ」
「あー!うるさい!父上と会談なんだろ!早く行ったらどうだ!」
「行ってくるね。また夕方会いにくるから」
僕が咄嗟に放った言葉にアーシュに笑いながら返され、さらに羞恥心が募る。アーシュの体を押し返そうとする僕を抱きしめ蕩けるほど甘い声で囁いて額にキスを落とされる。
アーシュの背中を見送った僕は自分の唇をなぞる。
「アーシュのバカ」
額じゃなくてもう一度唇にして欲しかった気持ちが小さな呟きになって漏れ出たのだった
* * *
日が高くなる頃になって漸くベッドから離れる事ができた。歩を進める一歩がいつもより重く感じ、体の節々も痛む。でもそれは愛し合った名残に感じられるから、嫌ではない。
ゆっくり歩き、目的地に近寄ると楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「あっ、ヴィルム殿下。初めまして」
扉の前に座り中にいる人物と楽しそうに話していた青年は僕の姿を見ると、サッと立ち上がり居住いをただす。かるくウェーブした金髪に菫色の瞳に顔立ちもどこかで見たことある気がした
「君は、カリーノの知り合いか?」
「はい。カリーノ殿下とは時々顔を合わせる間柄でして。申し遅れました、私、アルヴィ・レトアと申します。以後、お見知りおきを」
名乗られた家名を聞き、あの嫌味ったらしい男の顔が浮かんだ。
「…アーシュ?」
「ごめん。起こしちゃったね。執務に入る前にヴィルの顔がどうしても見たくて」
ベッドサイドに手をつき、僕を覗き込むアーシュの名前を彼た声でボソリと呟く。すると目の前にいるアーシュが愛おしそうな眼差しを向け、僕の頬を撫で歯の浮く様な台詞をサラリと言われ、胸がときめいて顔が少し熱くなる。赤くなっているのがバレない様に寝具をたくし上げ顔半分を隠した。
「髪型…いつもと違う」
「これから陛下とレトア卿と会談があるから、一応ね」
「それなら、僕も」
「ヴィル隠さないで、可愛い顔みせて」
いつもは流されている前髪が今日は、オールバックになっている理由を聞いて一緒に行くと言おうとした僕の言葉を遮る様に顔を隠していた寝具を剥ぎ取られる。
「あっ、やだ!」
「真っ赤になって可愛い。照れてたの?」
「う、うるさい!」
赤面した顔をアーシュの手で挟み込まれ固定されアーシュの眼前に晒される。
「これ以上一緒にいると可愛すぎて離れたくなくなりそうだから、もう行くね」
「んっ。待って。父上と話すなら僕も行く…いたっ」
アーシュからの口付けを受け入れてから、さっき遮られた事を伝えようと身体を起こした時に、腰やお腹に鈍い痛みが走る。
「ヴィル大丈夫?今日は体が辛いだろうからゆっくり休んで。陛下には俺からきちんと伝えるから」
痛みで体を丸める僕の背中をアーシュがさする
「でも執務も」
「それも俺が片付けておくから大丈夫。今日は体を労って」
「…アーシュすまない」
「ヴィルは何も悪くないでしょ。元はと言えば俺が昨晩ヴィルに無茶させすぎたのが原因だし」
僕の言葉を受けアーシュがネックガードの上から僕の頸を撫でて含みのある発言をする。
そのせいで昨晩の事が思い起こされ、先程とは比べ物にならないくらい顔が熱くなる。
「なっ…そう思うなら次からは手加減しろ!」
「次もしていいんだ」
「あー!うるさい!父上と会談なんだろ!早く行ったらどうだ!」
「行ってくるね。また夕方会いにくるから」
僕が咄嗟に放った言葉にアーシュに笑いながら返され、さらに羞恥心が募る。アーシュの体を押し返そうとする僕を抱きしめ蕩けるほど甘い声で囁いて額にキスを落とされる。
アーシュの背中を見送った僕は自分の唇をなぞる。
「アーシュのバカ」
額じゃなくてもう一度唇にして欲しかった気持ちが小さな呟きになって漏れ出たのだった
* * *
日が高くなる頃になって漸くベッドから離れる事ができた。歩を進める一歩がいつもより重く感じ、体の節々も痛む。でもそれは愛し合った名残に感じられるから、嫌ではない。
ゆっくり歩き、目的地に近寄ると楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
「あっ、ヴィルム殿下。初めまして」
扉の前に座り中にいる人物と楽しそうに話していた青年は僕の姿を見ると、サッと立ち上がり居住いをただす。かるくウェーブした金髪に菫色の瞳に顔立ちもどこかで見たことある気がした
「君は、カリーノの知り合いか?」
「はい。カリーノ殿下とは時々顔を合わせる間柄でして。申し遅れました、私、アルヴィ・レトアと申します。以後、お見知りおきを」
名乗られた家名を聞き、あの嫌味ったらしい男の顔が浮かんだ。
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