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【ヤンデレβ×性悪α】 高慢αは手折られる
第十八話
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「リドールで何かのパーティーがあるのですか?」
アンヌ嬢ではなくフェナーラに問いかけると
「今回、セラフは留守番予定だから気にしなくていい」
ばっさりと言われ、パーティーの詳細は教えてもらえなかった。もっと聞こうかと思案していると、横からアンヌ嬢が口を挟む。
「え??あんた、性悪にネックガードをつけてるのは商品の宣伝って言ってたのに、肝心のパーティーに連れていかなきゃ意味ないじゃない」
どうやらアンヌ嬢にとっても予想外の答えだったようだ。それに私にネックガードを着けていたのは商品の宣伝だったなんて初耳だ。フェナーラの趣味の悪い遊びだと思っていた。社交の場は商品をお披露目するにはいい機会だし、今目の前にあるネックガードは社交の衣装にも合わせられるデザインになってる。例え見た目だけでも、バナト商会…フェナーラの役に立てることが少し嬉しく思ってしまう。
「次のパーティーからセラフを連れていくから、その時に着けてもらう。今回は顔見知りのご令嬢が着用してくれることになってるから。宣伝はばっちりだから安心しろ」
フェナーラは手短に話し、これで話は終わりと言わんばかりの口調だった。だが、ある意味で息ぴったりの幼馴染は、フェナーラの思惑を知ってか知らずか話をさらに掘り下げる。
「でも今回のパーティーは、あのエイヴィア伯爵主催なんでしょ?性悪もエイヴィア伯爵とは顔見知りなんじゃないの?」
アンヌ嬢が言った名前には聞き覚えがある気がするが、はっきりと思い出せなかった。エステートの伯爵なら顔を合わせたことはあるはずなのだが。
フェナーラは何故かアンヌ嬢をジロリと睨む。
「名前を聞いたことがある気はするんですが、エイヴィア伯爵とは面識がないと思います」
「えーっ。エイヴィア伯爵は騎士爵からリドールの伯爵にまで昇りつめた人で庶民の憧れなのよ。性悪とフェナって王立学院で先輩後輩って聞いていたから、てっきりエイヴィア伯爵とも面識があると思ってたわ」
「先輩後輩?そうなのですか?」
アンヌ嬢から次々と初耳の事実を伝えられ、困惑しつつもフェナーラに確認する。フェナーラは何故か深いため息をついた。
「セラフが最高学年の年に、俺は1年だった。でも当時、話したこともないから知らないのも無理ないな」
普段と変わらない声に口調のはずなのに、どことなく突き放されたように感じるのは気のせいだろうか?
「そうだったんですね」
フェナーラは私に長年片思いをしていたと言っていたが、王立学院で私を見て好きになったのか?ただ、あの頃の私の素行は褒められたものではなかったはず…。
「はい。じゃあ、用も済んだから俺たちは帰るな」
『おじさん、また来るな』とフェナーラはネックガードの入った箱を受け取りながら、挨拶を交わしてす。そしてまた私の手を取ると足早に店から出て行った。
うしろでアンヌ嬢が「後であんたの家に遊びに行くからね」と言っていたが、フェナーラはそれに返事すらしなかった。
* * *
アンヌ嬢のお店からバナト商会の店舗兼屋敷はすぐ近くだったので、どこも寄り道することなく、真っ直ぐ帰宅した。
「デートはこれで終わりですか?」
デートが終わってしまうことに少し残念な気持ちを抱えながら、フェナーラを伺い見る。
「もう少しだけ付き合って欲しい」
「えぇ。大丈夫ですが、もう屋敷ですよ」
フェナーラの意外な回答に心躍りつつも、屋敷でデートをどうするのか皆目検討もつかなかった。
「そう…だな。じゃあ…」
「えっ!ちょっと!」
フェナーラも何か考えていたわけではないようで、少し思案してから不意に私を横抱きにする。そして立ち話をしていた玄関ロビーから屋敷の中を大股で歩いていく。
「わっ…」
「セラフ…」
着いた先は寝室で、ベッドの上に私を放り投げてから、私の上にフェナーラがのしかかってくる。熱のこもった視線で見つめられ、髪を撫でられる。何度目かのシチュエーションに、この先の展開が読めた。でも、それと同時に裏切られた思いにかられ心がズキズキと傷む。
セックス以外で愛を表現するって言っていたくせに。
口に出さず心の中でフェナーラをなじる。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかフェナーラは優しい手つきで、次は私の頬を撫でる。そしてそのまま親指で私の唇をゆっくりなぞり
「なぁ、セラフ。キスしてもいいか?」
「……」
今までなら聞くことなく、唇を奪われ、そのまま体の一番奥底まで暴いてきたくせに、今日に限って確認してくるなんて、どういう風の吹き回しなのだろうか。
「ダメか?セラフ」
いつもの私なら聞かれたらダメだと即答をするはずなのに、答えない私を促すようにフェナーラが言葉を重ねる。それは、体を奪ってきた、いつものような強引さはなかった。
先程まで情欲の色が見えていた瞳は、今はすがるように私を見ている。
なぜ、そんなに不安そうな表情をしているのですか?
何がフェナーラをそんなに不安にしているのか分からなかったけれど、今にも消え入りそうな表情をしている彼を私はただ抱きしめた。
「セラフ?」
フェナーラが戸惑った声をあげる。彼が普段の様子と違うように、いつもの私ならしない行動をしているからだろう。
「あなたが……」
彼の温もりを身近に感じたせいか、私は素直な気持ちが自然と言葉になって溢れ出ていた。
アンヌ嬢ではなくフェナーラに問いかけると
「今回、セラフは留守番予定だから気にしなくていい」
ばっさりと言われ、パーティーの詳細は教えてもらえなかった。もっと聞こうかと思案していると、横からアンヌ嬢が口を挟む。
「え??あんた、性悪にネックガードをつけてるのは商品の宣伝って言ってたのに、肝心のパーティーに連れていかなきゃ意味ないじゃない」
どうやらアンヌ嬢にとっても予想外の答えだったようだ。それに私にネックガードを着けていたのは商品の宣伝だったなんて初耳だ。フェナーラの趣味の悪い遊びだと思っていた。社交の場は商品をお披露目するにはいい機会だし、今目の前にあるネックガードは社交の衣装にも合わせられるデザインになってる。例え見た目だけでも、バナト商会…フェナーラの役に立てることが少し嬉しく思ってしまう。
「次のパーティーからセラフを連れていくから、その時に着けてもらう。今回は顔見知りのご令嬢が着用してくれることになってるから。宣伝はばっちりだから安心しろ」
フェナーラは手短に話し、これで話は終わりと言わんばかりの口調だった。だが、ある意味で息ぴったりの幼馴染は、フェナーラの思惑を知ってか知らずか話をさらに掘り下げる。
「でも今回のパーティーは、あのエイヴィア伯爵主催なんでしょ?性悪もエイヴィア伯爵とは顔見知りなんじゃないの?」
アンヌ嬢が言った名前には聞き覚えがある気がするが、はっきりと思い出せなかった。エステートの伯爵なら顔を合わせたことはあるはずなのだが。
フェナーラは何故かアンヌ嬢をジロリと睨む。
「名前を聞いたことがある気はするんですが、エイヴィア伯爵とは面識がないと思います」
「えーっ。エイヴィア伯爵は騎士爵からリドールの伯爵にまで昇りつめた人で庶民の憧れなのよ。性悪とフェナって王立学院で先輩後輩って聞いていたから、てっきりエイヴィア伯爵とも面識があると思ってたわ」
「先輩後輩?そうなのですか?」
アンヌ嬢から次々と初耳の事実を伝えられ、困惑しつつもフェナーラに確認する。フェナーラは何故か深いため息をついた。
「セラフが最高学年の年に、俺は1年だった。でも当時、話したこともないから知らないのも無理ないな」
普段と変わらない声に口調のはずなのに、どことなく突き放されたように感じるのは気のせいだろうか?
「そうだったんですね」
フェナーラは私に長年片思いをしていたと言っていたが、王立学院で私を見て好きになったのか?ただ、あの頃の私の素行は褒められたものではなかったはず…。
「はい。じゃあ、用も済んだから俺たちは帰るな」
『おじさん、また来るな』とフェナーラはネックガードの入った箱を受け取りながら、挨拶を交わしてす。そしてまた私の手を取ると足早に店から出て行った。
うしろでアンヌ嬢が「後であんたの家に遊びに行くからね」と言っていたが、フェナーラはそれに返事すらしなかった。
* * *
アンヌ嬢のお店からバナト商会の店舗兼屋敷はすぐ近くだったので、どこも寄り道することなく、真っ直ぐ帰宅した。
「デートはこれで終わりですか?」
デートが終わってしまうことに少し残念な気持ちを抱えながら、フェナーラを伺い見る。
「もう少しだけ付き合って欲しい」
「えぇ。大丈夫ですが、もう屋敷ですよ」
フェナーラの意外な回答に心躍りつつも、屋敷でデートをどうするのか皆目検討もつかなかった。
「そう…だな。じゃあ…」
「えっ!ちょっと!」
フェナーラも何か考えていたわけではないようで、少し思案してから不意に私を横抱きにする。そして立ち話をしていた玄関ロビーから屋敷の中を大股で歩いていく。
「わっ…」
「セラフ…」
着いた先は寝室で、ベッドの上に私を放り投げてから、私の上にフェナーラがのしかかってくる。熱のこもった視線で見つめられ、髪を撫でられる。何度目かのシチュエーションに、この先の展開が読めた。でも、それと同時に裏切られた思いにかられ心がズキズキと傷む。
セックス以外で愛を表現するって言っていたくせに。
口に出さず心の中でフェナーラをなじる。
そんな私の気持ちを知ってか知らずかフェナーラは優しい手つきで、次は私の頬を撫でる。そしてそのまま親指で私の唇をゆっくりなぞり
「なぁ、セラフ。キスしてもいいか?」
「……」
今までなら聞くことなく、唇を奪われ、そのまま体の一番奥底まで暴いてきたくせに、今日に限って確認してくるなんて、どういう風の吹き回しなのだろうか。
「ダメか?セラフ」
いつもの私なら聞かれたらダメだと即答をするはずなのに、答えない私を促すようにフェナーラが言葉を重ねる。それは、体を奪ってきた、いつものような強引さはなかった。
先程まで情欲の色が見えていた瞳は、今はすがるように私を見ている。
なぜ、そんなに不安そうな表情をしているのですか?
何がフェナーラをそんなに不安にしているのか分からなかったけれど、今にも消え入りそうな表情をしている彼を私はただ抱きしめた。
「セラフ?」
フェナーラが戸惑った声をあげる。彼が普段の様子と違うように、いつもの私ならしない行動をしているからだろう。
「あなたが……」
彼の温もりを身近に感じたせいか、私は素直な気持ちが自然と言葉になって溢れ出ていた。
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