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【ヤンデレβ×性悪α】 高慢αは手折られる
エピローグ(中) side.フェナーラ
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俺の伴侶は今日も麗しい。その微笑みは、花がほころぶように可憐だ。そして自分を取り囲む子供達を見つめる目は聖母のように優しい。小さな教室の前側には黒板が設置され、セラフはそこに図を書いて、椅子に座る子供達に説明している。
俺と視察団は教室の外からその様子を眺める。
「まるで別人だな」
数ヶ月前のセラフを知る人物達は皆、同じ感想を言う。白亜の天使も例にもれず、呟いた言葉は皆と同じだった。
「ここ半年、セラフも色々な経験を通して、考えを改めたようなので。それより、ヴィルム殿下、顔色が優れませんね。視察は一旦休止いたしますか?」
視察団のヴィルム殿下御一行が訪れたのはバナト商会の支援でセラフが開いた私塾。俺は案内役で同行していた。
だが、どうしてもヴィルム殿下の顔色が優れないのが気になり、休憩を提案したのだった。殿下の顔は今にも倒れるのではないかと思うほど青白い。
「いや、休憩しても治るわけではないから大丈夫だ。案内を続けてくれ」
ヴィルム殿下はそう言うが、体調が悪いのは目に見えてわかる。殿下は時折、立ちくらみがするのか目頭を押さえる仕草をする。
セラフの姿を見て体調を崩したのか?と不安が過ぎる。セラフが殿下に行ったことを考えれば、そうであっても不思議ではない。
ー休ませないのか?
ヴィルム殿下の後ろに控えるアーシュに目配せするが、アーシュは静かに首をふる。
アーシュでも殿下を止められないのならば、仕方ないと思い、俺は私塾の説明を再開した。
「こちらの私塾は、貧困層の民が知識を身につけ、生活の自立や自衛を目的としています。貧民の多くはオメガなので、この場で発情期や番についても教育しています。
しかし、まだまだ必要性を理解されていないのが現状です。なので午前中は勉学の時間にし、それに参加できた者には昼食を提供するという形で参加者を集めています。貧民にとって、食の確保は何より重要なので。その日食べられるかどうかは命に関わりますから」
「そうか。子供達は昼食目当てにしてはレトア…フェナーラの伴侶に随分と懐いているな」
子供達は我先にとセラフに話しかけ、セラフは説明のかたわら、それにも返事をしている。この場が楽しいと素直に笑う子供達には、何か別の思惑はないから安心できる。
「セラフに会いたくて来ている子もいるみたいなので」
「そうか。改心したお前の伴侶は老若男女問わずモテるんだな」
「あぁ、そうですよ。モテるのは子供達だけで充分なんだけどな。殿下自ら視察に来られたのは、それが理由でしょうか?」
アーシュも会話に混ざり、ここ最近の俺の悩みに触れてくる。俺は悩み、それは視察の名目でセラフに近づこうとする不埒な輩が後をたたないことだ。侯爵家嫡男には手も足も出なかった連中が、商人の伴侶になった今ならチャンスがあると勘違いしてセラフを口説きに来るのだ。
セラフも商会のことを考え、以前のような振り方はしないから、なお一層そういう輩が湧いてしまうという悪循環に陥っている。
中には、侯爵家嫡男が没落した姿を見たいという奴もいたが、セラフと話していくうちに最後は口説きにかかるから油断も隙もない。
だから、そういう奴らにセラフと俺は深く深ーく愛し合っていて、誰も横恋慕をできないことを見せつけるため結婚式をあげたいのだが、何故かセラフは頑なに首を縦に振らない。しかも、しかも!俺が夜の営みでそれを了承させると勘付いたのか、営みまで避けられたのは、さすがにこたえた。
「そうだな。貴族達の間で、フェナーラの伴侶を誰がものにできるか競う下品な遊びが流行っていると聞いてな。過去の彼なら、貴族達を手玉にとって王国に害を為す危険性を否定できなかったから、様子を見に来たんだ。でも、もうその心配はなさそうだな」
「今はアルファなら誰でもってのは無くなって、俺にメロメロみたいです」
「フェナ、ヴィルに気持ち悪い話を聞かせないでもらえるか?ヴィルの耳が腐ったらどうしてくれる」
「気持ち悪いってアーシュ、お前なぁ。やっと相思相愛になれたんだから、少しくらい惚気させろよ」
「惚気たいほど、好きなんて素敵じゃないか。前のレトア卿だったら、フェナーラを止めていたが、今の彼ならフェナーラの幸せを素直に祝福できるよ。おめでとう。結婚式には呼んでくれよ」
「殿下ありがとうございます。結婚式…セラフがやりたくないって言うんですよ。殿下からも挙げるようにセラフに言ってやってください」
「ヴィル…今は人の多い場所は控えなきゃ。万一があったらどうするの?
という訳だから、結婚式を挙げるならヴィルは欠席するから」
アーシュが殿下の体を心配するように言い、結婚式の話題をバサっと切る。アーシュが心配するのも分かる。見るからに殿下の顔色は悪いからだ。
「アーシュ、勝手に決めるな。それに体調が悪いのは今だけだ。次第に良くなると医者も言っていた」
「今の症状が落ち着くだけで、次また別の症状が出たりするんだよ?体調がきちんと落ち着くまでは、安静にしなきゃ」
「そうですね。アーシュの言う通り、体調が落ち着くまでは安静にするのが一番ですよ。さて、昼の時間になったみたいなので我々も昼休憩にしますか?」
殿下とアーシュを、商会の方へ誘導したとき、子供達の昼の準備が始まったのか教室に食材が運び込まれる。今日はピザでも作るのか、その材料が並べられチーズの匂いが俺たちの元まで漂ってきた。
ピザか、いいなぁと呑気に考えていたら、ヴィルム殿下が口元を抑ええずいた。
「殿下っ!大丈夫ですか?」
俺と視察団は教室の外からその様子を眺める。
「まるで別人だな」
数ヶ月前のセラフを知る人物達は皆、同じ感想を言う。白亜の天使も例にもれず、呟いた言葉は皆と同じだった。
「ここ半年、セラフも色々な経験を通して、考えを改めたようなので。それより、ヴィルム殿下、顔色が優れませんね。視察は一旦休止いたしますか?」
視察団のヴィルム殿下御一行が訪れたのはバナト商会の支援でセラフが開いた私塾。俺は案内役で同行していた。
だが、どうしてもヴィルム殿下の顔色が優れないのが気になり、休憩を提案したのだった。殿下の顔は今にも倒れるのではないかと思うほど青白い。
「いや、休憩しても治るわけではないから大丈夫だ。案内を続けてくれ」
ヴィルム殿下はそう言うが、体調が悪いのは目に見えてわかる。殿下は時折、立ちくらみがするのか目頭を押さえる仕草をする。
セラフの姿を見て体調を崩したのか?と不安が過ぎる。セラフが殿下に行ったことを考えれば、そうであっても不思議ではない。
ー休ませないのか?
ヴィルム殿下の後ろに控えるアーシュに目配せするが、アーシュは静かに首をふる。
アーシュでも殿下を止められないのならば、仕方ないと思い、俺は私塾の説明を再開した。
「こちらの私塾は、貧困層の民が知識を身につけ、生活の自立や自衛を目的としています。貧民の多くはオメガなので、この場で発情期や番についても教育しています。
しかし、まだまだ必要性を理解されていないのが現状です。なので午前中は勉学の時間にし、それに参加できた者には昼食を提供するという形で参加者を集めています。貧民にとって、食の確保は何より重要なので。その日食べられるかどうかは命に関わりますから」
「そうか。子供達は昼食目当てにしてはレトア…フェナーラの伴侶に随分と懐いているな」
子供達は我先にとセラフに話しかけ、セラフは説明のかたわら、それにも返事をしている。この場が楽しいと素直に笑う子供達には、何か別の思惑はないから安心できる。
「セラフに会いたくて来ている子もいるみたいなので」
「そうか。改心したお前の伴侶は老若男女問わずモテるんだな」
「あぁ、そうですよ。モテるのは子供達だけで充分なんだけどな。殿下自ら視察に来られたのは、それが理由でしょうか?」
アーシュも会話に混ざり、ここ最近の俺の悩みに触れてくる。俺は悩み、それは視察の名目でセラフに近づこうとする不埒な輩が後をたたないことだ。侯爵家嫡男には手も足も出なかった連中が、商人の伴侶になった今ならチャンスがあると勘違いしてセラフを口説きに来るのだ。
セラフも商会のことを考え、以前のような振り方はしないから、なお一層そういう輩が湧いてしまうという悪循環に陥っている。
中には、侯爵家嫡男が没落した姿を見たいという奴もいたが、セラフと話していくうちに最後は口説きにかかるから油断も隙もない。
だから、そういう奴らにセラフと俺は深く深ーく愛し合っていて、誰も横恋慕をできないことを見せつけるため結婚式をあげたいのだが、何故かセラフは頑なに首を縦に振らない。しかも、しかも!俺が夜の営みでそれを了承させると勘付いたのか、営みまで避けられたのは、さすがにこたえた。
「そうだな。貴族達の間で、フェナーラの伴侶を誰がものにできるか競う下品な遊びが流行っていると聞いてな。過去の彼なら、貴族達を手玉にとって王国に害を為す危険性を否定できなかったから、様子を見に来たんだ。でも、もうその心配はなさそうだな」
「今はアルファなら誰でもってのは無くなって、俺にメロメロみたいです」
「フェナ、ヴィルに気持ち悪い話を聞かせないでもらえるか?ヴィルの耳が腐ったらどうしてくれる」
「気持ち悪いってアーシュ、お前なぁ。やっと相思相愛になれたんだから、少しくらい惚気させろよ」
「惚気たいほど、好きなんて素敵じゃないか。前のレトア卿だったら、フェナーラを止めていたが、今の彼ならフェナーラの幸せを素直に祝福できるよ。おめでとう。結婚式には呼んでくれよ」
「殿下ありがとうございます。結婚式…セラフがやりたくないって言うんですよ。殿下からも挙げるようにセラフに言ってやってください」
「ヴィル…今は人の多い場所は控えなきゃ。万一があったらどうするの?
という訳だから、結婚式を挙げるならヴィルは欠席するから」
アーシュが殿下の体を心配するように言い、結婚式の話題をバサっと切る。アーシュが心配するのも分かる。見るからに殿下の顔色は悪いからだ。
「アーシュ、勝手に決めるな。それに体調が悪いのは今だけだ。次第に良くなると医者も言っていた」
「今の症状が落ち着くだけで、次また別の症状が出たりするんだよ?体調がきちんと落ち着くまでは、安静にしなきゃ」
「そうですね。アーシュの言う通り、体調が落ち着くまでは安静にするのが一番ですよ。さて、昼の時間になったみたいなので我々も昼休憩にしますか?」
殿下とアーシュを、商会の方へ誘導したとき、子供達の昼の準備が始まったのか教室に食材が運び込まれる。今日はピザでも作るのか、その材料が並べられチーズの匂いが俺たちの元まで漂ってきた。
ピザか、いいなぁと呑気に考えていたら、ヴィルム殿下が口元を抑ええずいた。
「殿下っ!大丈夫ですか?」
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