38 / 77
38話
しおりを挟む
テラside
ムネオリがケイトに拳銃を向け、指に力が入った瞬間…
私はムネオリを突き飛ばしケイトの元に駆け寄りギュッとケイトを抱きしめた。
すると、それと同時に銃声が鳴り響いた。
私は拳銃の弾からケイトを庇ったはず…
なのに私の身体には痛みはなく、さらに襲いかかる恐怖から顔をあげケイトを見つめる。
T「ケイト…!?ケイト!!」
すると、ケイトはただ静かに涙を流していた。
私はケイトが撃たれたのではと思い、焦りながら震える手でケイトの体を触って確認していると、ケイトはゆっくりと私を抱きしめた。
K「良かった………」
そっとケイトから解放された私が恐る恐る振り返ると、そこには血を流し倒れているムネオリがいて…
ケイトの後ろには煙立つ拳銃を構え空な目をしたハウさんがいた。
T「ハウさん……」
J「行こう…早く逃げなきゃ!」
ジニさんがそう言って私とケイトの腕を持ち立ち上がらせると、ケイトはハウさんの元に向かう。
K「ハウ!!ここは危険だ早く行こう…!!」
ケイトの声により我に返ったハウさんの目からはひと筋の涙がこぼれ落ち、ケイトはそんなハウさんの腕を掴む。
私はジニさんに支えられながら部屋の入り口へと向かうがもう、火の手がそこまで来ていた。
T「ゴホッゴホ……ゴホッ…」
煙を吸い込み咳き込む私を庇うようにジニさんが胸ポケットからハンカチを取り出し私の口元に当てる。
J「ケイト早く逃げないと火がそこまで迫ってる!!」
K「ハウ早く!!俺たちと一緒に…逃げるぞ!!」
ケイトはジニさんの言葉を無視してハウさんの腕を引っ張るがハウさんがそれを拒んだ。
H「やっぱり…ムネオリさん1人を置いて逃げるなんて…私には出来ないよ…」
K「でも、ハウこのままだと!!」
H「行って!!私は!私はケイトと敵対する覇道組の人間なんだから!私を置いて行きなよ!!」
ハウさんはそう言ってケイトを力尽くで押し出すと部屋の扉を閉め鍵を閉めた。
K「ハウ!ハウ!!」
ケイトは何度も扉を叩き、ハウさんを呼ぶが部屋の扉が開く気配はない。
火の手がそこまで迫り息苦しさから意識が朦朧とし始める。
J「ケイト!このままテラを殺すつもりか!?しっかりしろ!お前は俺たちの組の若頭なんだぞ!?お前には生きてテラを守る責任があるんだ!!」
扉を叩きハウさんを呼び続けるケイトにジニさんが掴みかかりそう言うとケイトは思いっきり扉を蹴り飛ばした。
K「クソッ!!!!!!」
そして、ケイトはまぶたを閉じたまま数秒下を向き、ゆっくりとまぶたを開けると自分のジャケットを私の頭にかけ腰を抱いた。
K「行こう…」
T「うん…」
J「急ごう…このままだとこの建物ごと崩れる。」
私はケイトとジニさんに守られるようにして廊下を走り炎に包まれている階段を降りて行く。
K「危ない!!」
壁が焼け落ち、崩れてくる火の塊を避け煙で呼吸困難になりながら私たちは必死で足を動かす。
K「もうすぐだから…頑張って…」
J「テラ大丈夫だからな…」
ケイトもジニさんも私と同じように苦しくて熱いはずなのに私を守り励ましてくれ、私は2人の足手纏いにならないよう無我夢中でふらつく足を動かした。
そして…
K「ジニさん…1階にはもう降りられそうにないな…」
J「だな…。」
1階に繋がる階段はもう既に火の海で、私はその恐怖から体がガクガクと震えだす。
しかしケイトとジニさんはとても落ち着いていて、2人は目を合わせると軽く頷き、私を挟むようにしてギュッと抱きしめるとそのまま走り出した。
私はなにが起きたのか分からない。
ただ、ケイトとジニさんに包まれていて恐怖からギュッと目を閉じる。
すると、パリンッと窓が割れる激しい音が聞こえ、気づいた時には驚くほど息がしやすくなっていて、それと同時に浮遊感が私の身体を襲いすぐ…ドスッと地面に叩きつけられる衝撃に襲われた。
恐る恐る目を開けると屋敷は火に包まれていて見上げると一つの窓から火のついたカーテンが揺れている。
まさか…私たちあの窓から飛び降りたの…?
そう思いながら見上げているとそこにも火が回り始めたのか、廊下の窓がパリンパリンと音を立てて割れていき、思わず私が身体を縮こめると、ケイトは呻き声を上げながら起き上がり私を庇うように自分が盾となり私を包み込む。
K「ジニさん!」
俺を抱きしめたままケイトがジニさんを呼びかけるとジニさんも呻き声を上げながら起き上がった。
J「大丈夫だ…行こう…警察と消防が来る前に…」
私がジニさんの腕を持ち3人で屋敷の塀をよじ登り、外に出るとサイレンの音が聞こえ私たちは身を潜める。
K「今、屋敷を脱出した。お前たちのお嬢は無事だ。ここは消防と警察で人が多くなる。〇〇通りに来い。」
P「了解しました。」
ケイトはインカムでそう部下に伝えると、隠れ家を出て初めて私の顔を見ていつもの優しい笑顔を見せてくれた。
K「もう…大丈夫。帰ろう。」
T「うん……」
そうして私はケイトとジニさんのおかげで何とか助け出され…
無事、3人揃ってケイトの屋敷へと帰った。
つづく
ムネオリがケイトに拳銃を向け、指に力が入った瞬間…
私はムネオリを突き飛ばしケイトの元に駆け寄りギュッとケイトを抱きしめた。
すると、それと同時に銃声が鳴り響いた。
私は拳銃の弾からケイトを庇ったはず…
なのに私の身体には痛みはなく、さらに襲いかかる恐怖から顔をあげケイトを見つめる。
T「ケイト…!?ケイト!!」
すると、ケイトはただ静かに涙を流していた。
私はケイトが撃たれたのではと思い、焦りながら震える手でケイトの体を触って確認していると、ケイトはゆっくりと私を抱きしめた。
K「良かった………」
そっとケイトから解放された私が恐る恐る振り返ると、そこには血を流し倒れているムネオリがいて…
ケイトの後ろには煙立つ拳銃を構え空な目をしたハウさんがいた。
T「ハウさん……」
J「行こう…早く逃げなきゃ!」
ジニさんがそう言って私とケイトの腕を持ち立ち上がらせると、ケイトはハウさんの元に向かう。
K「ハウ!!ここは危険だ早く行こう…!!」
ケイトの声により我に返ったハウさんの目からはひと筋の涙がこぼれ落ち、ケイトはそんなハウさんの腕を掴む。
私はジニさんに支えられながら部屋の入り口へと向かうがもう、火の手がそこまで来ていた。
T「ゴホッゴホ……ゴホッ…」
煙を吸い込み咳き込む私を庇うようにジニさんが胸ポケットからハンカチを取り出し私の口元に当てる。
J「ケイト早く逃げないと火がそこまで迫ってる!!」
K「ハウ早く!!俺たちと一緒に…逃げるぞ!!」
ケイトはジニさんの言葉を無視してハウさんの腕を引っ張るがハウさんがそれを拒んだ。
H「やっぱり…ムネオリさん1人を置いて逃げるなんて…私には出来ないよ…」
K「でも、ハウこのままだと!!」
H「行って!!私は!私はケイトと敵対する覇道組の人間なんだから!私を置いて行きなよ!!」
ハウさんはそう言ってケイトを力尽くで押し出すと部屋の扉を閉め鍵を閉めた。
K「ハウ!ハウ!!」
ケイトは何度も扉を叩き、ハウさんを呼ぶが部屋の扉が開く気配はない。
火の手がそこまで迫り息苦しさから意識が朦朧とし始める。
J「ケイト!このままテラを殺すつもりか!?しっかりしろ!お前は俺たちの組の若頭なんだぞ!?お前には生きてテラを守る責任があるんだ!!」
扉を叩きハウさんを呼び続けるケイトにジニさんが掴みかかりそう言うとケイトは思いっきり扉を蹴り飛ばした。
K「クソッ!!!!!!」
そして、ケイトはまぶたを閉じたまま数秒下を向き、ゆっくりとまぶたを開けると自分のジャケットを私の頭にかけ腰を抱いた。
K「行こう…」
T「うん…」
J「急ごう…このままだとこの建物ごと崩れる。」
私はケイトとジニさんに守られるようにして廊下を走り炎に包まれている階段を降りて行く。
K「危ない!!」
壁が焼け落ち、崩れてくる火の塊を避け煙で呼吸困難になりながら私たちは必死で足を動かす。
K「もうすぐだから…頑張って…」
J「テラ大丈夫だからな…」
ケイトもジニさんも私と同じように苦しくて熱いはずなのに私を守り励ましてくれ、私は2人の足手纏いにならないよう無我夢中でふらつく足を動かした。
そして…
K「ジニさん…1階にはもう降りられそうにないな…」
J「だな…。」
1階に繋がる階段はもう既に火の海で、私はその恐怖から体がガクガクと震えだす。
しかしケイトとジニさんはとても落ち着いていて、2人は目を合わせると軽く頷き、私を挟むようにしてギュッと抱きしめるとそのまま走り出した。
私はなにが起きたのか分からない。
ただ、ケイトとジニさんに包まれていて恐怖からギュッと目を閉じる。
すると、パリンッと窓が割れる激しい音が聞こえ、気づいた時には驚くほど息がしやすくなっていて、それと同時に浮遊感が私の身体を襲いすぐ…ドスッと地面に叩きつけられる衝撃に襲われた。
恐る恐る目を開けると屋敷は火に包まれていて見上げると一つの窓から火のついたカーテンが揺れている。
まさか…私たちあの窓から飛び降りたの…?
そう思いながら見上げているとそこにも火が回り始めたのか、廊下の窓がパリンパリンと音を立てて割れていき、思わず私が身体を縮こめると、ケイトは呻き声を上げながら起き上がり私を庇うように自分が盾となり私を包み込む。
K「ジニさん!」
俺を抱きしめたままケイトがジニさんを呼びかけるとジニさんも呻き声を上げながら起き上がった。
J「大丈夫だ…行こう…警察と消防が来る前に…」
私がジニさんの腕を持ち3人で屋敷の塀をよじ登り、外に出るとサイレンの音が聞こえ私たちは身を潜める。
K「今、屋敷を脱出した。お前たちのお嬢は無事だ。ここは消防と警察で人が多くなる。〇〇通りに来い。」
P「了解しました。」
ケイトはインカムでそう部下に伝えると、隠れ家を出て初めて私の顔を見ていつもの優しい笑顔を見せてくれた。
K「もう…大丈夫。帰ろう。」
T「うん……」
そうして私はケイトとジニさんのおかげで何とか助け出され…
無事、3人揃ってケイトの屋敷へと帰った。
つづく
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる