Blue〜歪んだ愛と本当の愛〜

樺純

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47話

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テラside

ジニさんが私たちの前から消えてから3か月。

営業が終わり冷蔵庫を開けると、いつも一つだけ置いてあったヨナのプリンがない事に気づいた私は慌てて看板を店内に片付けに行っているヨナの元に駆け寄った。

T「ヨナ!な…なんでプリン置いてないの!?全部売っちゃったの!?」

Y「あぁ…うん。最後の常連さんがプリン欲しいって言うから冷蔵庫にあったプリンを出した。」

T「でもあれはジニさんのプリンじゃん!!」

私がそう言うと一瞬、ヨナの動きは止まりまた、すぐに何食わぬ顔をしたまま私を置いてキッチンへと向かう。

T「ちょっとヨナってば!!」

私がその背中を追いかけながら叫ぶとヨナはぎこちない笑みを浮かべた。

Y「信じてるってさ…言ったくせに毎晩、店の入り口を確認してさ…1人寂しく食べてもらう事の出来なかったプリンを毎晩食べるだよ…もういい加減…プリンばっか毎日食べるのも飽きた。」

T「ヨナ……」

ヨナはそう言いながら寂しそうにため息を落とし、ボタンを一つ外してパティシエ服の首元のボタンを緩める。

私はどうすればヨナを励ましてあげれるか頭をフル回転させるが、気の利いた言葉が浮かばない。

すると、カチャンと小さな音が店先から聞こえて私は振り返る。

しかし、そこには人影はなく不思議に思った私はヨナをキッチンに置いて店の入り口を開けて外に顔を覗かせると…

T「えぇぇぇ!!!?ジニ%@×○<#//!?」

そこにはしゃがみ込み隠れているジニさんがいて、叫んだ私の口を塞いで壁の方へと身を潜めた。

T「ジニさんなんで隠れてるんですか!?帰ってきたならなんで入って来ないんですか!?ヨナがどれだけジニさんのこと待ってたか!!(小声)」

J「待って…た?ホントにヨナは俺のこと待ってた?」

T「めちゃくちゃ待ってましたよ!!ジニさんの大好きなプリンを作って毎日!!早くヨナのとこに行ってください!!」

J「マジか……やっぱヨナって最高な女だな…」

ジニさんはそう呟くと慌てて中に入っていった。

私はそんなジニさんに呆れながらため息を落とし、店内に入ろうとするとスマホがなったのでポケットから取り出しすとケイトからのメールが届いていた。

K「もう終わった?」

ケイトからのメールに終わったと返信をし、店内に戻ろうと視線をあげると………

T「あちゃ……こりゃ戻れないな…」

そこではジニさんとヨナが想像よりも熱い接吻をしていたので、私はそのまま店内には戻らず、パティシエ服のままスマホだけを持ち歩き出しケイトにメールした。

T「ケイト~迎えに来て~」

K「もういるよ。いつもの公園のとこ。」

そうすぐ返事がきて私は走ってすぐの所にある公園に向かうと、ケイトの車が止まっていて私は助手席に乗り込んだ。

K「あれ?テラ着替えてないの?」

T「うん…それがさ…ジニさんが急に店にきて…」

K「えぇ!?ジニさん帰ってたの!?」

T「えぇ!?ケイトのとこ寄ってないの!?」

私は当たり前のようにケイトの所に来てからウチの店に来たもんだと思っていたから、ジニさんがケイトよりも先にヨナの所に会いに行ったことにビックリし、ケイトは当然ながら不機嫌になった。

K「今ジニさん店にいるんだよね?」

T「う…うん?た…たぶん。」

K「ちょっと行ってくる。」

そう言って車から降りようとするケイトは拗ねてるのか怒っているかは分からないが、とりあえずご機嫌はMAXに悪く、私は慌ててケイトの太い腕を掴み引き止め、あの2人のためにケイトの気を紛らわす甘い言葉を言った。

T「ケイト…私…今日はケイトの部屋に泊まろうかな…?」

私がそう言うと車を降りようとしたケイトの動きがピタっと止まる。

ケイトと正式に付き合い初めて3ヶ月が過ぎたが、ケイトの屋敷には部下の人達が沢山いて、気を遣わせたくないという気持ちから私はあれ以来、ケイトの屋敷に行くことはなく私の家にも若頭であるべき人間が出入りすると組の風紀を乱すと言う理由でお泊まりだけはさせずにいた。

それがケイトは不満でずっとお泊まりしてほしいしお泊まりしたい!もっとシたい!っと大きな子供のように駄々をこねていたので、私はそれを切り札のように出しケイトに突きつけたのだ。

K「ほんとに…泊まる?」

T「うん。ジニさんは元気そうだったし…今はヨナに任せておいて…私たちは私たちで仲良くしよ?ね?」

そう言ってギュッとケイトの腕を引っ張り、チュッと頬にご機嫌取りのキスをするとケイトは舌でほっぺをグリグリとし満更でもない顔をしてエンジンを掛け車を走らせた。

さっきまで、ジニさんが自分よりも先にヨナの所に行って不機嫌だったくせに(くせに)

今は隣で鼻歌を歌いながら私の手を握って片手でハンドルを握っている。

T「片手運転危ないよ。」

私がそう言ってケイトの手を離そうとすると、ケイトはゆっくりとブレーキを踏み、赤信号で停まると私の唇に口付けをした。

後ろの車のクラクションが青信号に変わったことを知らせるとケイトはニコッと笑って私の唇をやっと解放しまた、車を走らせる。

久しぶりに訪れたケイトの屋敷。

ケイトが帰ると当たり前だが部下たちが出迎え、久しぶりに訪れた私を見て少し驚いた顔をするもすぐに微笑み頭を下げていき、私もその都度、頭を下げているとケイトは笑いながら私の肩を抱いてエスコートする。

久しぶりに訪れたケイトの屋敷はやはり大きくて圧倒されながら長い廊下を歩きやっとこさ、ケイトの部屋にたどり着いた。

K「お前たちももう、今日は休んでいいぞ。」

ケイトがそう声をかけ部屋の扉を閉めると、先にソファに座っている私の横に嬉しそうな顔をして座った。

T「ジニさん元気に帰ってきてホント良かったね~これからどうするんだろ?また、ここに戻るのか…ん!!」

私がまだ話してる途中なのにケイトはいきなり私の唇を塞ぎそのままソファに押し倒す。

息が苦しくなりケイトの胸をバンバン叩くとやっと私の唇は解放されケイトはニヤッと笑っていた。

T「あれだけジニさんの心配してたくせにその話は聞かず、盛るなんて最低だよ!」

K「だって、ジニさんがいなくなってからクソ忙しいし、テラともゆっくりイチャイチャ出来てないのにテラはお泊まり禁止するし、そりゃこの状況は興奮するでしょ?」

確かにジニさんが組を離れてからケイトの負担は大きくなり毎日忙しそうに過ごしている。

そんな中でも必ず週に一回はウチの店を手伝いに来てくれるケイトにさすがにサービスするべきかと私は考えた。

T「忙しいなかいつもお店を手伝ってくれてありがとう。チュッ…このキスはそのお礼ね?」

私は感謝の気持ちを込めてケイトの唇にチュウとキスをするとケイトは笑う。

K「んふふwテラ?本当にこのキスで足りると思う?」

ケイトはそう言うと私のパティシエ服の下に手を忍び込ませまた、唇を塞ぐ舌を絡めた。

つづく
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