Blue〜歪んだ愛と本当の愛〜

樺純

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54話

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テラside

ケイトのお父様に「今すぐ別れろ」そう言われた後、私はヨナに相談をした。

Y「へぇ~そんな事言われたんだ。で?別れんの?」

T「別れまーすって簡単に別れられたらこんな悩んでないよ。」

Y「だよね。じゃどうすんの?」

T「うん…ケイトは気にしなくていいって言ってるけど…そういう訳にはいかないし…私としては認めてもらいたいし…」

Y「ならまずはテラのこと…知ってもらう所からはじめないとだね。」

ヨナにそう言われた私の覚悟はほぼ決まっていて……

ジニさんに組長であるケイトのお父様の住む場所をこっそりと聞いて、私はケイトに内緒でそこを訪れた。

T「すんごいお家……」

あまりにも大きい建物に少し怖気付きそうになりながらもインターホンを押すと女の人の声が聞こえた。

「はい~!」

T「あの…お父様いや…組長にお会いしたくて…テラと申します!」

*「少々お待ちください。」

そう言われて待っていると目の前にある大きな門がギーッと音を立てて開いた。

恐る恐る中へはいるとフリフリとしたエプロンを付けた40代後半の優しそうな女性が玄関から走ってきた。

*「あぁ~こちらにどうぞ~!!」

そう手招きをされ、慌ててその人の方に行くとすぐ玄関に通され中へと入れられた。

*「今ね?組長寝てるのよ~もう少ししたら起きると思うんだけどリビングのソファで待ってくださる?」

T「あ…はい!あ…あのこれ…お口に合うか分かりませんが…どうぞ。」

そう言って私はその女性に朝から作ってきたケーキを手渡す。 

*「ありがとう。」

そう言って女性は優しく微笑みキッチンへと向かう。

あの人は…誰なんだろ?

組長はケイトのお母様が亡くなった後に再婚したのかな?

なんて思っているとその女性はキッチンから戻ってきて私の前に紅茶を出してくれた。

*「どうぞ。」

T「ありがとうございます…あの…組長とはどういう…」

そう私が問いかけると女性は「?」という顔をしてすぐに「あ!」となり笑った。

*「家政婦ですよ!ここで昔から家政婦をしてるキョウです。その顔は旦那様の再婚相手だと思ってたでしょ?」

そう言ってキョウさんは笑った。

T「は…はい…」

*「旦那様は再婚なんて考えた事ないんじゃないかな…奥様を深く愛してたから…」

そう言ったキョウさんの視線の先には幼いケイトとケイトの母親の写真、そしてその横にはケイトとジニさんが肩を組む写真が飾られてあった。

*「毎日ね、あの写真を見ては嬉しそうに坊っちゃん達と奥様の話をするのよ…あの頃のケイトは甘え坊の泣き虫でとか…奥様をみてはアイツは唯一俺に楯突ける女だったとか…ジニがウチに来たのは奥様からの贈り物だって…幸せそうな顔して話すの。」

T「そうなんですね…でも、今のケイトと組長は…あまり仲良く無いんですよね?」

*「あまりにも2人は似過ぎてるのかな……って…私は昔から2人を見てて思うわ。」

そう話をしていると足音が聞こえ私は思わず立ち上がる。

すると、そこにいたのは組長だった。 

「あんなバカ息子とは似てない。」

組長はそう言ってソファに座った。

すると、キキョウさんはクスッと笑いながらその場から離れた。

「こんな所までなんの用だ。」

T「お父様に!」

「キミの父親になった覚えはない。」

T「組長にお話があります!!」

「交際を認めろと言われても認めん。」

T「まずは!!ここで一緒に住ませてください!!」

「は?」

勢いよく言った私の言葉に組長はポカーンとしていて、初めてちゃんとみた組長のその顔はケイトにそっくりだと私はおもった。

T「私がどんな人間かも知らないのに反対するのは間違ってます!!まずは私がどんな人間か知ってから!!ケイトに相応しいかどうか判断してください!!」

「知らなくても顔を見れば分かる。」

T「では、ここで組長に問題です!ジャジャン!さーて私の血液型何型でしょーか?シンキングタイミング10秒!!」

「一体、何を言っておるんだ。」

T「よーいスターティン!!10!9!8!7!6!5!4!3!2…」

「B型だな。」

T「ブッブーA型でした~!ほら、見ただけじゃ分からないじゃないですか?だから、今日から私はここに住んで組長に私という人間を知ってもらいます!」

「仕事はどうする?ケーキ屋をしてるんだろ?」 

T「ここから通います!!」

「迷惑だ。」

T「でしたらケイトさんとのこと認めてくれますか?」 

「認めん。」

T「じゃ、ここに住みます!!」

「はぁ…あのバカ息子はなんて女に惚れたんだ…勝手にしろ!!」

組長はそう言って呆れたように部屋へと戻って行った。

勝手にしろって事は…いいのかな?なんてソファで考えていると聞き耳を立てていたのかキョウさんが私の元に飛んできた。 

*「すごいテラちゃん!あの組長に勝手にしろって言わせるだなんて!」

T「へ?」

*「あの組長は良いか駄目の二択しかない男なのよ?なのに勝手にしろなんて私の記憶ではあの奥様しか言わせた事のない言葉ね……」

T「そうなんですか!?」

*「そうよ!じゃ、同居人として今日からよろしくね?部屋は有り余ってるから!」

そう言ってキョウさんは嬉しそうに私の部屋の準備をしてくれたので、私も一緒にそれを手伝った。

つづく
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