世界変革のすゝめ ~我が物顔で世界を害すヒト種よ、一回引っ込め~

大山 たろう

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第三部 ダンジョンマスター 中編

第一次宇宙戦

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「ぜっちゃん、これはどうなんだ」

「アウト。修正する」

「この戦闘は?」

「継続」

 そのまま試合が始まった。

「さて、俺の戦力はっと」

 地下に設置できる鉱脈は、一日一回再設置される。もちろんダンジョン外のヒトがとることもできるし、俺が資源として取ることが出来る。設置コストで総DPの半分が消えていると思うと苦しいが、これが俺のダンジョンのコアとなっている。

「その無限ゴーレムはずるいと思う」

「そうか?」

 ひたすら生み出される屈強な兵士たち。

「けど、どんどん敵が強くなるにつれて俺は不利になるぞ、まぁ死霊王に勝てるのは俺だけだろうが」

「なんで?」

「死霊王は敵の死体をそのまま自軍へと持ってくる性質上、強い敵が現れる終盤にこそ加速度的に強くなる。が、俺は材料が鉱脈だよりだから最初こそ軍が作れるものの、後半になると伸び幅は少ないってことだ」

「大体わかった。けど、たろー、そう言う計算になった瞬間に頭の回転速くなる」

「そりゃそうだ、好きなことだけ考えていたい、好きなことだけしていたい人種だからな。好きなことのために仕事とかしたくねぇ」

「このニート」

「うっせ」

 二人はすぐコンソールを見る。

「ちなみに、これ中継モードオンだから掲示板で騒がれてる」

「マジかよ、中継モードとかどういうことだよ」

「そのまま、二つ名ついてるのもそのせい、一定以上の戦闘は自動的に中継される」

「なんてこったい、けど情報戦という意味では結構楽しそうだな」

「情報戦の負けが確定してるけどね」

「そりゃそうだ、でも二つ名とかついたら近づいてこんだろ」

「それもそう、勝てればだけどね」

「そう、そこだけ誤算をしたら面倒なんだが......どう出るだろうか、まだ希少鉱石を出したくないから嫌なんだが......」

 誰しも隠している手の一つや二つ、存在するのはわかっている。が、この序盤で切ると殊更に情報戦で負けてしまう。それだけは面倒だから避けないと。

「......で、これ、どうなってるの?」

「どうって、見ての通り」

「破損した端から修復してない?」

「見ての通りその通り」

 そう、彼らゴーレムが倒れたとき、回収班が後ろへと運んで修復するなり、溶かして再利用するなり、どうでもできる。
 構造も初期、中盤あたりまでは簡単な構造だ。なにせ動くように適当に金属を余裕をもってコアの魔石を埋め込んでしまえばあとは魔石にプログラムを組んで終わりだ。単調な命令なら小さいコアでも構わないから、この通り超ローコストによる生産が序盤で強力である。

 その即席ゴーレム軍団の物量に、そして相性の悪さか、彼らは撤退していく。
 そう言えば要塞王、彼は罠を中心に設置していたから、地面の調査をさせて、あとはスキル隠密を使用できる魔物が隠れていないか、調べるか。

「レーダー隊、熱感知、魔力感知開始」

 リュックサックを背負ったような形をしたゴーレムが進軍し、背中から生えてきた球体が青く光る。

「敵感知。攻撃開始」

 そのアラートが出た瞬間、ゴーレムの矛先が一斉にその隠れていたモンスターに向く。

 ばれたのが向こうにもすぐにわかったようで、即時にその隠れていたモンスターは撤退していった。

「えぐいね」

「そうだろう? しかもこれで本気ではないと来た」

「どういうこと?」

「考えてみろ、これはローコストで作れる即席軍隊。希少鉱石も十分量蓄えてるし、之より性能がいいものをこれより多く作ることだって可能だ。現時点ではそこが限界だろうが」

「もう侵略開始したら?」

「それじゃ面白くないし、失敗したときが悲惨だろ? だからまだしない。幸い、こっちから軍隊を攻撃に出したことはないから無害で有益な巨大ダンジョンって扱いみたいだし」

「それじゃ私が先手もらう」

 そう言って、むふふんと言いながら端末をいじる。

「軍隊派遣、第一次宇宙戦の開始だよ」

「マジかよ......」

 全能神が作った月にあるダンジョン、その奥からどんどんと巨大な蛸のような魔物が出てくる。
 そしてそれらはいきなり宙に飛び出したかと思うと、蛸足のような触手の先端から何かを噴射して、王国ではない国の街定めて一直線に進軍を開始した。

「で、これなんだ?」

「わかんないからキメラって分類で入れてる」

「キメラってもっとあるだろ......」

「仕方ない、それにこいつは結構キモイからキモラでもいいか悩んだ」

 その言葉の真意を聞くより先に、その様子が映像で映し出された。

「きっも」

 その様子は、俺でなくてもその言葉が出ていたと思う。

 やはりキメラといったあたり、ベースは蛸なのだろう。
 口がその膨れた頭のところについてるってもの、たぶん蛸だろう。

 けど絶対に、その口から放流されるかのように蛸の幼体が次々と生まれ落ちてくるのが蛸ではないだろ。

 キモイ。ただキモイ。

 口からぬめぬめとした液体をかぶりながらもにゅるにゅるとその体をくねらせて親蛸から離れ......そして人型になった。

「どうして人型になった、今頭のところ破裂して何か生えてきたぞ!」

「これはよくわかんない」

 もはや全能神ですらわからない領域まで達してしまったこの生物を、あの星に送り込んでも良いのだろうか。

「ちなみに、戦闘能力はどれくらいで?」

「うーん、鋭角から中級魔法を放てるくらい?」

「それ強すぎね?」

 悪魔、というより異星人、エイリアンの類が、星に向かって進軍をしてくる。
 第一次宇宙戦。その結末がもう察せたような気がした。
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