地道に行くしかないみたい

エシカ

文字の大きさ
上 下
4 / 4
一章

助かったみたい

しおりを挟む
気持ちのいい日差しが降り注いでいた。
雄斗は思った。ここは天国だと。

「…ってんなわけあるかーい!めっちゃ感覚あるわーっ!!」

1人突っ込みはそこそこに雄斗は周りを見回す。
オシャレな木目調の…木でできてるからそれは当然そうなんだろうが余分なものは無く過ごしやすそうな部屋に雄斗は寝かされていたようだ。

「…腹減った」

とりあえずこの部屋を出ようとベッドから足を下ろそうと思ったら不意にこの部屋の扉が開いた。

「おっ!起きたか!調子はどうだ?」

雄斗は驚き目を見張る。
と、言うのもあれからどれくらい経っているかは謎だが感覚的には3日は誰にも会わず森しか見ていなかったのだからそれは当然として、その人の風貌もまた驚きの対象だった。
一言でいうならマッチョ。しかもマッチョの中のマッチョ。
そこにプラスして赤髪短髪小麦肌同年代か若しくは年下という盛り合わせ。因みに雄斗はゲイだ。なので今目の前に現れたタイプの人に二重の意味で驚いてしまい反応が遅れた。

「…大丈夫か?」
「…あっ…ああ!大丈夫!」

よく見れば男の手には湯気がたつ料理がお膳に乗せられていた。

「腹減ってるかなって思ったから飯持ってきたけど食べれそうか?」
「食べる!」

勢いに今度は男が驚く。

「…っあ、ごめん!がっついて!しばらく飲み食いしてなくてさ…良かったら貰えると助かる」
「あぁ、いいよ。お前の為に作ってきたから」

男は爽やかに笑いながら部屋にあった小さめなテーブルにお膳を置いた。
雄斗は地球での事も含め久しく優しくして貰ったことがなかったので思わず目を潤ませ小さく「ありがとう」といった。
薄く笑ってどうぞと改めて言ってくれたので雄斗は今度こそ料理に手を着ける。

「いっただきまーす!」「おぅ、召し上がれ」

料理は今が朝か昼かは分からないが照り焼きの鳥?っぽいのと野菜のスープあとは丸いパンが置かれていた。しっかりお水もあってまさに至れり尽くせりの内容だった。

「うっまい!すごい美味しいです!お兄さん料理上手ですね!!」
「それは良かった。あと名前伝え忘れてすまん、ガイズってんだ宜しくな」
「!」

助けて貰った上に厚かましくもお礼もそこそこにごはんをがっついて挙げ句の果てには向こうから名乗らせるなんて、、

雄斗はスプーンやフォークをそっと置いた
これで謝罪になるかは分からないが今こそ見せる時…ジャパニーズ土下座を

「どうした?」

ガイズがクエスチョンマーク全開な顔のまま俺は床に手をつき
頭も床につけ、「申し訳ございませんでしたぁーー!!」
全力の声をあげたのだった。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

婚約破棄を宣告された公爵令嬢は猶予をもらった。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,763pt お気に入り:113

私の愛する人は、私ではない人を愛しています

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:20,435pt お気に入り:6,649

雪々と戀々

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話

BL / 連載中 24h.ポイント:12,901pt お気に入り:2,379

処理中です...