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光の湖畔編
第78話 防護服
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「見事に輝く白……いや、ただの白さじゃなくて、これは……」
「ああ。光の湖そのものだ。
乳白色なのに、光の加減で中から七色が浮かび上がるというか……。
コニーが教えてくれた、まさにオパールって宝石の描写にそっくりだ」
「ねえ……。一応聞くけど、そんな髪色の人って、私の他に見たことある?
……だよね。うん、聞いてみただけ。分かってた。
本当に、あんな湖の色なの?
瞳も髪の毛もド派手を通り越して、人外レベルっぽいよ。
今髪の毛結んでるから分かりづらいと思うけど、そもそもこの顔にそんな煌びやかな色合いって。チグハグっていうか、取って付けたようでおかしくない?」
「ううんコニー。全然大丈夫! そこは安心して? とっても似合ってて可愛いよ。いや、いつもの可愛さに、神秘さも加わったね」
「問題ないぜ。ああ、別嬪さんだ。いつもの親しみある愛らしい黒茶もいいが、これも清楚な感じでいい。マジで似合ってる」
「美を司る月の女神様の妹みたい。今の格好だとちょっと弟っぽいけど。
ああ、家で髪をおろした時が楽しみだよ」
女神様じゃなくて妹かーい。
しかも弟ぽいって。
あんなに褒めてくれてんだから、そこはあと一息盛ってこー。
「マジで楽しみだ。ただ難点があるとすりゃあ、目立ちそうだな……三つ編みでこれだ。いつもの長いふわふわの髪でこの色だったら、かなりやべぇ。
むろん、いい意味でな」
っふ。
クレールもエタンも仕方ないなあ。
2人とも私にかなり極甘だから、これってば、相当底上げされた感想に違いない。
二の腕の毛は白く透き通るようだ。
多分まつげや眉毛は太いから白い?
舌先の時みたく今度もなにかしたら元に戻るんだろうか……
クレールの家に飛び戻って、いち早く鏡で確認したい反面、見たくない気もする。
宇宙にオパール。
カラコンにウィッグ。
私のおヌル様定番コスプレと思えば。
ただし、一生取れない……かもしれない。
「クレール、エタン。今日の予定だけど。
私自身は、このまま儀式を続けたいと思ってるんだけど……。
でもさっきのこともあるし、虹の院に正式に報告してからでもいいよ。
そんなすぐには大勢で押し寄せてやって来れない場所でしょ?」
時計を見て、しばし考え込んだクレールの出した答えは、このまま行く、だった。
そして彼は、ボートの後方端にビスで固定された、いかにもな防水仕様の箱を開け始め。
そこから例の異界仕様の白い『収納箱』を出した。
ベルト通しに付けてるバリア魔道具の横。キーホルダーにもう一つつけてるやつ。
「これも僕専用の特注品。携帯用箱棒さ」
しゅるっと前回同様、引き出す。
「帽子出した時の? 」
「うん、見てて」
持ち手の部分が長方形で魔石が2列の計6色の6個埋まってる。
持ち手は 大きめで、ちょこんと短く先がとびでた、ずんぐりむっくりしたシャッターの鍵スタイル。
三角部分に緑の魔石。
赤い魔石を親指で押さえつつ箱の回路に触れ、大きくなった箱から、品物を取り出し、また元に全て戻した。
黒1個、黄色1個、小さな巾着袋。
エタンに桟橋から助けてもらい、陸に上がる。
防護服だと説明を受けながら、身につける。
靴の上から装着するつなぎ型。
「黄色は女性用だけど、コニーには大きいね」
服自体は両方とも、コンビニで売ってるような乳白色のレインコートみたいな素材なんだけど、立ち襟と手首が袋の色とお揃いで、サイズが分かれているみたい。
エタンはというと、カーゴズボンから取り出したマイ防護服を、いつも着てっからと、あっという間に装着してみせた。
「その袋こそが防護服と連動した魔道具なんだぜ。袋から出して24時間はバリアが張られてて、また入れておくと24時間後に完全にバリアが付与される」
私を手伝いながら、エタンが説明してくれる。
大事な袋は、教えられた胸の内ポケットの定位置にしまう。
チャックを締めると、特殊なチャックらしく密閉されるそうだ。
手首、首にあるボタンをエタンに押してもらうと、苦しくもなくちょうど良い具合に、くるりぺたり、絆創膏を貼られた感じに肌に吸着した。
付与切れで作動しなくなる前に、ボタンが赤くなってお知らせだそうだ。
袋の回路も赤く浮かび上がってお知らせ機能付き。
「襟ボタン横の、もう1つの大きめボタンは空調。防護服は空気も通さず暑ぃからな。いまの季節は無しでもいけるが、俺はオールを漕ぐから暑くなる」
そう言ってボタンを押した。
これは空調魔道具でもあるが、充力機能とソーラーシステムが組み込まれ、足りない分のエネルギーは空気中の魔素で補うハイブリッド型。
なんとも異界ハイテク!
「なんてったって洗濯しなくて済むのが良いぜ、コレ。24時間後バリアが壊れる時、汚れも匂いも一緒に落ちるからな。
で、バリアは跡形もなくって、下に落ちた汚れだけ残る。汚れにもよるが、宿舎では外とかひさし付きの専用共同干し場や、自室で汚れてもいいシートを用意したり、シャワー室なんかに吊るしとくだけだ」
共同のところに干してる際に取り間違えられないよう、あらかじめ名前入りのものが職場から3着支給されるとのこと。
「コニー、着れた? ん。じゃあ漕ぎだそうか」
「ああ。光の湖そのものだ。
乳白色なのに、光の加減で中から七色が浮かび上がるというか……。
コニーが教えてくれた、まさにオパールって宝石の描写にそっくりだ」
「ねえ……。一応聞くけど、そんな髪色の人って、私の他に見たことある?
……だよね。うん、聞いてみただけ。分かってた。
本当に、あんな湖の色なの?
瞳も髪の毛もド派手を通り越して、人外レベルっぽいよ。
今髪の毛結んでるから分かりづらいと思うけど、そもそもこの顔にそんな煌びやかな色合いって。チグハグっていうか、取って付けたようでおかしくない?」
「ううんコニー。全然大丈夫! そこは安心して? とっても似合ってて可愛いよ。いや、いつもの可愛さに、神秘さも加わったね」
「問題ないぜ。ああ、別嬪さんだ。いつもの親しみある愛らしい黒茶もいいが、これも清楚な感じでいい。マジで似合ってる」
「美を司る月の女神様の妹みたい。今の格好だとちょっと弟っぽいけど。
ああ、家で髪をおろした時が楽しみだよ」
女神様じゃなくて妹かーい。
しかも弟ぽいって。
あんなに褒めてくれてんだから、そこはあと一息盛ってこー。
「マジで楽しみだ。ただ難点があるとすりゃあ、目立ちそうだな……三つ編みでこれだ。いつもの長いふわふわの髪でこの色だったら、かなりやべぇ。
むろん、いい意味でな」
っふ。
クレールもエタンも仕方ないなあ。
2人とも私にかなり極甘だから、これってば、相当底上げされた感想に違いない。
二の腕の毛は白く透き通るようだ。
多分まつげや眉毛は太いから白い?
舌先の時みたく今度もなにかしたら元に戻るんだろうか……
クレールの家に飛び戻って、いち早く鏡で確認したい反面、見たくない気もする。
宇宙にオパール。
カラコンにウィッグ。
私のおヌル様定番コスプレと思えば。
ただし、一生取れない……かもしれない。
「クレール、エタン。今日の予定だけど。
私自身は、このまま儀式を続けたいと思ってるんだけど……。
でもさっきのこともあるし、虹の院に正式に報告してからでもいいよ。
そんなすぐには大勢で押し寄せてやって来れない場所でしょ?」
時計を見て、しばし考え込んだクレールの出した答えは、このまま行く、だった。
そして彼は、ボートの後方端にビスで固定された、いかにもな防水仕様の箱を開け始め。
そこから例の異界仕様の白い『収納箱』を出した。
ベルト通しに付けてるバリア魔道具の横。キーホルダーにもう一つつけてるやつ。
「これも僕専用の特注品。携帯用箱棒さ」
しゅるっと前回同様、引き出す。
「帽子出した時の? 」
「うん、見てて」
持ち手の部分が長方形で魔石が2列の計6色の6個埋まってる。
持ち手は 大きめで、ちょこんと短く先がとびでた、ずんぐりむっくりしたシャッターの鍵スタイル。
三角部分に緑の魔石。
赤い魔石を親指で押さえつつ箱の回路に触れ、大きくなった箱から、品物を取り出し、また元に全て戻した。
黒1個、黄色1個、小さな巾着袋。
エタンに桟橋から助けてもらい、陸に上がる。
防護服だと説明を受けながら、身につける。
靴の上から装着するつなぎ型。
「黄色は女性用だけど、コニーには大きいね」
服自体は両方とも、コンビニで売ってるような乳白色のレインコートみたいな素材なんだけど、立ち襟と手首が袋の色とお揃いで、サイズが分かれているみたい。
エタンはというと、カーゴズボンから取り出したマイ防護服を、いつも着てっからと、あっという間に装着してみせた。
「その袋こそが防護服と連動した魔道具なんだぜ。袋から出して24時間はバリアが張られてて、また入れておくと24時間後に完全にバリアが付与される」
私を手伝いながら、エタンが説明してくれる。
大事な袋は、教えられた胸の内ポケットの定位置にしまう。
チャックを締めると、特殊なチャックらしく密閉されるそうだ。
手首、首にあるボタンをエタンに押してもらうと、苦しくもなくちょうど良い具合に、くるりぺたり、絆創膏を貼られた感じに肌に吸着した。
付与切れで作動しなくなる前に、ボタンが赤くなってお知らせだそうだ。
袋の回路も赤く浮かび上がってお知らせ機能付き。
「襟ボタン横の、もう1つの大きめボタンは空調。防護服は空気も通さず暑ぃからな。いまの季節は無しでもいけるが、俺はオールを漕ぐから暑くなる」
そう言ってボタンを押した。
これは空調魔道具でもあるが、充力機能とソーラーシステムが組み込まれ、足りない分のエネルギーは空気中の魔素で補うハイブリッド型。
なんとも異界ハイテク!
「なんてったって洗濯しなくて済むのが良いぜ、コレ。24時間後バリアが壊れる時、汚れも匂いも一緒に落ちるからな。
で、バリアは跡形もなくって、下に落ちた汚れだけ残る。汚れにもよるが、宿舎では外とかひさし付きの専用共同干し場や、自室で汚れてもいいシートを用意したり、シャワー室なんかに吊るしとくだけだ」
共同のところに干してる際に取り間違えられないよう、あらかじめ名前入りのものが職場から3着支給されるとのこと。
「コニー、着れた? ん。じゃあ漕ぎだそうか」
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