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三毛猫みぃ 家族になった日 4
しおりを挟むみぃの縄張りは、隣の原っぱと両隣3軒までで、その先に進んだことはありませんでした。しかし、今日のみぃはとってもとっても怒っていましたから、3軒の先もずっとずっと進んでいきました。
(みんな、うるさい!)
(ずっと、まってたのに!)
(なんで、リッキーだけ!)
(母ちゃんのばか!)
(リッキーなんてだいきらい!)
たくさん叫んで、たくさん走って、気がついた時には、全く知らない場所に出てきていました。
あたりはもう暗くて、ひんやりしています。しばらく歩いてみても、見覚えのある景色にはなりませんでした。みぃには母ちゃんのお家しか行く場所がないのです。
(母ちゃん、母ちゃん)
これからどうしようかと、とぼとぼ歩いていると少し先の方から「グルルル…」と低くて恐ろしい声がします。
真っ黒で大きな、目つきの悪い、汚れた野良犬でした。みぃを餌だとでも思っているのでしょうか、涎まで垂らしています。
みぃはしょっちゅうリッキーを叩いたり、噛んだり、爪を立てたりしていたけれど、とてもそんな気持ちにはなれず、逃げることもできず、ガタガタ震えていました。身体中が冷たくなっていくのが分かります。いつものように上手く息ができません。野良犬の唸り声が少しずつ、みぃに近づいてきます。
(すてねこのみぃなんて、だれもたすけにきてくれない)
そう呟くと、ひどく悲しくなって涙が出そうになりました。野良犬はもうすぐそばまで来ています。
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