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孤児から冒険者へ
8話初めての魔法
しおりを挟む俺がこの世界で意識を取り戻してから3年が経った。
孤児院の院長ババアによるブートキャンプという名の地獄により
4つの基礎の内『魔力操作』『身体操作』『体力』は合格を貰えた。
そして1番驚いた事は……市井で言われる身体強化魔法は魔力を魔力操作による身体能力の強化する事なので魔法にあたらないらしい。
今日俺が習う『魔法』とは使える魔法を見せてイメージを記憶に刷り込み属性に適性があって尚且つ魔力操作がきちんと出来ていれば使えるらしい。
つまりこの世界の魔法は想像力と魔力操作による実現性が備わっていれば
どんな魔法でも扱える事になる。
そして、詠唱と言うより技名は動的記憶の呼び起こしに使う為の物だ。
よく言うあれだ。梅干しを思い起こすと唾液が出る反射運動みたいなあれを人為的に起こす為の言葉になる。
なので、熟練の魔法使いは無詠唱で魔力のある限りバンバン魔法を使うらしい。
「はい!ヴィン君!今日は初めての魔法だから先生達が使った魔法を見て使ってみましょう!」
今日はレニさんと、雇った冒険者の3人が来てくれている。
3人で、火・風・土・雷・水・光・闇の7属性を見せるらしい。
稀に氷属性を持つ人が居てその人達は種族特性だったり、ユニーク属性持ちと言われる。
まぁ、雪山で暮らしていたりしたらイメージしやすいから使えるって事なんだろうな……
「まずは基本中の基本ね。ボール系統の魔法を使います!ヴィン君は確か魔力弾が使えたからそれに属性を付けるイメージでしてみましょう!」
俺はレニさんが的にしている岩山にファイヤーボールを飛ばすのを見て
一応、再現するイメージで唱えた。
「ファイヤーボール」
魔力弾を火にする感じと言われたので放ったら軽くめり込んだ
「……え?」
「は?」
やべっ、魔力弾って言うから圧縮かけた上に思いっきりやべぇスピードで飛ばしちまった。
「ず、随分速いな玉のスピードが、いや、玉ってあんなに速く飛ぶのか?」
ごめんね、イメージがそもそもスリングショットのイメージなんだよっ!
あと、女の子が玉玉言うもんじゃないよっ!
結局、想像力・イメージと言われて危惧していた通り俺は全属性使えた。
「あらら~どうしましょう終わっちゃいました~」
レニさんのおっとりとした声が困ったわぁみたいなお嬢様の優雅な1日みたいに見えるのは俺だけだろうか……
「ヴィン君危ないっ!」
「んぁ!?」
そんな時だった遠くから暴発したウインドボールが飛んできた時に咄嗟に
『暴食の王』
掌にスキルを発動して、叩き落とす様にしてウインドボールを食い消した。
ふむ、ララの風の魔力は中々に美味い。
ミントの様な爽やかさに微かに柑橘系の様な甘さがある。
「ご、ごごごごめんね。ヴィン君!」
アワアワしながらララが走ってきた。
「大丈夫、大丈夫。ババアのゲンコツの方が『ゴンッ』いでぇぇぇ」
頭をおさえ蹲る。
「ほう、誰のゲンコツの方が痛いってぇえ?ええ?」
ボスゴリラの登場である。
「あらあらー院長先生、ヴィン君が優秀過ぎて魔法は1日で終わりましたぁ~」
半目に俺を見てくるババア。
「ふん、ならクソガキ。次は治癒魔法だね着いて来な。ついでにララも来てもう少し魔力操作の訓練だね」
「「へ(は)ーい」」
俺達2人は、院長室に入った直後ババアは書類作業を始めた。
「クソガキはララの魔力操作のコツを教えてやりな」
「おいっ!俺に指導させんのかよっ!」
「はぁ、まぁいいや。んじゃここにはララとババアしか居ないから精霊達に魔力を渡そう。
その時に各魔力の玉に属性を付けるんだこんな感じに。
ララはまだ慣れていないけど多分暴発しない様に精霊達が魔力干渉をして来ると思う」
『サラ・シル・サン・アクア・アース出番だぞ?出来るだけ最小限の補助に抑えろよ?』
中位精霊に進化した連中にはララが名前をつけた。
『分かってるわよっ!まっかせなさーい』
『お前が1番創造神にそっくりだな(ポンコツ具合がな!)』
『念話なんだから心声ダダ漏れよ??』
こんな会話をしているとララの用意が整った様だ。
「や、やってみるね精霊様」
彼女の手から5つの属性弾が浮かび上がる。
精霊達はニコニコと自分と同じ属性の弾に行き吸収し始める。
「そうそう、上手、上手。これが大きくなったりすると魔法になる訳だな。
まぁ、弾の状態でもここから更に渦巻き状態にして魔力を込めると小さくても威力の強い弾になる」
ララはパチパチパチと手を叩いて喜んでいる。
「クソガキ、アタシにその技使えるって言ってないぞ?」
俺は出した弾を各精霊達に渡し、光属性の弾を5つ出した。
「は?魔力弾の応用なんだから言う必要無いだろ?普段は光源代わりにモアちゃんやララの勉強用と俺の魔力操作の訓練を兼ねてしてるからな。
勉強したくても蝋燭は孤児院ではお手伝いして手に入れないといけないからな。
無駄とは言わないけど明るい内に手伝いして蝋燭使う時間に勉強とか効率悪いだろうよ」
ポカーンとするババアだった。
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