暴食の冒険者〜あ、もう少し魔力濃いめで〜

赤井水

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孤児から冒険者へ

12話冒険者見習い始めます!

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 今日は遂に待ちに待った10歳の能力鑑定の日である。

偽装のスキルを貰ってから2年が経った。
精霊達に協力して貰ってスキルの有効範囲が他の人2人まで可能であると判明したので
俺はララのスキルを隠す事にした。

このスキルの有能さは女神がほぼお詫び状として贈ってきただけあってやば過ぎた。
なら鑑定もセットでくれよと思ったがそちらは自重しているし
まず前世の知識はあれどこの世界の知識はほぼ無いので俺は鑑定スキルの獲得を諦めたのであった。

この偽装スキルはスキルの隠匿特化になっており、鑑定結果を水晶で映した時にかけられた本人と鑑定をかけた人の見え方が変わる。

水晶持ったオッサンが入って来た。

神官服を着ている。

「初めまして、私は精霊教司祭のネクロですお2人の初めての鑑定を担わせて頂きます」

そう言うと机に2つの水晶を置き俺達2人に触れるように促した。

「それでは行きますよ『鑑定』」

目に魔力が集まるのがよく分かる。

『偽装対象に鑑定検知しました。鑑定をレジストし結果を偽装します』

そのスキルの効果発動後、水晶が光りホログラムの様に板が浮き出てきた。

「成功ですね。!?はぁぁなんだハーフか」

ララの肩が一瞬ピクリと跳ねたがそのまま鑑定結果をメモし始めた。

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名前:ヴィン  年齢:10

戦闘スキル
剣術3 体術4 魔力操作5 魔力干渉3
痛覚耐性4 魔力視  ※精霊眼

生活スキル
家事2 生活魔法4 調味料作成3 クラフト

※ユニークスキル
暴食の王 言語理解 アイテムボックス
偽装 精霊の友

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名前:バラライカ  年齢:10

戦闘スキル
弓術4 体術2 魔力操作3 
※精霊眼

生活スキル
家事4 生活魔法4 クラフト

※ユニークスキル
エレメントテイマー
精霊の愛し子

※は偽装隠蔽中

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「ふむ、10歳位の発現スキルはクラフトですかな?初めて聞きますが……しかも2人同時とは」

そこは俺の出番だな。

「生産系のスキルです。木工、彫刻、料理の3種以上の生産系を学ぶと出現しました。俺とララは訓練も同じ量同じ内容をしていた為出たんだと思います」

顎を撫でつつも多分、真偽系統のスキルを使ってるんだろうか?
しかし、これは嘘では無いからな。

すると神官は興味を失った様で水晶を片付け始めてババアから金を貰って帰って行った。

俺達は今後の話をする為に待たされ5分位すると入口からレニさんが入って来た。

「カスは帰りましたぁ~。子供達にいやらしい目を向けているので本当に気持ち悪いですぅ」

おっふ、レニさんがこんな毒を吐くだなんて相当気持ち悪かったんだろうな……

『盗聴は大丈夫だけど孤児院の周りに人が4人見張ってるわ!』

サラやサン、シル等の動きの速い精霊達に孤児院の見回りを任せていたけど
やっぱり居るのか……

『わかったありがとう。乗り込んで来るようなら教えてくれ』

「はぁぁぁ……ババア」

「なんだいヴィン?そんな疲れた顔して」

あれ?こういう時ババアはかなり気を張ってるから気付いてるかと思ったが

「ふっ、ババアも鈍ったな」

その言葉でババアは窓の外に顔を向け「2人?いや3人か」とブツブツ呟いている。

俺もサラ達のおかげなのであまりデカい顔は出来ないが……
精霊の危機察知や敵意感知が鋭過ぎて俺のスキルに全く結びついて無いのが現状だ。

レニさんが慌てて飛び出して行った。

「ララか……あの神官はもう2度と踏み入れさせる訳にはいかないねぇ」

ババアの越しの背景が蜃気楼の様に揺らめいて見えるのは錯覚では無いのだろう……いやあの角だけは錯覚であって欲しい。
鬼や、オーガや。

「さて、ヴィンそれにララ。アンタ達精霊が見えるのに何で精霊眼が無いんだい?」

ララは咄嗟に口に手を当てて喋りませんアピールをした。かわゆい。

ババアはそんな俺の表情を見て呆れつつも俺に視線を向けた。

「あ?あぁ俺のスキルだよ。精霊達がララを心配してくれたんだ偽装スキルって言って鑑定結果を俺とララから見える内容と他の人が見える内容を偽装した。ララの発現スキルは精霊系統。俺はまた違うスキルを持ってるが話せない」



俺の目をじっと見つめ諦めた様にババアは息を吐いた。

「ララにはハーフエルフの印象をつける為に認識阻害のリングは解除して貰ったってところかい」

俺は頷いた。
神官が来ると聞いてからずっと考えていた対策だった。
俺にはあまり興味を持たないだろうとな。

「これから冒険者登録をするんだろう?まぁ、最初は見習いからスタートだからねぇ後5年の間に最高で銅ランクまで上がった子も居るからね。ケガだけに気を付けなね」

俺達2人は1週間前の訓練から俺が短剣、ララが弓の各々実戦に使える武器を貰っていたので準備して
冒険者ギルドへと向かうのであった。



『レニがねバーンボーンってね、でね人が飛んでったのよー』

サラが興奮した様に俺に念話を送って来るが先程の外に居た連中はララが本当に精霊が見えないのか確認する為に見張っていた様だった。

あの孤児院の職員全員無茶苦茶強いんだよな……謎だ。

そんな中、先程から喋らないララに視線を向けると挙動不審だ。
俺はララの手を取ると、手が冷たかった。

「ひゃ、ヴィン君?」

俺は優しく声をかけた
「緊張してんのか?」

ララは少し涙目になりつつ頷いた。

「大丈夫だって、モアちゃんもパーティー組んで上手くやってるって言ってたし」

モアちゃんは俺達の2つ年上の為既に冒険者になっている。
この間ババアとお金の押し付け合いしてんの見て笑ったが。

最後はババアがゲンコツ落として
「銀ランク位になってから金は持ってきな」
と言っていたのが印象的だった。

銀と言えば、1人前と呼ばれ金以上はプロや1流と呼ばれるランクだ。
銀以上になる為には特殊な能力や特殊な武器と言った運も絡んでくる為。
運も1流冒険者の素養と呼ばれる。

俺達は盾の前に2本の剣が×印になっている看板の付いた建物の目の前に行き
スイングドアを開けて入ると、昼前だったので閑散としていた。

俺達は3つある受付の内の1つに行くと、ニコニコとした受付嬢のお姉さんが声をかけてきた。

「新規登録ですか?」

「「はい!」」

「では、こちらの用紙に名前と何が得意か任意で良いので書いてください。代筆が必要なら声をおかけください」

俺は、近接戦闘と書いて、ララは弓と魔法と書いてそれぞれ名前を書いて受付嬢に渡した。

「はい、ありがとうございます。私は今回担当になりますメリアです。何か困った事あったら声をかけてくださいね。ヴィン君とララちゃんね」

俺はえ?っと思って用紙を見るとバラライカでは無くてララと書いていた。

ララはニコニコとしていて優しそうなお姉さんで良かったと思っているのかな?

まぁ、偽名登録は大丈夫らしいけど二重登録は無理だから良いのか。

「それでお2人はパーティーを組んで活動するという事で良いですか?」

俺達は頷く。

「かしこまりました。但し、鉄ランクになるまでパーティーは仮登録になりますのでよろしくお願いします」

本登録になると解散時聴き取り調査等が必要になり面倒臭いらしい。
木ランクの見習いはだいたいが子供の為、少しの喧嘩でパーティー解散はあるあるなので仮登録になるらしい。

但し、犯罪行為は報告すれば深刻度合いにより報酬金は出るし
捕まる時だってある為注意しなければならない。


後はババアの所で冊子を何回も見ていたので説明は不要とした。
そして成人してから冒険者になった場合はランクアップに特に試験は無いが未成年の場合はランクアップに試験があるらしい。
大概は戦闘試験との事だった。

「はっ、またガキ共が来たのかよ毎年毎年鬱陶しいったらありゃしねーぜ」

お?テンプレか?
ララが俺に引っ付いて離れなくなっちゃった。

「ゴルバスさん!!貴方だって町がどんな状況か分かっているでしょう。この道しか無いから来てるんですよ!」

メリアさんがぷりぷり怒り始めた。

「わーってるよ。俺達大人が不甲斐ないせいでまた孤児を増やしてるのだって理解してんだよ。
おい、お前ら戦闘で行き詰まったら声をかけろよ。これでも銀ランクゴルバスだ。アドバイスは何時でもしてやるよ。後は忠告するぞ。
灰色のガキ、"誰も信じるな仲間と己以外は顔見知りでも敵と思え"金髪の嬢ちゃんを護りたいのならな」

あら?スキンヘッドの傷だらけのおっさんだけどめっちゃ良い人だった。

「ありがとう。大丈夫。ララに手を出すなら首が消える覚悟を持ってきて貰うから。無かったら体と頭がバイバイするだけだよ」

俺は本気でゴルバスさんに本音を伝えると

「お、おう、それだけの覚悟がありゃ大丈夫だ。見習いの連中はすぐにダンジョンに行こうとするがまずはじっくり雑用依頼や町の外での依頼の方が実入りも進行速度も早いぞ」

お?それはいい情報だ。

「ありがとうございます!」

後ろから声をかけられた。
「はい、ララちゃんヴィン君これランク証ね首から下げといてね。失くすと再発行にお金がかかるから気を付けてね」

「「ありがとうございます」」

俺達は依頼板の前に行くと……おっふまじか。
ララもポケっとしてしまっている。

低ランク用の依頼の殆どが雑用依頼と常設依頼なのだが……

雑用依頼売れ残り過ぎだろ、今がお昼前だから

「メリアさん。これ何件まで同時に受けれます?」

「同時に3件までよ!でも失敗すると罰金取るからね!」

俺が今悩んでいるのは
・古本屋の清掃
・精肉店脇のドブさらい
・荷物運び

これなら俺もララも生活魔法が使えるのですぐに終わると考えた訳だ。

ララも生活魔法の利点に気付いて余裕と思っているから荷物運び以外に指を差してる。

ララの耳元で
「荷物運びはアイテムボックスが使えるからそれを使おう」

そう言うと俺達は3枚の依頼用紙を、剥がし受付をするのであった。
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