暴食の冒険者〜あ、もう少し魔力濃いめで〜

赤井水

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孤児から冒険者へ

13話初依頼は……

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俺達はまず荷物の受け取りをギルドで行い町の簡易地図を貰った。
これは雑用依頼を、受けてくれる見習い達に無料で配ってる物らしい。

メリアさんが冒険者ギルドに印を付けて教えてくれた。

最初は雑貨屋さんに子供が持てるギリギリの大きさの荷物を2人で持って冒険者ギルドを出てすぐに裏道に入り俺は『アイテムボックス』に荷物をしまった。


そして、ダッシュで雑貨屋に向かいまた近くの裏道で荷物を取り出し店に入った。

「すみませーん、依頼を受けて荷物を持ってきましたぁ!」

「はいはい、ありがとうね」

おばあさんから依頼完了のサインを貰い俺達は精肉店へ走る。
多分古本屋が1番時間がかかる事を想定している為だった。

精肉店へと向かい声をかけて裏口で待っているとシャツを血だらけにした筋骨隆々のオッサンが出てきた。

「ヒッ」

ララがビビりまくってるが俺にとってはIt'sファンタジーなので気にならない。

「嬢ちゃん、坊主さては見習いだな。毎回この反応だから気にすんなはっはっは。それでドブさらいの場所だが……ここからここをよろしく頼む。血を捨ててると固まって詰まっちまうんだよ」

頭をかき、苦笑いする精肉店のオッサン。

「分かりました。終わったら声をかけますね」

戻って行ったオッサンを見て、現状確認する。

「く、くしゃい」
ララが鼻を摘んでる。

「うーん、取り敢えず『クリーン』掛けまくろうかララ」

俺達2人は生活魔法のクリーンで臭いは消えドブも綺麗になったのだが……

『なぁ、アースこの排水溝の強度って俺の魔力弾の水属性に耐えれると思うか?』

俺はまだ詰まっている排水溝を見て懸念事項を伝えてみた。

『無理、強化する、ヴィン撃ってみろ』

アースはカタコトだからなぁ。

「水魔力弾」

俺は排水溝の蓋を取り綺麗になった排水溝の端から地下下水への道へとガンガン魔力弾を撃ち込む。
10発位打つと

『綺麗になった』

そう言ってアースがフラフラ~とララの方へと飛んで行った。

俺はララに離れてもらって逆端から水魔力弾を撃ち込み排水溝を綺麗にした。

だいたい20分程で終えて声をかけると驚かれた。

「お前さん達凄いな、名前を教えてくれ。また詰まったら頼むから」

「ララです」「ヴィンだよ。おじさん詰まらせる前に1日の最後に熱いお湯をかけて流せば臭いも抑えられるし詰まる期間も伸ばせる筈だよ」

そう伝え、俺達は2件目の依頼も終えるのであった。

古本屋は馴染みの店だったので最後に回したっていう理由もあるのでゆっくり歩きつつ俺達は古本屋に向かった。
古本屋に入ると見知った顔に声をかける。

「おっちゃん来たよ」

「ヴィンの坊主にララちゃんか?なんか欲しい本でもあったか?」

古本屋の店主のおっちゃんだ。

「違う違う、依頼だよ古本屋の掃除の」

「あぁ、大変だけど大丈夫か?」

「大丈夫だよ!それとお客さんは居ないよね?」

「あぁ、いつ見ても居らんし閑古鳥が鳴いてるよ」

おっちゃんよ、それは店としてどうなのか?

「ならおっちゃんには特別に俺のスキルを見せよう」

俺が悪い顔でおっちゃんに笑顔を見せる。

「ほう、大きく出たな坊主やってみろ店は閉店にしとく」

「じゃあララは掃除ね」「りょうかい!」

「『アイテムボックス』ゲホゲホ、ホコリくっさ!ララ窓開けて窓」

その後ろでおっちゃんはポカンと口を開けていた。
その後ガンガンアイテムボックスに棚をしまい本をしまって
最後に部屋全体にクリーンをかけて棚を戻した。

アイテムボックスのすごい所は生物と入れたいと念じた認識外の物は入らないという事だ。
今回は棚と本と認識している為、ホコリは全てその場に残る事になる。

だからこそホコリが店中に舞い上がってしまった訳なんだけどね。

「あ、おっちゃん終わったよ」

「あ、あぁまさかそんなスキルがあるとはな……いや理論上は可能なのか?」 

何てブツブツ言い始めた。

「いや、おっちゃん、ダンジョン産アイテムでマジックバックが存在する時点で机上の空論でも何でもないよ?」

「うほほーヴィンお前さんまた面白い事見せやがって俺だから良いが他の連中に見せんじゃねーぞ?」

おっちゃんは依頼用紙にサインを書いて俺達を店から追い出してしまった。

「研究魂に火を付けたな」

俺達は冒険者ギルドに戻り依頼達成を報告してお金を貰って帰るのであった。
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