孤独の魔女と独りの少女

徒然ナルモ

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一章 独りの名も無き少女

12.孤独の魔女と友愛の騎士団

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村の外れにひっそりと存在する盗賊団の仮設のアジト 隠れの砦

ここには数多の盗賊ひしめき 各地から攫われてきた子供達が収容されていた…、まぁ それは数刻前までの話だが

ーーエリスの戦いにより山猩々は打ち倒され、村から連れてこられた子供達は見事外へと逃がされた

ーーレグルスの戦いにより盗賊団は軒並み倒され、率いていた偽証の魔女レグルスさえ大地に沈んだ


ただの二人により完全なる敗北を喫し、壊滅寸前に追い込まれてしまった盗賊団だが、ほんの少し前 偽レグルスが他のアジトに連絡し、援軍を150ほど 呼び込んでいたおかげもあり

戦いを終えたレグルスとエリスは 百を超える大軍団に囲まれていたのだった


「魔女様ぁー!来たぜ!、ってなんだよ砦のこの有様…」

盗賊が近づいて最初に感じたのは、アジトの凄惨な状態だ…上半分は最初からなかったかのように消え、巨大な大穴が開けられ 地面が陥没しているところさえ見受けられる

「あ あそこで倒れてるのって山狒々の兄さんに山鵺の旦那じゃねぇか!山猩々の大兄貴はどこかわかんねぇけど…」

「嘘だろあの二人がまとめて倒されてるなんて…」

山狒々と山鵺の恐ろしさを知らぬ団員は誰もいない、山狼 山猩々と並ぶ盗賊団の大戦力の一角を担う人物、山狒々の腕は容易に敵を握りつぶすし 山鵺の必殺の手刀から逃げられる奴を見たことがない

そんな二人が 纏めて…山狼に続いて四天王が二人も、敗れているなど…このアジトの凄惨な光景から怪獣にでも襲われたんじゃないかと推察する者もいる

「おい、テメェだな 砦をこんな風にしたのは…ただじゃ帰えさねぇぞ」

まぁ、疑われるのは私だよな 実際やったの私だし、山猩々とやらは倒した覚えはないがあの偽物魔女を叩きのめしたのは私だ、今頃崩れた地下の中に埋まっているだろう 死ぬ前に助けるつもりだが、今しばらくは死にかけてもらう

今はエリスの方が先決だ、私は治癒魔術が苦手だ 治そうとすると逆に相手を殺しそうになる、故にこの怪我を治すには治癒のポーションが必要だ
いくらエリスの怪我に命に別状が無くとも、いつまでもこの状態で放置するのは可哀想だ…早く治さねばならんのだが…

「こいつ、賢人じゃねぇか?ほれ村に居着いてる田舎魔術師の…」

「ああ!、ってことはやっぱりここで暴れたのって…いや これ一人でやったのか?、砦半分ぐらい消し飛んでるぞ…」

このままこの状況を放置して村にえっさほいさと走って帰っても、この顔が割れてる状況下では危険だろう…地面に埋まってる魔女が掘り起こされれば、少なくとも何かしら村への報復があるだろう

というか思い出してみたら村人はまだあの偽物を本物だと思い込んでるんだったな、流れでぶっ飛ばしちゃったが これ私 村人から見たら恩人である魔女様ぶっ飛ばした極悪人じゃん

ううむ、村に帰れないんじゃないか?やば…どうするかな

「ちっとばかし俺たちと一緒に来てもらうぜ」

「聞きたいことが山ほどあるからなぁ」

そう考えているとゾロゾロ ゾロゾロと私の周りに殺到する盗賊達、またかこいつら囲んで威圧するの好きだな…仕方ない上に面倒だ、魔術でまとめて蹴散らして…




「ちょーーーーっと待ったぁーーーーっ!その人を解放しなっさーーーい!」


「ん?」


声が響く …其れは少女の声、鋭く尖った刃のように耳に刺さるその声は、盗賊達の遥か後方… 私が消し去った砦の壁の上方に立ち太陽を背にする人影から発せられていた


「な!何もんだッ!?」

私に釘付けになっていた盗賊達の視線は全て、全て全て後方の人影に向く…これは盗賊達でさえ想定外の人物らしい、というか今その人を解放しなさいと言ったな…その人 私か?


「ナニモンだぁあと問われるならば、相手が悪逆の徒であれなんであれ 名乗り聞かせてやるのが筋ってもんでしょう、ビビってションベン漏らす前にトイレに行くことをオススメします!」

崩れた壁からソイツは飛び降り、その姿を晒す…目につくのは白銀だ 丁寧に よく磨かれ白く輝く鎧 機能性を重視した軽めの作りは装備の出来の良さを物語っている

そして対照的なのは その手に握られた鎧とは正反対の鈍色の鉄剣、光さえ飲み込むその剣を高らかに掲げ、焦茶色の髪をした 騎士は高らかに己の名を叫んで…叫んで…

あれ、あの子 どっかでみたことあるぞ


「振るう剣は山を裂き(予定) 歩む道程海を越え(予定)、その志は天より高くッ!最強無敵 完璧最高を掲げる騎士の中の騎士!、輝ける栄光と魔女の加護をその身に受けた 勇姿を万人はこう讃える」

鎧に刻まれたアジメク皇都の国家紋様 銀の乙女を輝かせ、大地を踏み鳴らし 本人から見たらそりゃあもうすごくかっこいいポーズと思われるものを取りながら姿を見せる 

「中央皇都捜索騎士団所属…騎士 クレア・ウィスクムと!、さぁカッコよく名乗りましたよ!雑魚の皆さん !ここから私の見せ場なんでガツガツかかってきちゃってください!」

「クレア…?」

クレア・ウィスクム …エドヴィンの下でメイドをしていた彼女だ、そっくりさんとかではない まさしく彼女だ、彼女が今 剣を握り 騎士と名乗っている

ただ、違和感はない 不思議でもない、きっと彼女のその立ち姿は異様なまでに サマになっていたからだろう、これは いや 此れこそがクレアの本来の在り方であると 語るかのように

「き 騎士ぃ!?ど どういうことだよ!?なんでこんなところに騎士が…、なんで俺たちがここにいるってバレてんだよ!」

「それに来るとしてももっと時間がかかるはずだ、村の物を盗んでからまだ半日も経ってねぇぞ」

想定外の騎士の登場にどよめく盗賊達、主要メンバーは倒れ 首魁たる魔女は倒れ、状況は最悪と言える


「英雄が遅れてくるのは物語の中だけで、真の英雄は予定前倒しで来るんですよ、悪役ぶっ倒しにね!仕事なんで!、それにね…雑なんですよ貴方達 騎士なめちゃあいけません」

「チッ、だが釜わねぇ 騎士とは言え小娘一人だ!とっとと始末してここからずらかればなんの問題もねぇ!やっちまえ!野郎ども!」

盗賊達の中で一際大きな男が号令をかける、よく分からないが あれももしかしたり『山ナンタラ』と異名を持つ実力者なのかもしれない…、そんな巨漢が戦斧を振り回しながらクレアに迫る 

が既に結果が分かる、クレアの目は男の動きを捉え 確実に見切っているから…

「ひょーっ!本当に言うんですねやっちまえって、んなもん言わなくても ここにいる全員まとめてひっくるめてやるつもりだよこのやろーっ!」

足取りは軽やか、巨漢の振り回す斧をステップだけで避け切る、クレアの小さな体が幸いしたか それともクレア自身の実力の高さか その攻撃は掠りもせず、盗賊のガラ空きの懐に潜り込み 、その剣を力強く構える

「あまいあまい!、ちぇぇぇりおぉぉおぉっ!!!」

一閃、剣を振り抜く と言っても刃で斬ったわけではない、鉄剣の腹で男の胴を打ち据えたのだ、致命傷にはならずとも重量のある鉄の塊でぶん殴られればどくなるか 分からぬ者はいない、胃は歪み肺は空気を叩き出され内臓は悲鳴をあげ 本人も窒息の苦しみと地獄のような激痛にあえぐことになるだろう

簡単に言うと

「うぶっ…ぉぼぇぇえ」

胃液吐瀉物ぶちまけて張り倒される、涼しい顔でただの一撃で大男を沈めたその鮮やかな腕前 …あれは一朝一夕でなんとなく出来る芸当ではない、数年がかりで相応の環境下で鍛錬を続けて初めて出来る物、素人じゃない…強いぞクレア

思い返せば、彼女の掌には 剣だこがあった、かなり剣の訓練をしていないと出来ない激しい剣だこが…成る程、私と知り合った時点で既にクレアは…

「殺しはしませんよ、貴方達にはそれなりの罪状がありますから 裁かれるのはここではなく皇都の法廷です、… まぁ?中には皇都に送られた時点で死刑確定のやつもいるでしょうがね」

大男を足で踏みつけ、その視線は既に盗賊団の一団に向けられていた…誰一人逃さぬ 誰一人として見逃さぬ、まだ少女とすら言えるような彼女の冷淡冷徹な目に 彼らは恐怖する、この騎士は本物だと 今更になって理解する

「……で?、次は誰が来るんです?それとも大人しく捕まります?」


「くそっ!やれ!数で押せ!、こんなところで捕まってたまるか!」

「相手は一人 相手は一人なんだ!」


「はっはー!、そう来なくてはぁーっ!、確かに私は一人です!けどねぇー!私一人で百人力なんですよーぉっ!」

クレアの挑発に乗って次々襲いかかる盗賊達、だが 助けに行かなくともいいと即座に判断出来るほど クレアは強かった

もう、無双だ 迫る剣を軽やかに落としそのまま流れで胴に重い一撃、盗賊達の刃は一つとして届かぬ癖にクレアの剣は百発百中一撃必殺、クレアが通り過ぎた後には泡を吹き胃液を吹き散らす盗賊達が山のように倒れている

アイツあんなに強かったのか…


「よっしゃー!二十人抜きぃーっ!、ドンドン来てください!久々の実戦で血が滾ってんですよ!」

「クレアーッ!、お前何先行して一人で戦ってんだ!捜索騎士の仕事は盗賊の相手じゃねぇだろう!魔女様を確保しろ!魔女様を!、何捜索騎士のお前が活躍してんだよ!」

無双し意気揚々と興奮するクレアの背後から声が響く、こっちは聞きなれぬ 野太い男の声だ、ガシャガシャと重装甲冑を鳴らしながら 近づいてくる…


「お!デイビッド副団長!、何してたんですか遅いじゃないですか!遅刻ですよ!」

「外にいたガキンチョ確保してたんだよ…後!副団長じゃなくて今は臨時団長代行!」

紫の髪をカチカチに固めたオールバッグと割れ顎が特徴的なの たいのいい甲冑の騎士がクレアの後ろから、いや砦の入り口から慌てたように入ってくる、なんだアイツ …あれは見に覚えがないぞ…デイビッド?誰だ?クレアの知り合いか?

というか、髪型を変に固めすぎて逆にヘルメットみたいになってるな…思わず吹き出してしまいそうな変な髪型だ

「なんですか副団長その髪型…いつも変な髪型ですけどなんか今は一層変ですね」

「いや一応 本物の魔女様に会うんだからオメカシしないとってさっき馬車で…というか!、捜索騎士のお前の仕事は魔女の確保で…盗賊の相手は」

デイビッド と呼ばれた騎士は、背中に背負った紫晶の大剣をゆっくりと構えると、砦の外に逃げようと殺到する賊達をキツく睨みつけ、その大きな口を開き 開戦の号を叫ぶ

「俺たち友愛騎士団の仕事だろうがっ!、やっちまえ!野郎ども」

「うわ盗賊と被ってますよ副団長」

デイビッドの号令で、我も続けと次々と輝かしい甲冑の騎士達が雄叫びをあげながら砦になだれ込んでくる、一人の一人が身につける装備は、剣も鎧も 盗賊の身につける安物とは比べ物にならない最上級の逸品だ

「ひ ひぃーっ!?友愛騎士団だっ!?」

友愛騎士団 、友愛の魔女スピカ直属のエリート部隊にして 大国アジメクにおける最強の騎士団と名を轟かせる者達、彼らが居るから民は安心して眠れる 正に平和の体現者、対して盗賊達からしてみれば 最悪の法の執行者と知られ、出会うことは即ち死を意味するのだ

「友愛騎士団がこんなに こっちは主要メンバーが一人もいねぇってのに か 勝てるわけねぇよ!」

「で でも負けても終わりだぞ!、た 戦え!」

逃げ惑う盗賊達、中には悪足掻きとして戦う者もいるが…、ダメだ練度が違いすぎる 騎士達 人数は二十人程度しかいないが、一人一人の力が余りに強い 全員がさっきのクレアと同程度かそれ以上の強さなのだ、中には盗賊を五人まとめて吹き飛ばすような場面も見られる

盗賊150対騎士20…もはや数の差では埋められない程の圧倒的な力と装備のの差に、盗賊は次々制圧されていく


「オラオラ!今更盗賊団の一つや二つ!敵じゃないんだよ!、『ライトニングスプレット』ッ!!」

特にあの割れ顎の副団長…いや、臨時団長代行だったか?、彼は中でも郡抜いて強い、魔術を扱いながらの卓越した白兵戦 見た感じ的に魔術剣士か…見事なものだ

紫晶大剣の斬撃と共に放たれる雷電の一撃は、ただの一振りで周囲の盗賊全員を焼き焦がす、…アイツ一人だけでも偽物魔女を含めた この盗賊団を壊滅させられそうなほどだ

「ま まるで相手にならねぇ…一人だけでも相手にならねぇのに、こんなにいるなんて」

「しかも指揮してるアイツ!、あの紫の剣と雷電魔術!間違いねぇ!アイツ紫電のデイビッドだ!」

「フハハハ、言ったろクレア 俺ちゃんと有名なんだよ…って いねぇ!?」

活躍するデイビッドに目もくれず、盗賊と騎士の乱戦のど真ん中を突っ切って走り抜けるクレア、その目は真っ直ぐ私の元へ走ってくる…そうか、捜索騎士といったな なら目的は偽物魔女の粛清と共に

「ッ…ハァ ハァ、…孤独の魔女…レグルス様…ですよね」

「……」

本物の魔女の確保 だな、私の下まで走ってきたクレアの目は 疑いとか疑念と言った物は感じられない、確信だ 私が魔女であると確信して そう言っているのだ

どこでどうバレたか なんて言ってもきりがない、今更ジタバタしても どうしようもないか…、この後の身の振り方は 後で決めよう、この場で違いますなんて言っても通らんだろうし

「ああ、そうだ」

「ッー!い 今までの無礼 非礼の数々を何とお詫びすれば良いか…魔女レグルス様にあんな 言葉遣いを、い 命を以って償わなければ 」

その瞬間 即座に跪いて、声を震わせ謝罪するクレア…やめてくれ 私は別に非礼とも無礼とも思っていない、そもそも私は正体を隠していたんだ そんな状態で態度がどうのなんて酷な事は言わん、それに私はクレアのあの厳しい態度が好きだったんだ

だがこうなってはもう、見れないだろうがな

「顔を上げてくれ、、君はスピカの騎士だろう 頭を下げるならスピカだけにしなさい」

「い …いえ!私が騎士になったのは…、っ!いえ 今はそれどころではないですね、魔女レグルス様 ここは危険です、魔女様に逆らう賊は我ら友愛騎士団が排除します、外に馬車を用意してありますので どうかそちらに…」

「馬車?いやだが私はエリスを…」

エリスを先に治したい、きっとこいつら騎士に付き合えば色々と時間が取られる そうなると、エリスの傷が…だからまず家に帰ってポーションを取ってきてから

「奥には治癒魔術師も控えています、エリスちゃんの傷はカサブタ一つ残さず治してみせます、ですので…」

早くこの戦場から移動してくれ と言わんばかりに私の手を引くクレア、その顔は必死極まる…まぁそうか、彼女からすればこの国の支配者同格の人間が騎士と賊の戦場のど真ん中でボケっと立っているような物

エリスも治してもらえるみたいだし、ここは大人しくついていこう

「ありがとう 助かった」

「いえそんな…、ふくだんちょー!道開けて下さーい!」

「お!無事保護したな!、あれが孤独の魔女様か…いやまだ100%本物と決まったわけじゃねぇが …こりゃ当たりっぽいなっと、お前ら!魔女様のお通りだ!道を開けろ!」

クレアの言葉を受けたデイビッドは近場の盗賊を瞬く間に五人斬り伏せ 、周囲の騎士に号令を飛ばす

そこからは見事なものだった、皆乱戦の最中にあるものの見事に敵を移動させ…戦場のど真ん中 人の海を両断する出口一直線の道を作り出したのだ、全ては魔女様に安全な道をと、…な なんだか偉くなった気分でむず痒い いや偉いのか?

「おい!、確か 子供達の話じゃ地下にまだ子供が捕まってるそうだ!、誰か見てこい!」

「この倒れてるの 確か手配書ある 山狒々と山鵺じゃないか?、流石魔女様だ このレベルの盗賊を無傷で倒すなんて…」

「逆だろ、魔女様の怒りを買ってよく人の形留めてるよこいつら」

「全員お縄だ!逃げられると思うんじゃない!、下手に抵抗すれば罪状が増えるだけだぞ」

喧々囂々の乱戦のど真ん中をクレアの先導で悠々と抜け、砦から外に連れ出せれれば…既に、その周辺には騎士団の物と思われる馬車や馬がワラワラと止まっていた

砦の方の喧騒もだんだん小さくなってるし、こりゃ後2~3分で盗賊達も制圧される事だろう

「魔女レグルス様こちらに、魔女様専用の馬車も用意してますから」

そうクレアが指差すのは、もう凄いくらい装飾が施された巨大な馬車が停まっている…いやよく見れば他のどの馬車よりも豪勢だ 、本当に魔女を乗せるためだけの物なのだろう

いやしかし…

「クレア、随分準備がいいな …捜索騎士が到着するのは まだ後一週間ほど後だったはずだぞ」

「その捜索騎士が私だったんですよ、捜索騎士って 魔女レグルス様を探す為…各地に身分を隠して潜入してるんです、私の場合はエドヴィン様のメイドとして騎士という身分を隠して潜入を…、なのでエドヴィン様も私が騎士である事は知りません」

隠し事をするのは少々気が痛みましたがそれが私の使命なのでと 、成る程な 恐らく身分を隠すのは私を警戒させない為だろう、『レグルスを探してる騎士です!』って看板掲げて近づいてこられたら確かに私も警戒して逃げちゃうし

私の性格を知っているスピカがそう命じたのだろうな、だとしても無茶な事をする 、騎士としての身分を隠して潜入 って…もしかしたら私を探し潜入を続けて生涯 騎士としての身分を明かさないまま死んでいった奴もいたかもしれないわけだから

それは申し訳ないな……私の勝手で 長い生涯を費やさせてしまったのは心苦しい、どうかその一生が 安らかだった事を祈りたい…

「それで実は エドヴィン様が皇都に連絡を出すよりも少し前に私が皇都に連絡を取っていたんですよ…『魔女レグルス様と思しき人物を発見した』って…だって賢人様怪しすぎますしね、本当ならもう少し早く気付くべきだったのでしょうけれど」

あはは、と申し訳なさそうに笑うクレアを見てるとこっちも申し訳なくなってくる、…そうか クレアが先立って連絡してくれていたから、騎士団は予定より早くムルク村に到着したわけか…

「この場所を教えてくれたのは…ムルク村の住人なんですよ?、なんでも 子供達がいないと忠告してくださったのに無碍にしてしまった事を謝りたいと探していた所 こちらの方角にすっごいスピードで走っていく賢人様を見たと言う証言のお陰で 場所が分かったんです」

住人…彼女か!、確か村を出る前口論した!…そうか、彼女も罪悪感を感じてくれていたのか、私も怒ったりして 大人気なかったな…帰ったら謝ろう
  

「じゃあ 最後に聞かせてくれ…何故 そこまで私を魔女と信じられる…?」

「え?…何故って」

クレアは、偽物の魔女が来た時唯一 最後までその話を信じなかった用心深い人物、だが馬車といい 先んじて手紙を送った件といい、私が魔女レグルスであると言う確証がなければ出来ないことだ、それがただ 気になった…

「ずっと、怪しいと思ってました 賢人様のこと、なんか 引っかかるような 気持ちの悪い感触をずっと感じてて、毎日賢人様のことを考えるうちに 魔女様なんじゃないかって思い始めて、それを否定するために毎日考え毎日観察してたら…、いつのまにか 疑いが確証に変わってたんです、本当に 失礼な態度とってごめんなさい」

 
そうか、まぁ 彼女と出会ってほぼ一年間…かなりの回数顔を合わせていたからな、私は意識しなかったが きっと、常にクレアは私を観察していたのだろう これはやられたな

「いや、態度に関しては最初に言ったろう?君が怪しむのは 君が賢いから…、事実君は私の正体を見破る程に 賢かったんだよ」

「なァッ!?っーはぁっ!?なな 何言ってんですか!あんまりかっこい事言わないでくださいよ!」

な なんだこの子急に顔真っ赤にして、照れてるのか? いやそう言えばこの子の態度…私が魔女だから、というより魔女レグルスだから敬っているよう気が…


「…っっ!経緯はこのくらいでいいですね!、あの馬車で待っててください!今治癒術師を連れてきますね!ナタリアーッ!ナタリアさぁーっん!ちょっとどこ行ってるんですかーっ!仕事仕事でーす!」

と照れを隠すように言うと私を馬車に押し込みバタバタと走り去るクレア、態度や身分は変わったが あの騒々しさだけは変わらんな、現実味が持てないがやっぱり彼女はクレアなのだな

しかしこの馬車凄いな、内装だけで一つの部屋みたいな豪華さ まるで貴族や王族が乗るような馬車 いやそれ以上か?

座椅子のクッションも最上級…私の尻が沈むみたいに受け止められる、す 凄いぞ…一体いくらするんだろうと貧乏人じみた下衆な値踏みが始まってしまう、え?これ魔女専用?スピカいつもこんな馬車に乗ってんの?スピカの癖に贅沢な…

確かにこんな馬車に乗ってブイブイ言わせられるなら、嘘でも魔女って名乗りたくなるな

「ふぅ、エリス?大丈夫か?…」

傷だらけエリスを座椅子に乗せてその頭を撫でる、このクッションなら 下手なベッドよりも体が休まるだろう…

「……エリス、無茶をして…」

無茶だった、あんな量の盗賊を 偽物とは言え一端の魔術師だった偽魔女を相手取るには、エリスはまだまだ未熟だった、なのに…この子は一歩引かなかった

決して立派とは言えない、自分より強い相手と無理に戦う必要はない 避けられるならばそんな戦い避ければいい、それが長生きのコツだ…引き際も見切れないような無謀な子でもないだろうに

そう思っていると、窓の外に 保護されている子供の一団が見える…あれは村の子供達?


「っ!そうか!、攫われたのはエリスだけではなかったな!、攫われたのは村の子供達全員…この子はそれを 助けるために、エリスは戦い 引かなかった、盗賊に脅されても 傷ついても、あの子達を 助ける為に」

正しい事のために魔術を使え、それは私の教えだ…きっとエリスは自分の中の正しさに殉じたのだろう

「前言撤回だ、立派だエリス よく頑張ったな…流石私の弟子だ、本当に…よく頑張った」

ああダメだ、弟子の成長を目の当たりにすると言うのがこんなに嬉しいなんて、な 涙出てくる…泣きそうだ、こんなに小さいのに 立派に考えて戦ったんだな、うぅ エリスぅ…

眠るエリスの頭を撫でながら、思わず溢れる涙を頬に感じ エリスを讃える、この子は間違いなく 私の…魔女の弟子だ、なんて誇り高い…と言うか誰かに誇りたい 私の弟子はこんなに…

「何泣いてるんで?」

「ぎゃっ!?」

突如かけられた声に思わず出した事ない悲鳴が出る、な 泣いてるところを見られた!?、気がつくと馬車の扉をあけて こちらを見る人物が…、クレアじゃない騎士でもない ローブを着込んだ女魔術師だ

目の下にはクマ、やる気の感じられないタレ目とうざったい長髪 野暮ったいシワだらけのローブ、なんか全体的にだらしなさそうなのが ボケーっと口に何か加えながらこっちを見てた…

「なんか感傷に浸ってみたいですね治療 後にします?」

「い いや、いい治してあげてくれ」

「おいっす、んじゃちょいと失礼」

私が一言言うとズカズカと馬車に上がってくる女術師 こいつが治癒術師?、いや…み みんなが魔女様魔女様と讃えるから勘違いしてたけど、なんかこの人あんまり恭しくないな…それともこれが普通なのか?よく分からん

というか…なんか口に咥えてる、私も見たことないおかしな筒だ…その先端から煙が出て、っ!?臭ッ!?なんだこの煙すごい臭いぞ!?

「お おい!、なんだこの煙! く…臭いから消してくれ!」

「おおっと二つ目の失礼?、これ 外大陸から伝わってきたパイプっていう煙吸う道具っすよ、香りのある薬草とか木の皮を乾かして刻んだものに火をつけて吸うって道具で…あ!魔女様を吸ってみます?」

「要らん!消せ!」

ちぇーっと、言いながらパイプの煙を消し外にポイっと放り出す女術師、なんだ最近はこんなのが流行ってるのか?くっ!?こんなものの何がいいやら…バタバタと上着をはたき煙を外に出す、本当に変な匂いだ…

「初対面で失礼だらけですいませんね、あ 私友愛騎士団専属治癒術師のナタリア・ナスタチウムって言うんです、よろしくよろしくっ! よろしくの握手ぅ、…あ、やべ 手ェ汚かった、三度目の失礼」

そう言いながら差し出した手を引っ込め自分の服で拭う女術師。ナタリア?というのか?…なんか、手も汚いが お前が手を拭ってる服も汚いぞ…

「しっかし酷い怪我ですね、しかも腕の火傷 女の子がしていい怪我じゃないねぇ…こりゃ来たのアタシでよかったよかった、これでも魔女様のお墨付きの治癒術師ですから、ニキビ一つ残しゃしませんからご安心を」

というと両手にペッペッと唾を吐き気合いを入れるナタリア、大丈夫かなこいつ…いやスピカは抜けたところがあるやつだが、あれでも治癒魔術のスペシャリスト 半端な奴を重用したりはせん、むしろ治癒魔術の腕だけ見てる可能性すらある

「んふぅー、んじゃ気合い入れまして!、『リカバリーオラトリオ』…っと」

エリスの体に手をかざし、短く詠唱を告げれば 暖かな陽光にも似たる暖かな光の体を包む…ううむ、こいつ変なやつだと思ったが 治癒魔術の腕は確かにスピカが重用しているのも分かる

治癒魔術とは、攻撃魔術と違い いやそれ以上に繊細な魔力制御を要求される…相手の部位 怪我の深度、状態によって的確に魔力の量や動かし方を変え 時に魔術を変え、対応する必要があり、身体や医療の知識もそこそこにいる…私はこう そう言うのが苦手なんだ

ナタリアは腕がいい、こんな風に見えて頭はいいのだろう…

エリスの怪我を塗りつぶすように的確に治していき 本来なら治せなさそうな腕のやけどもみるみる治っていく…これは任せても大丈夫そうだ

「いい腕だな、スピカが褒めるのも頷ける」

「え!?マジです?、いやはや魔女様に褒めていただけると嬉しいですねぇ 、スピカ様も仰ってましたよ、魔術の腕をレグルス様に褒められたら一人前だって、レグルス様捻くれ者だからなかなか褒めてくれないって」

あいつそんなことまで言ってたのか……なるほどなるほど、私は別に捻くれ者じゃない 最近は普通に人だって褒める…まぁ、昔はちょろっと怖かったかもしれないが

「ナタリアさぁん、魔女レグルス様に失礼なことしてないでしょうねって煙臭ッ!?馬車の中で  パイプ吸いましたね!」

「ちこっとだけ、ちこっとだけだから」

ギャーギャー賑やかに現れるのはクレア、なんだか遠慮しているのか 馬車の中に乗り込んでくる様子はなく外の方で騒いでいる、この子は…かなり魔女に対する信仰心が強いようだな

「ちこっとも何もダメです!、この方は孤独の魔女レグルス様ですよ!」

「知ってるよう、その方を保護しに来たのも聞いてるよう」

「分かってません!!!、いいですか!魔女レグルス様はですね!すごく素晴らしい方でですね!どれくらい凄いかっていうと…」


「おいクレア、ナタリアはお弟子さんの治療してんだから騒ぐんじゃないよ」

「あ、副団長 もう終わったんですか?」

エリスの治療をするナタリアの隣で騒ぐクレアを押さえるのは、さっきまで盗賊と戦ってた 割れ顎の臨時団長代行のデイビッドだ、傷ひとつどころか汗ひとつかいていないが …どうやらもう終わったようだ

砦の入り口からゾロゾロと捕らえられた盗賊達と捕まっていたであろう子供達が連れられて出てくるのが見える

「まぁな?、俺たちが来た時点じゃ 砦も壊れて主要メンバーもやられてたから、…万全の状態で相対してたらもうちょっと時間がかかったろうが…半壊の盗賊団程度じゃあこんなもんよ」

「デイビッド臨時団長代行!、砦内部の盗賊 奴隷の子供、全員回収完了しました!、…山狒々 山鵺 魔女を名乗る魔術師 の三名を拘束しました」

すると、一人の騎士がこちらに小走りでかきてきて報告を述べる、どうやら盗賊全員 及び私が倒した主要メンバーは無事捕まったらしい、偽物もあの瓦礫から無事掘り起こされたか 半死状態だろうが ナタリアみたいな治癒魔術師がいれば 大丈夫だろう

「うむ、ご苦労さん」

「ただ…残りの主要メンバーの山猿と山猩々の二名は発見できず…、逃亡したものと見られます」

「何?山猩々?…うぅむ面倒なのが、山猿もずる賢い奴だし もしかしたら最初からいなかったのかもなぁ…」

「しかし子供達の話では、山猩々はエリス という子供によって打ち倒されていたらしいのですが」

「子供に?なんかの間違いだろ…、山猩々となりゃ騎士だってタイマンでぶっ殺しちまうような怪物だぜ?、それを子供が…エリス?、もしかしてエリスって 」

なんか騎士とデイビッドの話にエリスの名前が出てきた気がするが…この子何かしたのだろうか

「エリスがどうかしたか?」

「あ…あのぉ、もしかして、お弟子さんの名前って エリスって言うんですか?」

「ああそうだが…?」

「こんな子供が 山猩々を…いや末恐ろしいなおい、いや実はこの子 盗賊一味の中でもトップクラスに強い奴ぶっ倒してたみたいで…いや魔女様のお弟子さんなら 分からなくもないけど、大手柄ですよ エリスちゃん」

エリスが 盗賊の大物を倒した?、一体どうやって いや魔術か…教えた覚えはないが、どうやら私が都度都度使う魔術の詠唱を丸暗記し独自に取得していたのだろう、師の言いつけを守らないなんて …なんて悪い弟子だ!

本当に本当に!、他の子供達を守る為にそんな恐ろしい相手と戦って 傷つき体力も殆ど残っていないだろうに、……本当に どこまで無謀なんだ、帰ったらやっぱり説教だ!…ぐすん

「えりずぅぅぅ…立派な子だよお前はぁぁぁ、よくやった頑張ったな偉いぞえりずぅぅぅ!」

「あ また泣いてら、っと 魔女様?治療終わりましたよ 傷は治りましたけど、魔力消耗と体力の消費が激しいんで、しばらくは寝かせておいてあげてください、毛布持ってきますんで 暖かくして…」

「えりずぅぅぅぅぅぅううう!」

「こら聞いてねぇわ」



…………………………………………………………


……その後、ナタリアの治療の甲斐あってエリスの傷はまるまる完治、ただ山猩々や偽物の魔女との戦いにより体力や魔力を多大に消費していたらしく、しばらくは安静にとの事だ

幸いあの馬車の品質は最高のもの、座椅子に横にしているだけで十分体は休まるだろう…一応体を冷やさないように毛布と私の上着を掛け寝かせておくことにした…

対する私は、友愛の騎士団達から 今後の説明を受けていた

「おほん…えーっと、孤独の魔女レグルス様 あなたはこれから皇都アジメクに送られます、まぁ 本物でしょうけど一応スピカ様に謁見して頂き 本物かどうかの確認をしてもらいます、いいですか?」

「構わん…」

このように 騎士達に囲まれて臨時団長代行のデイビッドから話を受けていた

一応 形式上は私はまだ『魔女疑い』、きっちり確認するまではあの偽魔女と扱い的には同じだ、ちなみに彼女 …偽魔女は治療を受け 意識を取り戻した瞬間 騎士に囲まれていると知るなり魔術を使って大暴れしたらしい

だがそこは天下の友愛の騎士団が相手だ、瞬く間に魔術を弾き返し魔力封じの縄で雁字搦めにされ、輸送用の馬車に一人で突っ込まれているそうだ、あいつも一応魔女疑いとして私と一緒にスピカの前に突き出されるようだ

しかし

「私のことは 拘束しなくてもいいのか?、私もまだ魔女と確定してないだろう?それなのにあんな豪華な馬車を与えてもいいのか?」

「たはは、思ったより偉ぶらないんですね…アレを拘束したのは抵抗したからですよ、勿論貴方も抵抗するなら拘束します、でも…遠巻きながら 天に昇る炎の雷と それが山をぶっ壊す所を見ましたからね、アレは魔女にしかできないですし 本物かなぁと」

ああ…あの怒りに任せた火雷招 見られていたのか、いや見られていたも何も よく周りを見回してみれば

半分消し飛んだ砦 その周りの山は殆ど消し飛んでいる、これで何もしてませんは通らんか…

「それにですね、実はここに来る前…スピカ様からお言葉を貰いましてね『十中八九レグルスだろうから、輸送は豪勢にお願いします』と…だから魔女様がか乗る為の最上級の馬車を用意したんです、スピカ様も馬車は自由に使っていいと仰ってましたよ」

スピカ…あいつか、もしかしたら 私が近くにいるのをなんとなく感じていたのかもしれないな、故に捜索騎士団なんて無茶なもの作ってたのか、だが私は基本的にムルク村と惑いの森しか行かないから 今の今まで捜索騎士の目にも止まらなかったと…


「しかし、なんだか落ち着かないな あの馬車 、豪華過ぎるというか…私なんか使ってもいいのかね」

「いいんです!、魔女レグルス様は英雄ですからね!アレでも足りないくらいです!、館まるごと馬車にしないと気が済みません!」

と吠えるのはクレア、さっきからずぅーっと私の側に控え 『魔女レグルス様!魔女レグルス様!』と仔犬のように付いて回って、私の警護?をしてくれている、私としても知らない人間が側にいるより 顔見知りがいた方が楽だから いいんだが…なんなんだこのデレデレぶりは!
あの『賢人様…ッ!』とキツく見てたクレアがさっきから側にいるだけでほにゃほにゃ笑って、まるで年頃のこんなの子のようだ!

「すみませんね こいつ鬱陶しくないですか?、クレアのやつ 本当なら最年少で友愛騎士団に入団出来るぐらいの才女だったのに 、入団の話蹴って『魔女レグルス様に会いに行きます!』って 勝手に捜索騎士団に入ってどこぞに消えちまうようなやつでして…多分、会えて嬉しいんだと思うんで 、少し側に置いてやってくれませんかね」

「な なな、何言ってるんですか副団長そんな恥ずかしいこと言わないでくださありがとうございます!」

なるほど、魔女と知ったから態度が急変した というより、孤独の魔女レグルスに憧れ捜索騎士団に入ってまで会いたかった人物だから、こうもデレデレしてるのか…なんだかむず痒い、思ってみればエリスも言ってたな

クレアさんは本当はししょーの事が大大 大好きなんですよ と…あれ本当にそのままの意味だったのか

「クレア…、実物を見てがっかりしなかったか?憧れ続けた孤独の魔女が こんなで…、ほら絵画はほど美しくないだろう?」

「いいいいえいえいえ!?、がっかりなんてとんでもないです美しいです!ああああこんな風にお話しできるなんて夢みたいです、孤独の魔女様が私の名前を呼んで……え………これ妄想? いつもの妄想?…夢?」

いや妄想ではないよ、あまりに嬉しくてか 半狂乱になっているクレアは一旦放置し、デイビッドとの話に戻る、真面目な話だ

「このままアジメクに行くのは構わん…だが、一旦家に寄らせてくれ、恐らくアジメクに向かえばしばらくは帰ってこれんだろう?、村のみんなにも挨拶しておきたいからな」

「構いませんよ、ただし 見張りはつけさせてもらいます…いいですね?」

飽くまで、逃がさないというのか まぁ逃げたりはしないが、ここからアジメクに向かうとなると 片道数週間はかかる、なら しばらく村を空けることにもなる、エドヴィンや村のみんなと話をしておきたい



しかし魔女様か……よもや、またその名で呼ばれる日が来るとは思わなかったな

私は魔女と露見した瞬間、エリスを置いて逃げようかと思っていた 、他の魔女が私を敵視し襲ってくるかもしれないと考えていたからだ、だが 実際は敵対どころか かなり友好的、馬車を用意し 歓待を受けながらだ はっきり言って想像と真逆まである

これなら古い友人の顔を、久し振りに見に行くのも悪くないかもしれない そんな風に思ってしまえばもう、気持ちは止められない…会いたい スピカや他のみんなに…

エリスにも、世界を見せたいと思っていたし 存外ちょうどいいのかもしれない、行ってみるか…皇都に
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