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《消極的なレン君ルート》
【シーン9〔消〕】チェス
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日が完全に落ちた。
夜になれば墓地もそれらしくなるかというと、そんなことはない。全然。
昼も夜もたいして変わらず、じいさんたちが他愛ないことで盛り上がっている。
幽霊に体内時計なんてものはないからな。
気が付いたら日を跨いでいた、なんて序の口で、油断すると今日が何月何日か分からなくなる。
それを防ぐためと言っちゃなんだが、俺たちも一応、就寝みたいなことをするようにしている。
睡眠が必要なわけじゃないが、1日の区切りをつけるために、深夜には全員自分の墓に戻って休むんだ。
まあ、あと数時間は騒がしいだろうが。
イクスが町へ出かけてからどれくらい経ったのか。
あれから俺とレーズィは、またしてもじいさんたちの遊び相手をさせられていた。
レン「で、この勝負、俺が勝ったら成仏してくれるんだな?」
おじいさん5「うむ。無論よ」
ゲームも終盤というところで、俺は開始前にじいさんが出してきた条件をもう一度確認する。
よし。今確かに聞いたからな。それじゃあ、遠慮なく――。
レン「チェックメイト」
おじいさん5「なっ!?」
ふふん。俺にチェスで勝負を挑むとは怖いもの知らずな。
元グランドマスターにも匹敵する実力を身につけた俺に勝てる相手なんかそうそういるもんか。
おじいさん5「うむむむむ……」
レン「どうだ」
おじいさん5「もう一勝負じゃ!」
レン「約束はどうした!?」
おじいさん5「バカもん! 人生最後を黒星で締められるはずがなかろうが」
人生はもうとっくに決着ついてんだろ。
レン「じゃあ、じいさんが勝てば逝ってくれるのか?」
おじいさん5「そんなん敗者の頼みを聞いてやる義理はないわい」
レン「この勝負、一体なんだったんだよ……」
くそ。また遊ばれた……。
観戦していたじいさんたちがそばに寄ってきて、次は自分と1勝負しようとせがんでくる。
他にやることもないし、もう1ゲームするか。
レン「ん? あれ、レーズィは?」
じいさんたちの中にいたはずの小さな影がいつの間にかいなくなってる。
おじいさん3「あのめんこい嬢ちゃんなら、さっきあっちの方へ行ったぞう」
そばにいるから大丈夫だろうと、思いの外チェスに集中してしまった。
レーズィを一人にするのはやはり心配だ。特に今は家族のことが気になってしょうがないだろうし。
レン「様子見てくるわ。チェスはまた今度な」
子どもみたいに駄々をこねるじいさんたちを適当になだめ、レーズィが向かったという方へ行ってみる。
何かあってからじゃ遅い。早いとこ見つけないと。
夜になれば墓地もそれらしくなるかというと、そんなことはない。全然。
昼も夜もたいして変わらず、じいさんたちが他愛ないことで盛り上がっている。
幽霊に体内時計なんてものはないからな。
気が付いたら日を跨いでいた、なんて序の口で、油断すると今日が何月何日か分からなくなる。
それを防ぐためと言っちゃなんだが、俺たちも一応、就寝みたいなことをするようにしている。
睡眠が必要なわけじゃないが、1日の区切りをつけるために、深夜には全員自分の墓に戻って休むんだ。
まあ、あと数時間は騒がしいだろうが。
イクスが町へ出かけてからどれくらい経ったのか。
あれから俺とレーズィは、またしてもじいさんたちの遊び相手をさせられていた。
レン「で、この勝負、俺が勝ったら成仏してくれるんだな?」
おじいさん5「うむ。無論よ」
ゲームも終盤というところで、俺は開始前にじいさんが出してきた条件をもう一度確認する。
よし。今確かに聞いたからな。それじゃあ、遠慮なく――。
レン「チェックメイト」
おじいさん5「なっ!?」
ふふん。俺にチェスで勝負を挑むとは怖いもの知らずな。
元グランドマスターにも匹敵する実力を身につけた俺に勝てる相手なんかそうそういるもんか。
おじいさん5「うむむむむ……」
レン「どうだ」
おじいさん5「もう一勝負じゃ!」
レン「約束はどうした!?」
おじいさん5「バカもん! 人生最後を黒星で締められるはずがなかろうが」
人生はもうとっくに決着ついてんだろ。
レン「じゃあ、じいさんが勝てば逝ってくれるのか?」
おじいさん5「そんなん敗者の頼みを聞いてやる義理はないわい」
レン「この勝負、一体なんだったんだよ……」
くそ。また遊ばれた……。
観戦していたじいさんたちがそばに寄ってきて、次は自分と1勝負しようとせがんでくる。
他にやることもないし、もう1ゲームするか。
レン「ん? あれ、レーズィは?」
じいさんたちの中にいたはずの小さな影がいつの間にかいなくなってる。
おじいさん3「あのめんこい嬢ちゃんなら、さっきあっちの方へ行ったぞう」
そばにいるから大丈夫だろうと、思いの外チェスに集中してしまった。
レーズィを一人にするのはやはり心配だ。特に今は家族のことが気になってしょうがないだろうし。
レン「様子見てくるわ。チェスはまた今度な」
子どもみたいに駄々をこねるじいさんたちを適当になだめ、レーズィが向かったという方へ行ってみる。
何かあってからじゃ遅い。早いとこ見つけないと。
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