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間接キス!?
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少々コンビニで時間を潰し、いい時間になったので集合場所に向かう。暑すぎる外気に抵抗するように買ったばかりの水を喉に流し込んだ。
集合場所に到着すると、すでに結華が待っていた。
彼女はこちらに気づいていない様子で、キョロキョロと辺りを見渡している。小動物みたいで可愛い。
彼女はとてもおしゃれな格好をしていて、ジョブズスタイルの僕はちゃんとした服も揃えときゃよかったなと少しだけ後悔した。
目の保養にしばらく彼女の様子を眺めていると、ふと彼女と目が合った。トコトコと僕の元までやってくると、
「女性を待たせちゃダメでしょ……っていうかなんでそっちから来たの?」
と聞いてきた。コンビニは駅の改札とは反対方向にあったから僕がいた場所を不思議に思ったのだろう。
「ごめん、コンビニに行ってたんだ。ていうか来るの早いね、まだ10分前だよ?」
「だって楽しみだったんだもん!」
そう言うと、彼女は突然ニシシっと小悪魔っぽく笑った。この顔は、何かろくでもないことを思いついた時の顔だ。出会って数日しか経ってないがなんとなくそう思った。
「にしても、今日ホントに暑いね~。ちょっと喉が渇いてきちゃった」
「じゃあどこかカフェにでも寄ろうか」
「いや、それはちょっと面倒かな。ほんのちょっと喉が渇いただけだから」
「そう?じゃあ僕がさっき行ったコンビニで何か買おう」
「それも面倒。早く君と遊びに行きたいからコンビニなんかで時間潰したくないよ」
「君は結構わがままだね」
しかもその発言はコンビニにかなり失礼な気がする。途方に暮れ、僕は尋ねる。
「じゃあ、どうしたいの?」
すると、彼女は一瞬ためらって、口を開く。
「君の水、ちょっともらえないかな?」
「……え!?」
予想外の申し出に素っ頓狂な声をあげてしまった。
「大丈夫、そんなにいっぱい飲まないよ。ちょっとだけ」
「いや、量の問題じゃなくてね」
「じゃあ何も問題ないじゃん!ああ、暑すぎて体調悪くなってきたな~。水が欲しいな~」
白々しいにも程がある演技だった。でも確かに彼女の頬は少し赤く上気していた。もしかしたらホントに体調が悪いのかもしれない。
……いや、体調が悪いのなら少しの水でどうにかなるとはとても思えないが。
「で、でもそれって間接キ…」
「大丈夫、私は気にしないから!」
僕が気にするんだっつーの。
だが、彼女の目には強い意志があった。僕が折れないと退くつもりはない、という意志がひしひしと伝わってきた。
「……わかったよ、ちょっとだけだからね」
「やった、ありがと!」
そういってペットボトルを受け取る結華。少し戸惑いながら、キャップを外す。
「……わ、私滝飲みあんま得意じゃないから、口つけていい??」
遠慮がちにそう聞いてくる。全く、戸惑うくらいならやらなきゃいいのに……
「いいよ、気にしない」
それを聞いて彼女はおずおずと飲み口に口をつけ、2口程度喉を潤した。
「あ、ありがと。助かったよ」
「どういたしまして」
未だに彼女の頬は赤く染まっている。僕は鈍感系主人公でもなんでもないから、多少なりとも彼女が照れているのが読み取れた。
そんな顔されたら僕の方まで恥ずかしくなってくるんだが。
少し気まずいが、不快じゃない沈黙を感じながら、僕らは改札を背に歩き出すのだった。
集合場所に到着すると、すでに結華が待っていた。
彼女はこちらに気づいていない様子で、キョロキョロと辺りを見渡している。小動物みたいで可愛い。
彼女はとてもおしゃれな格好をしていて、ジョブズスタイルの僕はちゃんとした服も揃えときゃよかったなと少しだけ後悔した。
目の保養にしばらく彼女の様子を眺めていると、ふと彼女と目が合った。トコトコと僕の元までやってくると、
「女性を待たせちゃダメでしょ……っていうかなんでそっちから来たの?」
と聞いてきた。コンビニは駅の改札とは反対方向にあったから僕がいた場所を不思議に思ったのだろう。
「ごめん、コンビニに行ってたんだ。ていうか来るの早いね、まだ10分前だよ?」
「だって楽しみだったんだもん!」
そう言うと、彼女は突然ニシシっと小悪魔っぽく笑った。この顔は、何かろくでもないことを思いついた時の顔だ。出会って数日しか経ってないがなんとなくそう思った。
「にしても、今日ホントに暑いね~。ちょっと喉が渇いてきちゃった」
「じゃあどこかカフェにでも寄ろうか」
「いや、それはちょっと面倒かな。ほんのちょっと喉が渇いただけだから」
「そう?じゃあ僕がさっき行ったコンビニで何か買おう」
「それも面倒。早く君と遊びに行きたいからコンビニなんかで時間潰したくないよ」
「君は結構わがままだね」
しかもその発言はコンビニにかなり失礼な気がする。途方に暮れ、僕は尋ねる。
「じゃあ、どうしたいの?」
すると、彼女は一瞬ためらって、口を開く。
「君の水、ちょっともらえないかな?」
「……え!?」
予想外の申し出に素っ頓狂な声をあげてしまった。
「大丈夫、そんなにいっぱい飲まないよ。ちょっとだけ」
「いや、量の問題じゃなくてね」
「じゃあ何も問題ないじゃん!ああ、暑すぎて体調悪くなってきたな~。水が欲しいな~」
白々しいにも程がある演技だった。でも確かに彼女の頬は少し赤く上気していた。もしかしたらホントに体調が悪いのかもしれない。
……いや、体調が悪いのなら少しの水でどうにかなるとはとても思えないが。
「で、でもそれって間接キ…」
「大丈夫、私は気にしないから!」
僕が気にするんだっつーの。
だが、彼女の目には強い意志があった。僕が折れないと退くつもりはない、という意志がひしひしと伝わってきた。
「……わかったよ、ちょっとだけだからね」
「やった、ありがと!」
そういってペットボトルを受け取る結華。少し戸惑いながら、キャップを外す。
「……わ、私滝飲みあんま得意じゃないから、口つけていい??」
遠慮がちにそう聞いてくる。全く、戸惑うくらいならやらなきゃいいのに……
「いいよ、気にしない」
それを聞いて彼女はおずおずと飲み口に口をつけ、2口程度喉を潤した。
「あ、ありがと。助かったよ」
「どういたしまして」
未だに彼女の頬は赤く染まっている。僕は鈍感系主人公でもなんでもないから、多少なりとも彼女が照れているのが読み取れた。
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少し気まずいが、不快じゃない沈黙を感じながら、僕らは改札を背に歩き出すのだった。
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