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【ジーク】俺はロリコンじゃない※
しおりを挟む全てを諦めていた。
再び愛されることも、笑顔を向けてもらうことも、触れることももう出来ないんだと諦めていた。
そして、自分はコハクにもう必要としてもらえない、捨てられるんだと覚悟していた。
もし、顔も見たくないと言われたら、その時は潔く死のうとまで思っていた。
それがまさか、許してもらえるとは、また手を握ってもらえるとは思いもしなかった。しかもその指先にキスまでして、あんなことを言ってもらえるなんて想像すらしていなかった。
嬉しかった。泣きそうなくらい嬉しかった。本当にこのまま俺の想い全てを受け入れてもらえたらと強く思った。
しかしその言葉を信じることは出来なかった。
何故なら、コハクは本当の俺を知らないからだ。俺が今まで蓋をしてきた気持ちがどういったものなのか、俺がコハクに何を望んで、コハクをどうしたいのか、何も知らない。
だからコハクが言う『全部』とはいったい何処までを指すのか、どの程度のものを想定して『全部受け止める』なんて言ったのかーー
無垢で恥ずかしがり屋なコハクには、きっと俺の黒々しく醜い欲には耐えられない。
だから俺は最後まで理性的であろうと心に誓った。
なのにーー
あんな配慮のかけらもない自分本位のキスを受け入れて、更には唾液まで飲み干すとか。キスだけで女性器濡らすとか!しかもそれを恥じらうんじゃなくて、泣きながら謝るとか、可愛い過ぎるだろ⁈なんの試練だ!
『はしたない子でごめん』だぁあ?そんな身体にしたのは俺だろう?喜びしかないわ!
しかも今度は女性器ことを『女の子の大事なとこ』とか相変わらずクソ可愛い表現しやがるし!じゃあなにか?コハクはその『大事なとこ』を濡らして、俺なんかに簡単に晒して、頬を赤らめてんのか?んだそれーーすげぇ興奮する。
いや、落ち着け落ち着け。理性的であろうと誓ったはずだろ?ちゃんと自分を律して冷静に、コハクの様子を確認して、丁寧にゆっくりとーー
「気持ち、いいっん、好きっ、ソコ好き……だから、んっ、いっぱい撫で撫でして」
「……っとに可愛い過ぎだろっ!」
無理だ、もう我慢の限界だ!ここまでされて理性なんて保てるわけがない!って、それで前回失敗したんだろうが!っ……少し、少しだけなら良いよな?少しぐらい理性を捨てたってコハクは怒ったりしないよな?嫌ったりしないよな?
「ほら、コハクの良いとこいっぱい撫で撫でしてやるから、もっといっぱい気持ち良くなろうなぁ」
気持ち良い事しかしないと誓うから、決して無理はしないと誓うから、どうか俺の欲を受け止めてくれ。
「んゃっ、あ、ぁんっああーーっ!!」
「上手にイけたなぁ、いい子だ」
時間を掛けて徐々に頂へと至らせたからだろう。今回、コハクは達しても気絶することはなく、俺が頭を撫でるとトロけきった目で俺を見つめ、へにょっと嬉しそうに微笑んでくれた。
嗚呼可愛いなぁ、俺のコハクは本当に可愛い。
「今度は違う所で気持ち良くなろうなぁ」
そう言って、俺はコハクの服を脱がし、自分も上の服を脱ぎ捨てると、顔を真っ赤にして恥じらう可愛い天使に口付けた。
ちゅっ、ちぅ……ちゅぅーっ
「んっ、うぁ……んんっ!な、なんで首吸うの?お兄ちゃんも血、飲みたいの?」
「……違う。俺に吸血欲はない」
俺に首を吸われ、コハクの頭によぎったのが、吸血のことであることに若干の苛立ちを覚えた。
今は俺だけのコハクであるはずなのに、間接的にもクシェルの話題を出されたことに、コハクが一瞬でも他の男の事を考えたことに腹が立った。
が、それを悟られない様に穏やかな声を意識する。お陰でコハクに怯えた様子はない。
「これは印を付けてるんだ」
「し、印?」
「そう、俺のっていう印」
そう言いながら俺は、コハクの首に付けた赤い印を順番に指でなぞった。しかし、自分の首元なんて鏡でもなければ確認のしようもない。
案の定コハクは不思議そうに首を傾げた。
「少し強めに吸うと赤い痕が残るんだ」
ちゅっ
「ほらこんな風に、な?」
俺はコハクの左腕を持ち上げると、皮膚の薄い内側に吸い付き赤い印を付けて見せた。
「こ、これがジークお兄ちゃんのっていう……印」
「そうだ。それをここにも付けたいから……この手を離してくれないか?」
俺はそう言って、胸の上に添えられたコハクの腕を軽く掴んだ。
「ひゃっ!あ、で、でも……」
「胸を見られるのが恥ずかしいのは分かるが、このままだとコハクの全部を愛せないだろ?」
「あ、愛っ⁈」
「俺の想い全部を受け止めてくれるんじゃなかったのか?」
本気で嫌なら、無理にとは言わないがーー
「あぅっ、でもここは……ち、小ちゃくないから、きっとガッカリする」
「…………はあ?するわけないだろ!」
コハクの胸を見てガッカリなんかするわけがない!というか、コハクの胸が小さくないことぐらいとっくに知っている。
「ほ、本当?でも……ジークお兄ちゃんってロリコンでしょ?ロリコンは皆んな小ちゃい胸が好きなんじゃないの?」
「…………俺はロリコンじゃない」
「えええー!そうなの⁈え?じゃあなんでわたしのこと……あ、そうか運命の……」
まさかあの変態と同類だと思われていたとは。何故そんなことに……あー、いや、確かにそう思われても仕方のない愛で方をして来た自覚はあるがーー
俺は決してコハクが小さく幼い顔付きだから好きになったわけではない!
「俺はコハクだから好きなんだ。このぷにっと柔らかな頬も、澄んだつぶらな瞳も」
俺は腕を掴んでいた手を離すと、その手をコハクの頬に添えーー
「舌を入れただけでいっぱいになってしまうこの小さな口も」
親指で唇を撫でた。
「毛が無くもっちりすべすべなここも全部コハクだから可愛いと思えるんだ」
そう言って視線だけソコに送れば、それだけで、涙目で羞恥に震えるコハク。
「だからな、もしここが俺の想像より大きかったとしても、コハクのものなら絶対可愛い。ガッカリなんてするはずがない。コハクはコハクであるだけで可愛いんだから」
「ふぇ⁈……ぁ、そ、それは……わたしが運命の番、だから?」
「……それを誰に、いや一人しか居ないか」
俺がコハクに『運命』を感じたことを知っているのはサアニャだけだ。
サアニャはそんなことまでコハクに話していたのか……あぁそういうことか、今回のことはサアニャがコハクに余計なことを吹き込んだことが原因だったのか。なるほど理解した。
ん?待てよ。と、いうことはコハクは、俺の獣人としての、『運命の番』を求める雄としての欲を知った上で『全部受け止める』と言ってくれたということか?
「ジークお兄ちゃん?」
衝撃の事実に思わず口元を押さえ俯くと、心配そうに名前を呼ばれてしまった。
「あ、あぁすまない少し考え事を」
「き、聞いちゃいけない事だった?で、でもね、サアニャはお兄ちゃんのことを心配して、わたしがジークお兄ちゃんのことを誤解しない様にって話してくれただけで、軽い気持ちで話したんじゃないと思うの!だから」
「大丈夫。サアニャのことも怒っていない」
ただ、そこまでコハクに許されている事が、コハクの気持ちが嬉しくて震えていただけだ。
「コハク、さっきの答えだが……俺はコハクが『運命の番』だから可愛いと思うわけでも好きになったわけでもない」
「え?でも……」
「それは所詮神の選択だ。そこに俺の意思はない」
それを、コハクの神力を受けた時に思い知らされた。
そんな生まれる前から予め決められた相手に心惹かれたとして、その気持ちは本当に恋だと言えるか?そんな相手を欲したとして、それは本当の愛だと言えるか?答えはーー否だ。
「確かにきっかけはそれだったかもしれない。が、俺は本能だけでコハクのことを好きになったわけでも、愛しいと思ったわけでもない」
そこは勘違いしないで欲しい。
「故郷を想い、泣く儚い姿を見て護りたいと思った。いつも明るく笑顔であろうとするコハクが、とても強く、眩しく思えた。自分の事よりも相手のことを想える優しいコハクが好きだと思った」
コハクの両頬に手を添え、目で、言葉で好きだと伝える。
「恥ずかしがり屋で、すぐ顔を真っ赤にするコハクが可愛いと思った。寂しがり屋なのに、素直に甘えられないコハクを愛しく思った」
そこまで言い終えると、俺は今にも泣きそうなコハクを優しく抱き起こし、腕の中に抱き寄せた。
そして、頭を撫でながら愛を囁く。俺がどれほどコハクを想っているのか、コハクに知って欲しいからーー
「好きだ、愛してる。それはコハクが『運命』だからではない、コハクがコハクだからだ。仮に『運命』でなかったとしても、必ず好きになっていた。そう確信を持って言える。それ程コハクを愛している。コハクの全てが愛しい。魂も心も俺の全てでコハクを愛している。だからコハクは何も心配することはない。何があっても、俺がコハクを嫌いになることはない。落胆することもない。もし、普通と違うことや想像と違った事があったとしても、どうせ俺のことだ『コハクはそんな所も可愛いなぁ』と喜ぶだけだ」
そう言ってコハクの涙を拭いながら笑えば、コハクも笑い返してくれた。
「わたしもジークお兄ちゃんのことが好き、大好き。自分より他人を優先する優しい所とか、いつも周りを気にかけてくれてる所とか強くてカッコいい所とか、困った時は助けてくれる所とか頑張ったら褒めてくれる所とかいっぱい、いっぱい好き!大好き!」
コハクに「大好き!」と抱き付かれ気付くーー今の俺達の、というか主にコハクの状況に!
みぞおち辺りにむにゅっと生暖かいものが押し当てられる感覚がっ、その柔らかく滑らかな感覚の中に二点だけ、周りより少し硬いものがっ!!
「こ、コハク⁈ま、待てっ、今はっ」
「嫌!ちゃんと最後まで聞いて!」
そして更に抱擁を強められーー
うゔっ⁈ま、まずい。今はそんな雰囲気ではないのに、余計な所に熱がっ!
「わ、分かった、分かったから一旦っ」
離れて……いや、待て、今離れたらコハクが気付いてしまう。自分の胸が丸見えな事に、それを自分から俺に押し付けている今の状況に!そ、そうなったら初心なコハクのことだ恥ずかしさの余り、またこの間の様な事にーーあり得る!大いにあり得る!
「いや、良い聞かせてくれ」
俺がそう言って頭を撫でると、コハクは目を輝かせ、嬉しそうに俺への想いを語り始めた。
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