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あの頃へは戻れない※
しおりを挟む「ひゃ!……やっぱりこの格好なの?」
クシェル様と場所を入れ替わったジークお兄ちゃんは服を脱ぎ、わたしをうつ伏せにすると腰を持ち上げた。
「嫌か?」
「そういうわけじゃないけど……」
ジークお兄ちゃんは背中と項が見えるこの体勢が好きなんだろうけど、正直わたしはあまりこの体勢が好きじゃない。
だってこの体勢だとジークお兄ちゃんの顔が見えにくいし、縋れるものが目の前のシーツくらいしかなくて不安になるんだもん。
「大丈夫だ。ちゃんと俺だと分かるようにする。だから安心してくれ」
シーツを握る仕草からわたしの不安に気付いたのか、ジークお兄ちゃんはわたしの拳を大きな手で覆い、優しく声をかけてくれた。
「ジーク、お兄ちゃん……」
その手の温もりと穏やかな声、そして何より振り向いて見えたジークお兄ちゃんの優しい笑みに自然と不安が解け、身体の強張りも解けていく。
「……いいか?」
頷きを返すと、腰を両手で掴み直され、入り口に太くて硬いアレの先が押し当てられた。そして、そのままソレが中へ進もうとしてきた。のだがーー
「っあ!……んぁっ、ああ゛⁈」
「んっ!コハク大丈夫だ。決して傷付けない。大丈夫だから、力を抜いてくれ」
「む、無理っ、無理だよー!」
先程とは明らかに違う質量と圧迫感にわたしは完全に怖気付いてしまった。
「っ……お願いだコハク、頼む」
そんな泣きそうな、苦しそうな声で囁かれても無理だ!だってさっきの、クシェル様のモノでもギリギリだったんだよ?息が詰まる程苦しかったんだよ?なのにそれよりも明らかに大きいモノを受け入れるなんて、絶対死ぬ程苦しいに決まってる!
「無理!ち、力……抜けない。勝手に入っちゃうんだもん」
ジークお兄ちゃんのを受け入れたい気持ちはある。そのためには力を抜かないといけないことも分かってる。でも、それと同時にこの後の苦しみが容易に想像できてしまうから、それに恐怖しどうしても身構えてしまう。
「……無理って、そういう?」
「っあ!う、嘘!無理じゃない!が、頑張る、頑張るから」
だから呆れないで、見捨てないで!離れていかないで!
「大丈夫、落ち着いてコハク。俺は怒ってない。大丈夫だから、な?」
そう言いながら、わたしの目の前に片肘をつくと、もう片方の手で頭を撫で、振り向いたわたしの頬にキスをしてくれるジークお兄ちゃん。
「うぅぅ、ジークお兄ちゃぁん」
そのジークお兄ちゃんの優しさに不安と焦りが和らぎ、安堵の涙が流れた。
その後ジークお兄ちゃんはわたしが再び不安にならないように、何度も名前を呼び、優しい言葉をかけ励ましながら、ゆっくり、ゆっくりと腰を進めてくれた。
「ほら、コハクゆっくり息を吐いて……そう上手だ。いい子」
「ん、はぁ……はぁっ、ジークお兄ぃちゃっ!」
ジークお兄ちゃんに言われた通り息を吐いて、出来るだけその苦しさを紛らわすために、他のことに意識を向ける。
ジークお兄ちゃんの声や腰を支えるジークお兄ちゃんの手の温もり、それからーー
「んぅゔっ⁈」
な、何か太ももに生暖かいモノが!
それは、ジークお兄ちゃんのアレが奥に進むに従って、次々と中から溢れ出てきて太腿やお腹の上を伝い落ち、シーツを濡らしていく。その何とも言えない感覚に意図せずまた身体に力が入ってしまう。
「っ!す、すまない!痛かったか⁈」
この生暖かくて、トロみのある液体には心当たりがあった。しかも、中から溢れてきているという事はつまりこれはーー
「っく、クシェル様のがぁっああ゛⁈」
中から溢れ出てくるモノの正体に気付いたその瞬間、道の半分にも達していなかったソレが一気に奥まで入ってきた。
その衝撃とあまりの苦しさに目を白黒させているとーー
「今コハクを愛しているのは俺だろぅ?」
耳元から、苛立ちを含んだ低く冷たいジークお兄ちゃんの声が聞こえてきた。
それでようやくジークお兄ちゃんを怒らせてしまったんだと理解する。
「っご、ごめんなさぃっ⁈」
しかし、謝ることも許されず、更に奥をグリグリと刺激されーー
「コハクは今、誰のを受け入れてるんだ?」
「じ、ジークおにぃちゃん!」
中のモノの存在を思い知らされる。
「そう、今ここに居るのは俺だ。他の誰でもない。コハクは今俺だけの番だ。なぁそうだろう?」
そして、ゆっくりとした抜き差しが始まり、ますますソレを意識させられる。
「なぁ言って、聞かせて、コハクは誰の番?」
「じ、ジークっ、んぁっ、ジークお兄ちゃんのぉっ!」
「うん、俺の?俺の、何?」
「んぁ、あぁ……つ、つがぃ。コハクは、ジークおにぃ、ぁんのちゅがいぃ」
あ、噛んだ。
ゆっくりとした一定のリズムで抜き差しされて、苦しさにも慣れ、気づけばジークお兄ちゃんの声もいつものような優しく穏やかなものに戻ってて、それで気が抜けたのか一番大事なところで噛んでしまった!
「っあ!ごめっ、ちが、つがぃっ!!」
慌てて言い直そうとするが、それも叶わず中のモノをギリギリまで抜かれて、最奥を思いっきり突かれた。その衝撃で一瞬呼吸が止まる。
お、怒られた?間違ったから怒られた⁈せっかく許してもらえたのに!
「なぁ?わざとか?さっきから何度も俺を煽ってきて……それ、わざとやってるのか?」
「あ、煽ってなっ!」
顎を掴まれ、目を合わされる。
「最初は無理とか言って俺を不安にさせて、かと思ったら今度は可愛く縋って俺を喜ばせて、なのに次の瞬間には切なげに俺以外の奴の名前を呼んで俺を怒らせて」
「んぃっ!ご、ごめんなさっ!」
そして、クシェル様には聞こえない小さな声で低く囁かれ、最後の方は痛みを感じるほど顎を掴む手に力が込められた。
痛みにではなく、ジークお兄ちゃんのその行動そのものに震え、謝罪の声が裏返る。
「で、今度は甘ったるい声で可愛く舌っ足らずに俺の番だって言ってくれるし……はぁコハクは俺をどうしたいんだ?」
「し、知らなっ、わ、わざとじゃ」
「あぁ、分かってる。コハクは駆け引きなんてしない、素でそれなんだもんなぁ。本当に……コハクは上手だよなぁ。俺の理性を壊すのが」
あ、これは不味い。この笑みはダメなやつだ!笑ってるけど笑ってない。ジークお兄ちゃんがわたしを追い詰めて、ダメにする時の目だ!
その笑みを合図に、止まっていた中の動きがゆっくりと再開される。しかしその動きは今までのような単純なものではなく、強弱を付けた、まるでわたしの反応を探るような動きだった。
「んぅ、あ、ひんっ!っあ、それっ、やぁ!」
入り口近くの気持ち良いところを押すように擦られて、奥を軽く揺すられるとゾクゾクとしたあの感覚が襲って来た。
ジークお兄ちゃんはすぐにわたしが気持ち良くなる動きを見つけ出すと、その動きを繰り返し、容赦なくわたしを追い詰めていく。
「あっ、あぅん、ダメぇ。ああっ、もぅやらっ!やらぁあ゛!」
「コハク?」
あ、怒ってる。否定する言葉言ったから怒ってる!
「ら、らって、おかしぃっ!さっきからおかしぃ!」
ずっと穏やかで一定の動きだからか、苦しさや違和感は無くただただ気持ち良くて、もう何度もイかされてる。でも今回のは何かいつもと違う。
いつもだったらイけば、頭の中いっぱいの気持ち良いが勢いよく弾けてーー真っ白になれる。でも今回は何故か、何度イっても完全には弾けてくれなくて、ずっと終わりの見えない微睡に囚われ続けている。
こんなのこれ以上続けられたらーー
「戻れっ、なく、なるぅ!」
わたしは二人によって、自分の身体を変えられてしまった。その自覚がある。もう、何も知らなかったあの頃へは戻れない。それを強く思い知らされる。
別にそれが嫌なわけではない。でもやっぱり、今まで自分が自分だと思っていたものが崩れていく瞬間は怖く、何度経験しても慣れるものではない。
「戻る?どこに?」
「っい゛!!」
ジークお兄ちゃんの無機質な声が聞こえたかと思ったら、掴まれている腰に痛みが走った。
またジークお兄ちゃんを怒らせてしまったことに気付いたわたしは、謝ろうと慌ててジークお兄ちゃんの方を振り向いた。しかし目の前にあったのはーー
「コハクには俺、達が居るだろう?」
怒るどころか、ニッコリと微笑むジークお兄ちゃんの姿だった。しかし、腰の痛みのせいだろうか、その笑みを何処か不気味に感じてしまう。
「……ジーク、お兄ちゃん?」
「大丈夫。俺はコハクがどんなになろうと離れたりしない、裏切らない。おかしくなっても嫌いになんかならない、ずっと好きでいる。愛してる!だから安心して……堕ちて来いっ!」
「んぁ⁈ああ゛っ!!」
ギリギリまで引かれたかと思ったら今度は、苦しみを通り越して痛みを覚えるほど強く奥を一気に突かれた。
それを合図に、今度は先程までとは打って変わって、まるでジークお兄ちゃんの想いをぶつけるかのように急に荒々しく抜き差しを繰り返される。
「ゔっ、あ、ぁあっ!ま、待って!ジークっ、おにぃっ、あ゛!」
苦しい。短時間で中を緩んでは圧迫されてを繰り返されて、ズコズコと何度も奥を突かれて、泣くほど苦しい。でも、それと同時に入り口近くの気持ち良い所も押し擦られてーー
苦しいのに、息も満足に出来ないほど苦しいはずなのに、気持ち良い。気持ち良いのに苦しくて?苦しいのが気持ち良くて?分からない。こんなの初めてで分かんない!
こんな自ら腰を突き上げるような恥ずかしい格好させられて、縋れるものもなくて、苦しくて怖くて堪らないはずなのにそれと同じくらい、いやそれ以上に気持ち良いと感じてしまう。
「ほら、分かるか?ここがコハクの大事な、赤ちゃんの部屋、コハクがいつも切なくさせているとこだ」
中から奥を押され、外からも臍の下を指の腹でグッと押されて、無理矢理その部屋を分からせられる。
「あ、あんんっ!!」
「ここを満たして良いのは、コハクを満たしてやれるのは俺だけだ!なぁコハク?」
もう頭の中苦しいのや気持ち良いのでグチャグチャで、ジークお兄ちゃんが何を言っているのか半分以上わからない。
ただ分かるのは、ジークお兄ちゃんがわたしを求めてくれているということ。わたしを見て名前を呼んで「愛してる」と態度で伝えて来てくれているということ。
その事実がわたしに幸せをくれる。
ジークお兄ちゃんからの愛で頭の中がいっぱいになって、幸せでいっぱいになって満たされる。
嗚呼わたしはずっとこれが欲しかったんだ。偽りのないわたし自身に向けられる愛がずっと欲しかった。疑念も不安も感じる隙がないほど強く愛して欲しかった。
わたしのその欲を満たせるのはジークお兄ちゃん達だけ。わたしを身も心も満たせるのは、幸せに出来るのはジークお兄ちゃんとクシェル様の愛だけ!
それを改めて自覚すると、身体が喜びに震え、それに伴い中にあるジークお兄ちゃんのアレを離さないとでも言うように強く締め付けてしまう。
「っ!……コハクぅ?欲しいものがある時はちゃんと声に出してお願いしないと、だろ?」
すると、動きを止められてーー再び顎を掴まれ、微笑まれる。
「大丈夫、コハクのお願いは全て俺が叶えてやる。だから……もっと俺を頼って、甘えて、欲しがれ」
「ぅんっ!」
熱い。ジークお兄ちゃんが触れているところだけでなく、ジークお兄ちゃんがわたしに向けるその切なく細められた瞳も普段より低く少し掠れた声も全てが熱い。その熱に心奪われ胸が締め付けられる。
「ぁ……ほ、欲しい」
それがもっと欲しい。その熱が、ジークお兄ちゃんから向けられる熱が、欲が、愛がもっと欲しい!
「ちょうだい、もっと、ジークお兄ちゃんの愛で、いっぱいにして。お願い。ジークお兄ちゃんの愛で満たされたい!」
他の事なんて考えられなくなるほど、身も心も全部ジークお兄ちゃんから与えられる愛でいっぱいにして欲しい。満たして欲しい。溺れるほどの愛を注いで欲しい。
「っ!……相変わらずクソ可愛い表現しやがって!」
「んぁああー!!」
ジークお兄ちゃんに眉を深く寄せて睨まれ、苛立ったように荒い言葉を吐かれ、痛みを覚えるほど強く腰を握られ、急に激しく揺すられる。
一見、怒りをぶつけられているように思えるそれらの言動。しかしわたしは知ってる。これはジークお兄ちゃんの余裕がない証拠だと。
ジークお兄ちゃんは本能的になると、獣人の血がそうさせるのか言動が少し荒々しくなる。そう、つまり今のこれもジークお兄ちゃんの愛なのだ。
「嗚呼可愛いっ、コハクが、俺の番が!俺のを必死に締め付けてっ、泣いて、欲しがって……はぁ、最高に可愛い!」
ほら、ね?
だから、多少の苦しみも痛みも耐えられる。ううん、それらすらも、幸せに感じられる。だって、今わたしに与えられている全てがジークお兄ちゃんからの愛なんだから!
「コハク、噛みたい。なぁ?良いだろ?もう我慢出来ない!なぁ?なろう?一つに、俺と番になろう?なぁ、コハクぅ、コハクぅ」
腰を掴まれ、激しく揺すられながら、今まで聞いたことのないような甘えた声で名前を呼ばれ、項を何度も舐められ、吸われる。
「なぁ、言って、お願いっ!良いよって、噛んで良いって言ってくれ!頼むっ、本当にもう我慢出来ないんだ!」
カプカプと何度も歯を当てられ、ようやくいつも以上に働きが悪くなった頭に、ジークお兄ちゃんが何を望んでいるのかが伝わる。
「んぃっ、いぃよ!あっ、ああっ、いい!噛んでっ、あんっ!あ、噛んでいい゛っーー!!」
首に突然訪れる強烈な痛みに、一瞬で頭の中の感情が全て霧散して、痛みに支配される。更に追い討ちをかけるように、最奥にアレの先を強く押し付けられて、勢いよく熱い液体を放たれた。
その痛みと苦しみに一瞬頭がパニックを起こし、ジークお兄ちゃんに嫌われたと勘違いし、絶望しそうになるがーー
「コハクありがとう。俺の我儘を聞いてくれて……俺と番ってくれてありがとう。愛してる」
すぐに、ジークお兄ちゃんの喜びに震える声が聞こえて来て、痛みの残る項を労わるように優しく舐めてくれて、『愛してる』って言ってもらえてーー
「ふへ、うれしいぃ」
痛みを忘れるくらいの多幸感で心が満たされた。
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