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《裏技》マスター、海水浴をする
欲しい物を聞かれた時って意外と欲しい物無いよね
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「蛇さん倒せたー!」
うん、ほんと出番なかったわ俺ら。
『ありがとうございます!』
「お、お礼はレカに……」
『レカさん! 本当にありがとうございます!』
「うむ、苦しゅーない」
「お前それ意味分かって使ってるか……?」
というか少し失礼だし……。
「取り敢えず、これで海の平和は保たれた……っていう風に思えば良いか?」
『ええ、この度は本当に助かりました!』
「だからそれはレカに……まあ良い。ルリカ」
「ん? 何イイジマ?」
「ギルドにクエストをクリアした事を伝えないと」
「あ、そうね。すっかり忘れてたわ」
「なんかシーサーペントの討伐がメインみたいになっちゃったよな」
んじゃ、戻るとするか。
『あ、待って下さい!』
クラーケンが俺らを呼び止める。
「何だ? シーサーペントはもう討伐したろ?」
『皆さんにお礼をさせて下さい!』
お礼……か……。
「お礼って言っても、何をくれるんだ? クラーケンが金とかそういうの持ってるイメージないんだが」
『いえいえ、私らクラーケンは様々な物を持っていますよ。
ではこうしましょう。今貴方方が望んでいる物に一番近い物を貴方に差し上げます。
仮に貴方方の望んでいる効果そのものの道具がありましたらそちらを差し上げます。
如何でしょう?』
え、普通に良いじゃん。
「分かった。じゃあ……」
……俺が今一番望んでいる物、何だろう。
あれ、よくよく考えてみると案外無いぞ?
自分が欲しい物……元の世界に帰れるアイテム……は要らないし……凄い強い装備……はもう持ってるし……強いスキル……は将来的に普通に取れるし……。
うん、無いな。
「……クラーケン、すまん」
『な、何です?』
「俺は無いわ」
『……え!? 欲しい物が無い人族何ているんですか!?』
「ところがどっこい居るんだなぁー」
『ほ、他の方は……?』
あ、現実逃避に近い事したなこいつ。
「私は……うーん……普通に強い装備でも……」
『強い装備ですね! 獣人族用のが確かあります! どんな物が良いですか!?』
なんか、凄い必死だなぁ……。
「身軽だけど……丈夫で……防御力が高いやつ……」
『分かりました!』
するとクラーケンはどこからか先程ニルが言っていた様な服を、触手の先端にある吸盤に貼り付けて渡してきた。
『こちらです!』
「どこから……出したの……?」
『知らぬが仏というやつです』
「あっ……はい……」
ニル! 俺が後で洗濯でもしといてやるからな!
『それでは、他の皆様は……?』
「私はー! おやつー!」
こういうところは本当に子供っぽいんだけどなぁー。
『おやつ……ですか…………イカの足ってお好きですか?』
「?」
「いや待て待て待て待て! やめてくれ! そこまでせんで良い!」
『そう……ですか……』
絶対今こいつ自分の足を引きちぎるつもりだったろ。
「レカ、別の願い事にしてやってくれ」
「分かった~」
レカはうーんと考え込んだ。
『では、貴方はどうですか?』
「わっ、私もー、今のところないかなぁー」
「へぇ、意外だったな。お前なら金だの何だの言いそうだと思ってた」
「私の事なんだと思ってるのよ!」
「冗談だ冗談」
そう話しているとレカが顔を上げた。
どうやら欲しい物が決まった様だ。
「……イカさんの足ー!」
「やめろぉー!」
結局、貰ったのはニルの装備だけだった。
少し勿体無い気がしなくもないが、まあ、少し厚かましいが欲しい物が出来た時に言えば良いだろう。
そして俺らは人魚族の国の冒険者ギルドに戻って来ていた。
「こ、こちら、報酬の5000Gでございます」
「どうもありがとう」
さてと、じゃあこの後何をするかな。
やっぱ、裏技に似た力を持った奴の聞き込みかなぁー。
人魚族にいるかどうか分からないけど、いたらマジで知っておきたいな。
んじゃ、早速向かうか。
一旦宿に戻り、俺は街をぶらぶらしつつ聞く事にした。
ただ……裏技の事をどう表現しよう!?
そのまま伝えるなんてのはダメだ。
ただの頭のおかしい奴だと思われてしまう。
そう考えていると他の人と肩がぶつかった。
「あぁ、すみません」
「いえいえ、こちらこそ」
謝ってそそくさと立ち去る。
「……」
なので、ぶつかった相手が俺をずっと見ていたのには気づかなかった。
うん、ほんと出番なかったわ俺ら。
『ありがとうございます!』
「お、お礼はレカに……」
『レカさん! 本当にありがとうございます!』
「うむ、苦しゅーない」
「お前それ意味分かって使ってるか……?」
というか少し失礼だし……。
「取り敢えず、これで海の平和は保たれた……っていう風に思えば良いか?」
『ええ、この度は本当に助かりました!』
「だからそれはレカに……まあ良い。ルリカ」
「ん? 何イイジマ?」
「ギルドにクエストをクリアした事を伝えないと」
「あ、そうね。すっかり忘れてたわ」
「なんかシーサーペントの討伐がメインみたいになっちゃったよな」
んじゃ、戻るとするか。
『あ、待って下さい!』
クラーケンが俺らを呼び止める。
「何だ? シーサーペントはもう討伐したろ?」
『皆さんにお礼をさせて下さい!』
お礼……か……。
「お礼って言っても、何をくれるんだ? クラーケンが金とかそういうの持ってるイメージないんだが」
『いえいえ、私らクラーケンは様々な物を持っていますよ。
ではこうしましょう。今貴方方が望んでいる物に一番近い物を貴方に差し上げます。
仮に貴方方の望んでいる効果そのものの道具がありましたらそちらを差し上げます。
如何でしょう?』
え、普通に良いじゃん。
「分かった。じゃあ……」
……俺が今一番望んでいる物、何だろう。
あれ、よくよく考えてみると案外無いぞ?
自分が欲しい物……元の世界に帰れるアイテム……は要らないし……凄い強い装備……はもう持ってるし……強いスキル……は将来的に普通に取れるし……。
うん、無いな。
「……クラーケン、すまん」
『な、何です?』
「俺は無いわ」
『……え!? 欲しい物が無い人族何ているんですか!?』
「ところがどっこい居るんだなぁー」
『ほ、他の方は……?』
あ、現実逃避に近い事したなこいつ。
「私は……うーん……普通に強い装備でも……」
『強い装備ですね! 獣人族用のが確かあります! どんな物が良いですか!?』
なんか、凄い必死だなぁ……。
「身軽だけど……丈夫で……防御力が高いやつ……」
『分かりました!』
するとクラーケンはどこからか先程ニルが言っていた様な服を、触手の先端にある吸盤に貼り付けて渡してきた。
『こちらです!』
「どこから……出したの……?」
『知らぬが仏というやつです』
「あっ……はい……」
ニル! 俺が後で洗濯でもしといてやるからな!
『それでは、他の皆様は……?』
「私はー! おやつー!」
こういうところは本当に子供っぽいんだけどなぁー。
『おやつ……ですか…………イカの足ってお好きですか?』
「?」
「いや待て待て待て待て! やめてくれ! そこまでせんで良い!」
『そう……ですか……』
絶対今こいつ自分の足を引きちぎるつもりだったろ。
「レカ、別の願い事にしてやってくれ」
「分かった~」
レカはうーんと考え込んだ。
『では、貴方はどうですか?』
「わっ、私もー、今のところないかなぁー」
「へぇ、意外だったな。お前なら金だの何だの言いそうだと思ってた」
「私の事なんだと思ってるのよ!」
「冗談だ冗談」
そう話しているとレカが顔を上げた。
どうやら欲しい物が決まった様だ。
「……イカさんの足ー!」
「やめろぉー!」
結局、貰ったのはニルの装備だけだった。
少し勿体無い気がしなくもないが、まあ、少し厚かましいが欲しい物が出来た時に言えば良いだろう。
そして俺らは人魚族の国の冒険者ギルドに戻って来ていた。
「こ、こちら、報酬の5000Gでございます」
「どうもありがとう」
さてと、じゃあこの後何をするかな。
やっぱ、裏技に似た力を持った奴の聞き込みかなぁー。
人魚族にいるかどうか分からないけど、いたらマジで知っておきたいな。
んじゃ、早速向かうか。
一旦宿に戻り、俺は街をぶらぶらしつつ聞く事にした。
ただ……裏技の事をどう表現しよう!?
そのまま伝えるなんてのはダメだ。
ただの頭のおかしい奴だと思われてしまう。
そう考えていると他の人と肩がぶつかった。
「あぁ、すみません」
「いえいえ、こちらこそ」
謝ってそそくさと立ち去る。
「……」
なので、ぶつかった相手が俺をずっと見ていたのには気づかなかった。
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