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《裏技》マスター、忍者の里へ行く

残党狩り

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「あの時のこの動き良かったぞぉー」

「あんたのあの時の動きも良かった」

「ははは! お世辞が上手いのぉ!」

 俺らは会議室にて先程の手合わせについて話していた。

「ん゛っんー」

 イネが咳払いをした。

「何じゃイネ? 何か用か?」

「用がありまくりです! 先程まで我々はアルカニット教会に攻められていたんですよ!? まだ残党がいるかもしれないという状況で、呑気に会話をしている場合では無いと思います!」

「じゃがのぉう……残党狩りは影蘭に任せてあるじゃろ?
彼女なら絶対にやってくれると思うんじゃ……」

「言い訳しないで下さい」

「う、うむ……」

 イネさん、めちゃ強い。

「イイジマ達も行くぞ」

「え、俺らも?」

「そうだ。影蘭と協力して残党を発見しまくってくれ」

「はぁ~、手合わせした後で疲れてるんだがなぁ……」

「これも修行の一環だ。ほら行った行った」

 俺らは背中を押されて会議室から出された。

 その後

「ほら! 百取様も行きますよ!」

「年寄りをもう少し労わってくれんかのぉう……?」

「お年を召していてもそこら辺の若者の数十倍は動けるでしょう」

「とほほ……」

 という会話が聞こえて来た。

「それじゃ、まずは影蘭と合流するか」

「そうしたいけれど……どこにいるのかしら?」

「私……匂い覚えてるから……居場所分かる……」

「おぉ! ナイス!」

 クンクンと辺りを嗅ぐ仕草をした後、「こっち」と言って歩き出したので、付いて行った。

 約10分ほど歩いた頃。

「ふっ!」

「よっ」

 背後からいきなり斬られかけたので、前にジャンプして空中でクルッと回って着地した。

「貴様、これを避けるとは中々……あ、あれ?」

 持っていた刀をさやに入れる。

「君たちは、先程の会議にいた……」

「俺はイイジマ。彼女達がルリカとニルで、この子がレカだ」

「よろしくー!」

「こ、こちらこそ宜しくな。あっ! そ、そして申し訳ない! 残党だと思っていきなり斬りかかってしまって!」

「いいさ、こんな状況だ。多少は冷静さを失うのも分かる」

「か、感謝するよイイジマ殿……!」

「だが、次からはもう少し相手をちゃんと見ような」

「う、うむ! 本当にすまなかった!」

「で、俺らはお前に用があって来たんだ」

「何だ?」

「残党狩り、手伝わせてくれ」

「よ、良いのか?」

「ああ、まずイネからそう言われてしまってるからなぁ」

「なるほど、イネが」

「で、手伝わせて貰っても良いか?」

「もちろんだとも」

「よし、じゃあまず探していない方向はどっちだ?」

「南西の方角だな」

「……え、それだけか?」

「ああ」

「それ以外は全部?」

「まあ、他の上忍達にも助けて貰ってはいるがな……」

 いや凄いな。

 この村の周りの竹藪は中々に広いから、探す範囲も相当だろうに。

「それじゃ、付いてきてくれ」

 そう言って影蘭は無音で走った。

「なるほど、【足音消去】の魔法陣か……」

 そう感心しつつ、俺らも走った。

「待っ、待ってイイジマ~!」

「レベル上がったんだから、もう【神速】発動出来るだろ」

「あ、確かに」

 いやー、遂にルリカも【神速】を発動出来る様になったか。

 何だか感慨深いものがある。

 MPを∞にする為に足に岩を投げつけたのは今では良い思い出だ。

 影蘭の後を追い、木の上に登ったので俺らも木の上に登る。

「いたのか?」

「ああ」

「今度は、本当だろうな」

「も、勿論だとも!」

「どうだかねぇー」

「うぅ……やはりまだ恨んでいるのか?」

「いや、ちょっとからかっただけだ」

「やめてくれ!」

「悪かった悪かった」

 そう言いつつ俺も影蘭が見ている人を見てみる。

 ……うん。イネを襲っていた信徒だな。

「合ってるな」

「だろ! だろ! やはり合っていたな!」

「上忍はそれが普通じゃないのか……」

「ほ、ほらさっさと捕まえるぞ!」

 俺らは枝を蹴って信徒達の上に覆い被さった。

「こら、暴れるな」

 声を変えた影蘭が素早く縄で手足を縛り、舌を噛まない様に口にも縄をやる。

 俺が取り押さえていた奴もやってくれた。

「では、連れて帰るとしようか」

「暴れるから何だかんだで持ち運びにくそうなんだが……」

「なぁに、こうすれば良いのだ」

 影蘭は自分の〝影〟に信徒を一人入れた。

「!?」

 俺の手に持っていた信徒もポイッと入れられた。

「し、信徒は……どうなったんだ?」

「安心しろ、生きている。私の能力の一つでな、自身の影に様々なものを収納出来るのだ。例え生きていても入れられるから、こういう時には非常に有用なのだ」

 へぇー、そんなスキルがあったのか。知らなかった。

「では今度こそ帰ろう」

「ああ」

 そして俺らは【神速】を使って走った。


 ……よし! ルリカも走れてるな。

――――――――――――――――――――
【お知らせ】

 この小説の第二話目である『とりま裏技でレベル99に』のタイトルを『とりま裏技を使ってレベル99に』に変更し、後半の内容を書き換えました。

 気になる方はぜひお読み下さい。
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