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《裏技》マスター、忍者の里へ行く
百取の見極め
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「ここじゃ」
百取に連れて来られたのは、少し開けた竹藪の中だった。
「こ、ここ?」
「そうじゃ、この様な凸凹した地面と柔めな遮蔽物がある場所が、最も手合わせに良い場所じゃ」
そう言って百取は腰から取り出した覆面を被った。
「さてと、儂もちょっと今日は本気で行くからのぉう……お主も頑張ってくれや」
「は……ははは……」
死ぬ未来しか見えねぇ。
「ではルールを説明します。殺傷は禁止」
あっ、死ぬ未来消えたわ。
「武器、魔法、スキル、または何らかの道具や技の使用はオーケー、怪我は【超回復】で治せる範囲までです。」
おいそれほぼほぼ瀕死にさせられるって事だろ。
「勝敗は、どちらかが逆転不可能の状態にした場合にのみ終了します。それでは、私が石真上に投げるのでその石が落ちたら始めて下さい」
そう言ってイネが近くに落ちてあった手のひらサイズの石を手に取って、上に投げた。
そして、『ボトン』と落ちた。
「【し――」
「ふっ!」
いきなり目の前に現れた百取がクナイで俺の喉を斬ろうとして来た。
「んそ――」
避けて【神速】と言おうとしたが
「!」
百取はもう背後にいた。
「そいやっ!」
そして背中を蹴られて吹っ飛ぶ。
「くぅぅぅぅ】!」
ギリギリ言えた!
素早さが上がったのが分かる。
「ほほう……【神速】が使えるか……ならば儂も、【神そ――」
すぐに俺は銃を発砲した。
「!」
百取はすぐさまそれを回避し、「く】」と言って【神速】を発動させた。
不味い……非常に不味い……。
【神速】はその発動者に合わせてスピードを上げる。
つまり、ここまで上げるよ。という確定数型ではなく、これくらいならここまで上がるよという不確定数%型だ。
なので、元から俺より脚が速い百取は……。
今の俺の速度を圧倒的に凌駕する。
「ははは!」
真横に来ていた百取がクナイで首を斬ろうとした――と見せかけるフェイントをし、脇腹に斬りかかった。
「ほっ!」
その手を俺は反射神経で上から押す事によって回避し、魔法陣紙を取り出した。
【麻痺付与】を描く為だ。
「そうはさせないわい」
百取の手から手裏剣が投げられ、魔法陣紙が破れた。
「くそ!」
だが、俺は左手と右手で描くことにした。
左手は腰辺りで、右手は腹辺りで描く。
「ははは、器用じゃのぉう」
投げられた手裏剣を避け、もう少しで描き終わるというところで
「ほれ、もっぺんやってみ」
片方同時に破られた。
「!?」
な、どういう事だ!?
その時、後頭部が薄く斬られた。
「痛っ」
一体何が俺の後頭部を……!?
百取の方を見ると、手に向かって手裏剣が戻っていった。
なるほど! 手裏剣に糸が巻き付けてあって、それを投げて戻したりする事で再利用&攻撃をやったのか!
流石百取だ……。
インワドで彼に勝てた人数はたったの5人だったのも頷ける。
もちろん俺はその一人だ。
まあ、裏技を使いまくったんだが。
逆に裏技を使わずにどう攻略するんだこの人。
「さてさて、これからどうするのかのぉう?」
「……」
現在位置は……よし、把握出来た。
裏技は……ある。
行ける……かもしれない……。
「はっ!」
俺は駆け出して、銃を撃ちまくる。
「くっ、小癪な……!」
流石に全部避けるのは無理だった様で、掴んで止めたり、手の甲で軌道を逸らしたりしていた。
よし。
立てた。
裏技を発動する場所に。
百取が凄い速度で迫って来ているのが空気の流れで分かったので、急いで発動する。
ピョンと飛び、片手だけで立つ。
これだけだ。
超お手軽な裏技なんだよなぁーこれ。
「さて、行くぜ」
「!?」
周りの空気が変わった、というより、俺の空気が変わったのを察して百取が距離を取る。
「……」
どうやら、様子を伺っている様だ。
「ふっ!」
脚に力を入れて走った。
「っ!?」
百取が驚いた表情をする。
仕方ないだろう、何せ、いきなり先程の〝3倍〟の速度で走って来られたら誰でも驚くだろう。
俺はそのまま3倍の速度でパンチを繰り出した。
「がはぁっ!」
ゆらゆらっとゆらめいた百取を押し倒し、馬乗りになり、額に手を突き出した。
「【麻痺付与】」
「ぬあっ!」
そして額に今度は銃を突きつける。
「イネ、これは、俺の勝ちじゃないか?」
「そうだな、お前勝ちだな」
そう言ってイネは右手を挙げた。
「勝者、イイジマ!」
そう言われたので、【麻痺付与】を解く。
「ははは、やられてしまったのぉう……儂も歳かのぉ……」
「百取さん、あんた手加減してただろ」
「はて? 何の事じゃろうか?」
最初に俺の後ろに行った時、蹴るんじゃなくてクナイを突き刺してそのまま勝つ事が出来たはず……。
まあ、ここは言わないのが良いな。
「そうだな、勘違いだな」
「そうじゃそうじゃ、勘違いじゃ」
そして俺らは握手をした。
「痛でででででで」
途端、強く握り締めて来た。
「ははははは!」
俺らはその後わちゃわちゃしながら村へと帰った。
「……何であんな仲良くなってるんだ……? あの二人……?」
百取に連れて来られたのは、少し開けた竹藪の中だった。
「こ、ここ?」
「そうじゃ、この様な凸凹した地面と柔めな遮蔽物がある場所が、最も手合わせに良い場所じゃ」
そう言って百取は腰から取り出した覆面を被った。
「さてと、儂もちょっと今日は本気で行くからのぉう……お主も頑張ってくれや」
「は……ははは……」
死ぬ未来しか見えねぇ。
「ではルールを説明します。殺傷は禁止」
あっ、死ぬ未来消えたわ。
「武器、魔法、スキル、または何らかの道具や技の使用はオーケー、怪我は【超回復】で治せる範囲までです。」
おいそれほぼほぼ瀕死にさせられるって事だろ。
「勝敗は、どちらかが逆転不可能の状態にした場合にのみ終了します。それでは、私が石真上に投げるのでその石が落ちたら始めて下さい」
そう言ってイネが近くに落ちてあった手のひらサイズの石を手に取って、上に投げた。
そして、『ボトン』と落ちた。
「【し――」
「ふっ!」
いきなり目の前に現れた百取がクナイで俺の喉を斬ろうとして来た。
「んそ――」
避けて【神速】と言おうとしたが
「!」
百取はもう背後にいた。
「そいやっ!」
そして背中を蹴られて吹っ飛ぶ。
「くぅぅぅぅ】!」
ギリギリ言えた!
素早さが上がったのが分かる。
「ほほう……【神速】が使えるか……ならば儂も、【神そ――」
すぐに俺は銃を発砲した。
「!」
百取はすぐさまそれを回避し、「く】」と言って【神速】を発動させた。
不味い……非常に不味い……。
【神速】はその発動者に合わせてスピードを上げる。
つまり、ここまで上げるよ。という確定数型ではなく、これくらいならここまで上がるよという不確定数%型だ。
なので、元から俺より脚が速い百取は……。
今の俺の速度を圧倒的に凌駕する。
「ははは!」
真横に来ていた百取がクナイで首を斬ろうとした――と見せかけるフェイントをし、脇腹に斬りかかった。
「ほっ!」
その手を俺は反射神経で上から押す事によって回避し、魔法陣紙を取り出した。
【麻痺付与】を描く為だ。
「そうはさせないわい」
百取の手から手裏剣が投げられ、魔法陣紙が破れた。
「くそ!」
だが、俺は左手と右手で描くことにした。
左手は腰辺りで、右手は腹辺りで描く。
「ははは、器用じゃのぉう」
投げられた手裏剣を避け、もう少しで描き終わるというところで
「ほれ、もっぺんやってみ」
片方同時に破られた。
「!?」
な、どういう事だ!?
その時、後頭部が薄く斬られた。
「痛っ」
一体何が俺の後頭部を……!?
百取の方を見ると、手に向かって手裏剣が戻っていった。
なるほど! 手裏剣に糸が巻き付けてあって、それを投げて戻したりする事で再利用&攻撃をやったのか!
流石百取だ……。
インワドで彼に勝てた人数はたったの5人だったのも頷ける。
もちろん俺はその一人だ。
まあ、裏技を使いまくったんだが。
逆に裏技を使わずにどう攻略するんだこの人。
「さてさて、これからどうするのかのぉう?」
「……」
現在位置は……よし、把握出来た。
裏技は……ある。
行ける……かもしれない……。
「はっ!」
俺は駆け出して、銃を撃ちまくる。
「くっ、小癪な……!」
流石に全部避けるのは無理だった様で、掴んで止めたり、手の甲で軌道を逸らしたりしていた。
よし。
立てた。
裏技を発動する場所に。
百取が凄い速度で迫って来ているのが空気の流れで分かったので、急いで発動する。
ピョンと飛び、片手だけで立つ。
これだけだ。
超お手軽な裏技なんだよなぁーこれ。
「さて、行くぜ」
「!?」
周りの空気が変わった、というより、俺の空気が変わったのを察して百取が距離を取る。
「……」
どうやら、様子を伺っている様だ。
「ふっ!」
脚に力を入れて走った。
「っ!?」
百取が驚いた表情をする。
仕方ないだろう、何せ、いきなり先程の〝3倍〟の速度で走って来られたら誰でも驚くだろう。
俺はそのまま3倍の速度でパンチを繰り出した。
「がはぁっ!」
ゆらゆらっとゆらめいた百取を押し倒し、馬乗りになり、額に手を突き出した。
「【麻痺付与】」
「ぬあっ!」
そして額に今度は銃を突きつける。
「イネ、これは、俺の勝ちじゃないか?」
「そうだな、お前勝ちだな」
そう言ってイネは右手を挙げた。
「勝者、イイジマ!」
そう言われたので、【麻痺付与】を解く。
「ははは、やられてしまったのぉう……儂も歳かのぉ……」
「百取さん、あんた手加減してただろ」
「はて? 何の事じゃろうか?」
最初に俺の後ろに行った時、蹴るんじゃなくてクナイを突き刺してそのまま勝つ事が出来たはず……。
まあ、ここは言わないのが良いな。
「そうだな、勘違いだな」
「そうじゃそうじゃ、勘違いじゃ」
そして俺らは握手をした。
「痛でででででで」
途端、強く握り締めて来た。
「ははははは!」
俺らはその後わちゃわちゃしながら村へと帰った。
「……何であんな仲良くなってるんだ……? あの二人……?」
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