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《裏技》マスター、忍者の里へ行く

上忍集結

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「そいつらは……恐らく大司教のギガストとファレスチナだな」

 ダンジョンから出た俺はイネに襲って来た奴の特徴を説明した。

「何の大司教だ?」

「火と土だな」

「やっぱそうか」

 使ってたのが火と土だったしな。

「それより、私達の村の存在がバレた可能性が非常に高い。
後で、このダンジョンをどうするか上忍が集まって村の会議室で決めるから、諸君らも来てくれてたまえ」

「わ、分かった」

 上忍が集まるのか……何となく緊張するな……。

「それじゃあ、行くか」

「そうしましょ」

 道中、ダンジョンの奥での戦闘の事について話す。

「へぇー、炎と土で溶岩を撒き散らす……よく思い付いたわよねそれ」

「まあ、ちょちょいと考えたら意外と思い付く魔法だろ」

「そうかしら?」

「だって、溶岩って浴びたら死ぬじゃん?」

「ええ」

「じゃあ溶岩強いじゃん?」

「そうね」

「じゃあ作って相手にやるしかないじゃん」

「いきなり脳筋ね!」

「計画無しの土壇場どたんば戦闘は大体脳筋だ」

 そんな事を話しているうちに、会議室の前に着いた。

「ここだ、入れ」

 イネが扉を開けてくれたので、あまり足音を立てない様にしつつ入る。

「「「「「…………」」」」」

 沢山の忍者達がいた。

 うわ、これ全員上忍か。

 お、知ってる奴もいる。

 一番奥の席に座っているお爺さんはインワドにもいた。

 上忍のリーダー、百取びゃくとり 満蔵まんぞうだ。

 ……何か近い名前を聞いた事がある気がする。

「座りなさい」

 右手を出して促される。

「失礼します」

 そう言って俺らは座った。

「では早速なんじゃが、アルカニット教会が……攻めて来たんじゃってな?」

 百取がイネを見る。

「はい。火の大司教、ギガスト・ヴィグリット及び、土の大司教、ファレスチナ・ビャードとその信徒達が攻めて来ました」

 誰も驚いた素振りをしない。

 だが、内心は物凄い驚いているのだろう。

「なるほど、その者らに我々の村の存在がバレた可能性は?」

「高い……かと……」

「ふぅむ……」

 百取は少し考え込む。

「おい鬼姫きひめ

 百取が隣の席に座った小さな女の子をそう呼ぶ。

 あの子はインワドにはいなかったなぁー。

「イネが見つけたダンジョンを調査してきとくれ」

「りょー、かいっ!」

「かいっ!」と言った瞬間には、もう俺の後ろの扉は開かれていて、席には誰も居なくなっていた。

 は、速ぁ……。

「そして影蘭えいらんよ」

「何でしょうか?」

 目以外の部分を全て黒装束しょうぞく……正確には、濃紺のうこん装束で覆っている女性が返事をした。

「お主には近くに残党がおらぬか調べて来ておくれ」

「いた場合はどうしますか?」

「一番信仰心が強い者を、自害せぬようにして連れて来い」

「はっ」

 彼女の場合は、その場から消えた。

「してお主ら」

 百取は今度は俺らを見た。

「お主らの中で大司教らと戦った者はおるか?」

「俺です」

 少し姿勢を正して言った。

「ふむ、どうじゃった?」

「どう、というのは?」

「戦った感覚じゃよ。圧倒的強者の様に思えたか、はたまたちっぽけな野鼠のねずみの様に思えたか、それだけじゃ」

「例えるならば、中型犬でしたね」

「ははは、中型犬と例えるか。じゃがあの大司教を中型犬と例える実力が、お主には本当にあるのか?」

「現に俺は怪我をしていませんよ。仮に回復魔法で治癒したのだとしても、逆に傷を負っても回復魔法で傷を無かった事に出来るという事ですので、どちらにせよその様な実力はあるも思います」

「ほほぅ……なるほどのぉ……」

 百取は少し笑みを浮かべながら背もたれに寄りかかった。

「イネ」

「はっ」

「この者の名は?」

「イイジマです」

「イイジマよ」

「何でしょう?」

「後で、一試合手合わせせぬか?」

 その言葉が百取から発せられた瞬間、空気が揺れた。

「武器、魔法、スキル、その他諸々何でも使って良しの真剣勝負、どうじゃ?」

 俺がこのお爺さんに勝てる気がしないが……。

「分かりました、後でやりましょう」

「では、これにて会議を終了とする。他の者達は、各自この村の周辺の警戒にあたれ、アルカニット教会の者がおればすぐに影蘭に報告するのじゃ」

「「「「「はっ!」」」」」

 彼らがパッと消えた時、百取が椅子から立ち上がった。

「それでは、儂らは手合わせをする場所に向かうとしよう」

「分かりました」

「言葉を崩してくれて構わんよ」

「分か――った」

「ははは、それで良いそれで良い」

 そして俺らは、百取と手合わせをする為に会議室を出た。
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