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《裏技》マスター、教会と戦う
今まで会って来た人達にもう一度会いに行こう ⑦
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探索をしまくった俺らは、その日はぐっすり寝て、翌日、森人族の森へ向かう事にした。
「そう、行っちゃうのね」
「ああ、まあ元々そんなに長くいる予定はなかったしな」
というか、そろそろ森人族の森に行かないと期限が来てしまう。
「向こうでも元気にやれよイイジマさん」
「ありがとなギーダ」
俺らはそう別れの言葉を告げてからダンジョンを後にした。
「それで、森人族の森まではどうやって行くの?」
「そりゃあ、テレポート裏技を使うぞ。まあ正確には森人族の森の近くまでそれで行くんだが」
前にも言った通り、あそこへ直で行けるテレポート裏技はまだ見つけられていない。
「分かったわ。それで、どの木からテレポート裏技をやるの?」
「えっとな……まずはあれだ」
そう言って俺が指差したのは……
「……切り株?」
「ああ、切り株だ」
「……どうやってこれ体を捩じ込むの?」
「そんなの……地面に体全身をピンってやった状態でスライディングするしかないだろう」
「無理よ!」
えぇ……。
「無理か?」
「絶対無理よ!」
何かそこまで言われると逆に出来る様な気がしてくる。
因みに、この切り株の高さは大体60cm幅は70cmほどのまあまあデカい切り株だ。
「分かった、手本を見してやる」
そう言って俺は少し離れて寝っ転がり、右、左、左、右にゴロゴロした後
「ふっ!」
腕力だけで自身の体を切り株の方向へ飛ばす。
そしてすぐに手をピシッと腰につけ、脚もピンと伸ばして切り株にぶつかる。
『ドプン』
切り株の皮が水の様に蠢くと、俺の体は切り株に吸い込まれていった。
「えぇ!?」
全部吸い込まれる前に、ルリカからそんな声が聞こえた。
「よっと」
森人族の森の近くにある木から飛び出て、スタッと着地する。
「ん~っ」
久しぶりにやったから腕が疲れた。
「さてと……あいつらは来れるかなー?」
結構心配だ。
絶対今頃ルリカが「あでっ」と切り株にぶつかっている頃合いだろう。
「あでっ」
「大丈夫……ルリカ……?」
「だ、大丈夫よ……」
……来ない。
「マズイか? もしかして」
約十分待ったが、未だに一人も来ない。
「あの裏技難しすぎたか……?」
そう言って俺は切り株を覗き込む。
『ムニョ』
「ん?」
直後、切り株から足が出て来て
「へぶぅっ!?」
俺に顔面に直撃した。
「痛っつつつつ……何だ?」
鼻を擦りながら起き上がって切り株の方を見る。
「い……行けたぁー!」
そこには両手をバンザイしているルリカがいた。
「ルリカ! 行けたのか!」
【超回復】で傷を治してルリカの元へ向かう。
「イイジマ! ええちゃんと来れたわよ!」
そう言ってサムズアップをした彼女は
「へぶぅっ!?」
俺と似た様な状況になった。
「あ……ごめんルリカ……」
そう、切り株から出て来たニル達に吹っ飛ばされたのだ。
すぐに【超回復】をしてやり、起き上がらせる。
「ありがとイイジマ」
「どういたしまして。さてと、それじゃあ森人族の森へ向かうか」
「そうしましょ!」
「うん……!」
「あれ、そういやレカは?」
「ここ……」
そう言うと、ニルは背中を指差した。
「ん?」
なんか、背中がめっちゃ膨らんでいた。
この中にレカがいるらしい。
反応が無い限り、寝ている様だ。
……いやよく寝れたな。
「あぁ、この中か」
レカがいるのが確認出来たので、俺らは森人族の森へ向かった。
「嫌ぁー!」
「ふっ、今頃思い出したか……」
ルリカが駄々をこねる様に近くの木にしがみつく。
さて、今俺らは森人族の村の真下にいる。
そう、思い出して欲しい。
森人族の村は、超高い所にあるという事を。
それをルリカは思い出して、ああなっている訳だ。
「ほら、しがみつくなら俺にしろ」
「う、うぅぅ……」
おいおい涙の防波堤が崩壊寸前だぞ。
「ほら」
「きゃっ」
ルリカを木から引き剥がし、俺の脚を掴ませる。
「レカも」
「分かったー!」
レカも脚に捕まったのを確認すると、俺はジェットパックを起動して上に上がった。
「……ふっ……!」
そしてそれに追いついてくるニル。
うん、改めて見てもバケモンだな。
「よいしょ」
木で出来た橋の上に着地すると
「おぉ! お主ら! 来たのか!」
ベクト爺がそこには立っていた。
「そう、行っちゃうのね」
「ああ、まあ元々そんなに長くいる予定はなかったしな」
というか、そろそろ森人族の森に行かないと期限が来てしまう。
「向こうでも元気にやれよイイジマさん」
「ありがとなギーダ」
俺らはそう別れの言葉を告げてからダンジョンを後にした。
「それで、森人族の森まではどうやって行くの?」
「そりゃあ、テレポート裏技を使うぞ。まあ正確には森人族の森の近くまでそれで行くんだが」
前にも言った通り、あそこへ直で行けるテレポート裏技はまだ見つけられていない。
「分かったわ。それで、どの木からテレポート裏技をやるの?」
「えっとな……まずはあれだ」
そう言って俺が指差したのは……
「……切り株?」
「ああ、切り株だ」
「……どうやってこれ体を捩じ込むの?」
「そんなの……地面に体全身をピンってやった状態でスライディングするしかないだろう」
「無理よ!」
えぇ……。
「無理か?」
「絶対無理よ!」
何かそこまで言われると逆に出来る様な気がしてくる。
因みに、この切り株の高さは大体60cm幅は70cmほどのまあまあデカい切り株だ。
「分かった、手本を見してやる」
そう言って俺は少し離れて寝っ転がり、右、左、左、右にゴロゴロした後
「ふっ!」
腕力だけで自身の体を切り株の方向へ飛ばす。
そしてすぐに手をピシッと腰につけ、脚もピンと伸ばして切り株にぶつかる。
『ドプン』
切り株の皮が水の様に蠢くと、俺の体は切り株に吸い込まれていった。
「えぇ!?」
全部吸い込まれる前に、ルリカからそんな声が聞こえた。
「よっと」
森人族の森の近くにある木から飛び出て、スタッと着地する。
「ん~っ」
久しぶりにやったから腕が疲れた。
「さてと……あいつらは来れるかなー?」
結構心配だ。
絶対今頃ルリカが「あでっ」と切り株にぶつかっている頃合いだろう。
「あでっ」
「大丈夫……ルリカ……?」
「だ、大丈夫よ……」
……来ない。
「マズイか? もしかして」
約十分待ったが、未だに一人も来ない。
「あの裏技難しすぎたか……?」
そう言って俺は切り株を覗き込む。
『ムニョ』
「ん?」
直後、切り株から足が出て来て
「へぶぅっ!?」
俺に顔面に直撃した。
「痛っつつつつ……何だ?」
鼻を擦りながら起き上がって切り株の方を見る。
「い……行けたぁー!」
そこには両手をバンザイしているルリカがいた。
「ルリカ! 行けたのか!」
【超回復】で傷を治してルリカの元へ向かう。
「イイジマ! ええちゃんと来れたわよ!」
そう言ってサムズアップをした彼女は
「へぶぅっ!?」
俺と似た様な状況になった。
「あ……ごめんルリカ……」
そう、切り株から出て来たニル達に吹っ飛ばされたのだ。
すぐに【超回復】をしてやり、起き上がらせる。
「ありがとイイジマ」
「どういたしまして。さてと、それじゃあ森人族の森へ向かうか」
「そうしましょ!」
「うん……!」
「あれ、そういやレカは?」
「ここ……」
そう言うと、ニルは背中を指差した。
「ん?」
なんか、背中がめっちゃ膨らんでいた。
この中にレカがいるらしい。
反応が無い限り、寝ている様だ。
……いやよく寝れたな。
「あぁ、この中か」
レカがいるのが確認出来たので、俺らは森人族の森へ向かった。
「嫌ぁー!」
「ふっ、今頃思い出したか……」
ルリカが駄々をこねる様に近くの木にしがみつく。
さて、今俺らは森人族の村の真下にいる。
そう、思い出して欲しい。
森人族の村は、超高い所にあるという事を。
それをルリカは思い出して、ああなっている訳だ。
「ほら、しがみつくなら俺にしろ」
「う、うぅぅ……」
おいおい涙の防波堤が崩壊寸前だぞ。
「ほら」
「きゃっ」
ルリカを木から引き剥がし、俺の脚を掴ませる。
「レカも」
「分かったー!」
レカも脚に捕まったのを確認すると、俺はジェットパックを起動して上に上がった。
「……ふっ……!」
そしてそれに追いついてくるニル。
うん、改めて見てもバケモンだな。
「よいしょ」
木で出来た橋の上に着地すると
「おぉ! お主ら! 来たのか!」
ベクト爺がそこには立っていた。
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